繊維質などのバイオマスから一酸化炭素と水素のガスを得たら、それから液体燃料を合成します。その合成工程は、フィッシャー・トロプシュ法(FT法)と呼ばれている、1920年代にドイツで開発された技術です。
第二次大戦中、ドイツはこの技術を使って、石炭から液体燃料を製造しました。ドイツは石炭は豊富ですが石油は産出しません。
第二次大戦後は、南アフリカでこの技術が使われ続けました。メジャー石油会社も研究開発は続けていました。
その後、1990年代半ばにマレーシアでシェルが gas-to-liquid 設備を建設しました。この設備は天然ガスから一酸化炭素と水素を得、それからFT法で軽油などに転換します。(註)
2000年代に入ってからカタールがこれに目を付け、南アフリカの合成燃料会社サソールやシェルが、カタールのプロジェクトに参加しています。
中国とインド、それにインドネシアでは、豊富な石炭を利用すべく、石炭からの液体燃料製造にFT法を使おうとしています。サソール、シェル、日本のNEDOなどが商業プロジェクトや研究開発に参加しつつあります。
この「ガス化+FT法」は、バイオマスを原料として行うこともできます。バイオマスの主成分 - セルロース・ヘミセルロース・リグニン - の中には炭素と水素が含まれており、一酸化炭素と水素を得ることは十分可能です。
- - - - - - - - - -
註: Gas-to-liquids = 「GTL」は「LNG」とは全く異なります。
LNGは「液化天然ガス」で、「地中から掘り出した天然ガスをそのまま圧力をかけ冷却して液体にしたもの」です。LNGの成分は天然ガスの主成分メタンそのものです。天然ガスに化学変化を起こさせて製造する液体ではありません。
GTLは、「地中から掘り出した天然ガスに化学変化を起こさせて、ガソリンや軽油などの液体燃料を製造すること」です。