現在の化学工業では、プラスティックを製造するにあたって、石油を精製して得たナフサなどからエチレンやプロピレンなどの中間原料を製造します。
この中間原料をバイオマテリアルから製造できれば、化石燃料を原料とせずにプラスティックなどの化成品を製造できることになります。
もちろん、製造過程で投入するエネルギーを化石燃料に依存しないことが必要ですが。
日本経済新聞朝刊 2月9日(金) 15面
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プラスチック原料 エタノールから合成
東工大 温暖化対策へ応用
東京工業大学の研究グループは、エタノールから汎用プラスチックの原料を高効率で合成する技術を開発した。独自の触媒で実現した。ガソリンの代替燃料として植物から作る「バイオエタノール」を使い、プラスチック原料を製造できる可能性があり、地球温暖化対策技術として注目される。化学メーカーなどと共同で実用化を目指す。
...(中略)...
食品包装材などに利用されるポリエチレンの原料「エチレン」や、車のバンパーなどに利用されるポリプロピレンの原料「プロピレン」をエタノールから作った。エタノールの九十九%以上をエチレン、プロピレンなどに買えることができる。
ナノ(ナノは十億分の一)メートルサイズの穴があいたセラミック微粒子にニッケルをくっつけた触媒を開発した。この触媒を詰めた容器にエタノールを入れると、エチレン、プロピレン、ブタンが同時に合成できた。それぞれの制裁割合は温度などの条件を変えれば調節できる。また触媒を繰り返し利用しても劣化しにくいことを確認した。
現在のエチレン、プロピレンは主に、原油からとれるナフサを原料に生産されている。今回の手法は、製造コストもナフサを使った場合より安く抑えられるという。エタノールから作る技術は従来もあったが、反応効率が悪い、触媒の寿命が短いなどの問題があり、工業化は難しいとされていた。 (Unquote)