「ハバートのピーク」論それ自体は、「いずれ埋蔵量の半分を使い切り、その時点から生産量が減少し始める。これは、個々の油田でも全世界規模で見ても、同様だ」という主旨の理論です。

人間にとっての問題は、

「生産量の増加を消費量の増加が上回るかどうか?」

「生産量のピークがいつ来るか?」

といった2段階あります。

1つ目は既に問題となってきています。全世界生産量に消費量が2004年頃から追いつくようになりました。生産・消費ともに昨年時点で日量8400万バレル前後です。

消費量の増加率が生産量の増加率を上回り、この状況が続いています。中印米3カ国の消費増加が減速してくれないと全世界消費増も減速してくれそうにありません。

2つ目の方は今のところ論争の対象になっています。

経済産業省が5月31日に公開した「新・国家エネルギー戦略」を見ますと、

ケース1:「2030年代半ばにピークを打つ」

ケース2:「2030年頃にピークを打つ」

ケース3:「2010年代半ばにピークを打つ」

という3つのケースを仮定し、ケース2を標準ケースとしています。

欧州・北米のピークオイル論者(業界関係者或は「元」業界関係者が中心)は、私の知っている範囲で言うと、ピーク到来時期を「2005~2020年の間のどこか」と予想していることでだいたい一致しています。

最も悲観的な見解は「2005年(もう過ぎている!)」です。「2007~2015年」を想定する見解が多いように思います。

もし、ピークオイル論者達が正しいとすると、「すぐそこまで来ている」ということです。