NEDO海外レポート NO. 995 の59ページから70ページに「ブッシュ大統領の2008年度予算:概要(その1)」が載っています。

目に付いたところをまとめてみましょう。

(1) 「自由裁量予算(discretionary budget)」 - 社会保障などの「義務的支出」以外の部分 - は大幅増額(6.5%増)。「義務的支出」は横這い。「自由裁量予算」の増加分のほとんどは防衛費の増加。

(2) バイオ燃料に関する研究開発予算は大幅増額

(3) 石炭のクリーン利用技術 - 予算上は主に「石炭ガス化発電」について書かれている - も大幅増額

(4) 原子力も大幅増額。ただし、主にGNEP(Global Nuclear Energy Partnership)に関するもので、原子力技術開発ではなく「国際的な濃縮ウラン管理体制の整備」に重点が置かれている。研究開発では核融合に関するものがそこそこ重点が置かれている。

(5) 太陽電池の研究開発も増額

(6) 他は風力発電も含めて研究開発には特に重点なし。予算は大幅減額あるいは減額傾向。

簡単に言うと、

・予算全体として軍事優先

・石炭利用を推進

・セルロース系バイオ燃料の研究開発を推進

・原子力発電については特に研究開発は不要(利用推進それ自体は行うものと思われる)

・核物質を他国にできるだけ渡さないため、ウラン濃縮プロセスをアメリカが押さえる体制をつくる。原子力関連の予算は主にこの体制作りにあてる

・長期的目標として核融合開発を継続

こんな感じです。

要は、軍事優先ってことです。特に、原子力と石炭に対する態度に、それがよく表れています。