2000年代にはいってから、北海油田、メキシコで産油量が減少し始めています。
インドネシアは1970年代に、マレーシアは2000年代に入ってからピークを迎えています。
旧ソ連は1987年がピークでした。旧ソ連・東欧の崩壊は、石油生産減少が直接の引き金になったもの、という見解があるくらいです。共産政権崩壊後しばらくしてから生産量が再度増加していますが、80年代の最盛期レベルには達していません。
中東は全体としてこのところ生産量が横ばいです。
これらの地域の巨大油田・大型油田は、ほとんどの場合、1960年代末までに発見されている油田です。中東の巨大油田は新しいもので40歳程度、主力は60歳近いです。
公表されている埋蔵量データがどれだけ信頼できるか評価するのが難しいので、正確なことはなかなか言えないのですが、過去の油田が生産量ピークに達するまでに20~50年くらいで達していることが多いことを考えると、このまま新規の巨大油田が発見されないままだと、世界全体としてこれ以上の生産量増加がかなり難しくなってきている可能性を考慮せざるを得ないと私は考えています。
これから石油の埋蔵を新規に発見できそうな地域の最有力は北極海だと私は思います。その次は世界各地の(1000m超の)深海底。サハラ以南アフリカもそこそこ有望だと思います。
こういった地域は、どこも「これまでそれほど探索が進んでいない場所」です。次に大きいのが見つかるとしたら、こういった場所 - 気象条件・自然環境・政治的不安定さなどの理由で探査・採掘の難易度がうんと上がる場所 - になりそうなわけです。
あと、あまり言いたくないですが、南極も有望なのかもしれません。もっと自然条件が厳しそうですね。
自然環境の厳しい地域で探査・採掘すると、金もかかりますが、それだけでなくエネルギーもたくさん投入しなければならなくなります。自然条件が楽な地域では必要なかった設備が必要になるからです。
そうするとエネルギー収支が悪化するわけです。全体として、「石油は採れることは採れるけれども、手元に残る量は少なくなる」傾向がでてきます。
エネルギー収支の概念については、ブログテーマ「エネルギー収支」に投稿しつつありますので、そちらを参照してください。