植物には、人間がほとんど把握していない能力が、まだまだたくさん隠れている可能性があります。
こういう話を聞いたことがあります。
「沙漠地帯で採れた葡萄(ぶどう)やメロンがとても甘いのは、乾燥しているからだ」
乾燥地帯では植物に水不足によるストレスがかかります。このストレスが果物を甘くしているというのです。
ストレスがかかると植物の側で「甘くなろう、甘くなろう」とするというのです。
最近、同種の話を2月16日(金)の日経産業新聞で読みました。(9面)
(Quote)
植物の生育環境 つつましさが強さ生む
...(前略)...
最近インドネシアで稲作を指導してきた日本の先生がいる。今までの常識から大きく外れ、思いっきり水量を少なくしてコメ作りを試してみた。苗のときだけ水を多めに使い、その後は水量を極端に減らした。その結果、何と収量が一・五倍となった。植物は環境が悪くなると種子を多く作ろうとする。水の量を少なくするというストレスが植物を頑張らせたのだ。
では、自生する植物はどのように水を吸っているのだろうか。アフリカで自生種から選抜されたマメ科の植物で、水が少ない状況でも良く育つもの(耐性)と育つことができないもの(感受性)の水の吸い方を比較したことがある。
耐性植物は水を吸う力が強く、普段からたくさんの水を吸収していると予想していた。しかし、水が少ないというストレスの下で育つよう自然が淘汰して作り上げた耐性植物は、水を与えてもあまり吸収しなかった。
ところが、いったん、乾燥状態において干からびる直前になると、ふだんよりも多量の水を吸い始めた。それに比べて感受性植物は、水を与えるとたくさん吸収し、干からびる前には水をほとんど吸収できなかった。
つまり、自然が作り上げた耐性植物は普段はあまり水を吸わない省エネで過ごし、いざという時には水を大量に吸収する。逆に普段から水をぜいたくにたくさん吸っている植物は、いざという時には吸えなくなっていたのだ。これはぜいたくをせず、つつましい生活を送っている方がいざというときに強いという自然の戒めのようでもある。(東京大学大学院教授 中西友子) (Unquote)
植物のこういう能力を自在にひきだせるように、利用できるように、将来なるのでしょうか。
その可能性は十分あると私は考えています。