ここからが、博士の見解・意見が比較的はっきり現れている部分です。


Ⅳ部 2章: まとめ - 21世紀のエネルギー需給バランス

・化石燃料は21世紀半ばまでは需要に応じる供給能力がある。(需給バランスが上手に調整される前提で)

・2030年までの需要構成は基本的には現状と大差ない。

・21世紀後半から終盤(2100年頃)に向かっては、石油と天然ガスは主役の座を他のエネルギー源に譲っていく。

・非在来型石油(タールサンドなど)の開発が進むので、2030年前後に在来型石油がピークアウトする後も、石油の寿命は延びる。ただし21世紀後半に入ると、主な石油の用途は輸送用燃料となり、発電用途に使われる量は減少する。

・天然ガスは発電用代替エネルギーの主役として使われ続ける。GTL(gas-to-liquid)などにより輸送用燃料にも供されるようになる。

・資源量は多いが、クリーンコールテクノロジーにより環境問題を解決できないと利用を拡大するのは困難。それさえ解決されれば、21世紀後半の主要な発電用エネルギー源となり、また液化による輸送用燃料としても期待できる。

・廃棄物の安全な処理方法さえ得られれば、原子力は21世紀後半の主要エネルギー源となるだろう。

・自然エネルギー(太陽光発電や風力発電)は、エネルギー源の主役となることはない。しかし利用は拡大するだろう。