これまで書いてきたことから、私は以下のように考えています。


① 2006年1月から、サウジアラビア国内のどこかの(超?)巨大油田で急激な減産が起こっている。その油田は重質油を産する油田(私はサファニアではないかと疑っています)

② アラムコは2006年半ばまで回復努力をしたが、結局どうにもならなくなった。そこで、状況を以下のようにして糊塗することにした

・ 当分可能な限り手元在庫を輸出して契約を守り、その一方で2006年の頭から生産が減少したとは公式には言わないこととした

・ 重油を輸入し備蓄しておいて、重質油を精製して多く得られる重油の国内・国外需要に充て、重質油不足をある程度隠蔽した

・ 10月のOPEC定例会議で状況を他国に説明し、OPEC全体での減産量のみ公開することにしてもらった。また、減産を11月から始めたという建前で押し通すことにした。こうすることにより、2006年初からサウジアラビアのみで急激に減産している様子を当面隠蔽できる


今のところ、この推定が正しいかどうかはまだ検証できません。

しかし、「カルテル内で1カ国だけが大幅に減産している」というのは不自然です。儲けるチャンスを1国だけ喪うのを受け入れているわけですから。

これだけなら、「サウジアラビアは従前同様 swing producer なのだ」と考えることもできますが、そう考えると、「2006年1月からOPEC全体として減産する」という展開にしなかったのはなぜなのか? という疑問が残ります。