先の本会議及び総務政策常任委員会で取り上げ知事及び執行部から表明のあったいわゆる偏在是正についてきょう、千葉県埼玉県の知事と合同で3県知事が関係各大臣に申し入れを行います。以下はその要旨です。

 

居住する地域にとらわれないこども施策の実現 及び税源の偏在是正について

 

こども基本法においては、国は、こども施策に係る支援が、居住する地域等に かかわらず行われるようにするため、必要な措置を講ずることとされている。また、 こども基本法に基づき策定されたこども大綱においても、「こどもまんなか」の理念 の下、地域間格差をできる限り縮小していくことを念頭に置き、必要な支援を行う こととしている。 さらに、国においては、児童手当の拡充やこども誰でも通園制度の創設など切れ目 のない支援の実現に向けて着実に取り組んでいる。子ども・子育て支援策の多くを 担う地方としても、適切な役割分担のもと、国と連携し、しっかりと役割を果たす 決意である。 一方、近年、税収に恵まれている東京都では、

 ・18歳年度末までのこどもに対する月5千円の給付、 

・高校授業料実質無償化における所得制限撤廃、

 ・公立学校給食費の無償化、 

・0~2歳児の第2子の保育料無償化、

 ・18歳年度末までのこどもに対する医療費助成、 といった施策を打ち出し、周辺自治体との地域間格差が拡大している。全てのこども がひとしく幸福な生活を送ることができる「こどもまんなか社会」を実現するために は、このような地域間格差を解消していくことが必要不可欠である。 また、こども施策のみならず様々な施策においても、東京都と周辺自治体の地域間 格差の拡大が多く存在しているところであり、こうした状況は、東京一極集中の流れ を加速し、デジタル田園都市国家構想が目指す「全国どこでも誰もが便利で快適に 暮らせる社会」に向けての妨げとなりかねない。 こうした行政サービスの地域間格差は、財政状況の違いから生じているものと 考える。経常収支比率を見ても、東京都が全国で最も低く、自由に使える財源が潤沢 である。これは、人口密度が高いほど、必要な人口1人当たりの一般財源は少なく なるが、東京都は、人口密度の高さとは不釣り合いな規模の一般財源を得ていること が要因と考えられる。 また、地方法人関係税については、納付税額が多い持株会社をはじめとする大企業 が、東京都に本店又は事業所を置く傾向が強いことや、Eコマースの進展により、 工場や倉庫よりも従業者数の多い本社がある東京都に、事業活動の実態以上に税収が 集中していることも一つの要因となっている。

 ついては、このような状況を踏まえ、次の事項について要望する。 

1 居住する地域にとらわれないこども施策の実現 こども基本法第16条では、政府はこども施策の充実及び財政上の措置等に 努めることとされていることから、自治体の財政状況に起因する格差が生じること がないように、国の責任と財源により必要な措置を講じること。

 2 税源の偏在是正 地方税は、地方の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを行う上で、最も重要な 基盤であり、行政サービスの地域間格差が過度に生じないようにするためにも、 税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けた取組を早急に 行うこと。

 令和6年5月7日 

埼玉県知事 大野元裕 

千葉県知事 熊谷俊人 

神奈川県知事 黒岩祐治