前回、前々回と、「こいつ何言っとんじゃ?」と思われた方もいらしたかもしれません。

原油取引について、私が知っている範囲で少し説明します。

世界には色々な品種の原油が流通しています。その中で、人々から「これが指標だ」と目されている品種(銘柄)がいくつかあります。

「ニューヨーク原油先物」は、West Texas Intermediate という原油銘柄の先物を指します。WTIと略称します。WTIはそういう指標銘柄の一つです。というか、世界で最も有名な指標銘柄です。

WTIはテキサス州西部で産出する原油で、軽い質の良い原油だそうです。"Intermediate"と名づけられているのですが、後で説明するドバイと比較すると軽い成分が多いそうです。「昔石油産業華やかなりし時代のテキサスではそれでも中間くらいの品質だった」ということなのだと私は解釈していますが、細かいことはわかりません。

WTIは昔はたくさん採れたそうですが、今はほんのわずかで、WTIの現物取引(スポット取引)はほとんど市場に影響力はないそうです。先物取引では世界をリードしています。

予備知識ですが、石油は「軽ければ軽いほど価値が高い」です。

地下から掘り出す油のうち、軽い成分を我々は主に利用します。ガソリン、灯油、ジェット燃料、みんなそうです。プラスティックの原料となるナフサもそうです。

成分が重くなってくると、だんだん余るようになってきます。軽油はまだ全然軽くて需要が多いほうで、その次が重油。重油もAからCまで分類されていて、Cが一番質が悪いです。このクラスになると、火力発電や船の燃料に使います。自動車や飛行機には使えないんです。分解してガソリンなどにすれば別ですが、分解するためにはエネルギーを使わなければなりません。

もっと重くなると、タールやアスファルトになります。こうなると、道路の舗装くらいしか使い道がなくなります。