みんなみんな賢い犬 -36ページ目

みんなみんな賢い犬

わんこはみんな賢い犬(かしこいけん)☆


ばか飼い主はいろんな所にいるけど、


ばか犬なんて宇宙のどこにもいないのです!




この物語はたぶんフィクションです―











これは遠い遠い昔のある冬の日の話。



稀に見る大寒波に襲われ、東の都も数十年ぶりの大雪に見舞われていたころ。


時刻は午前五時半すぎ。

夜明けまではまだ一時間半ほどある。


視界に入るもの全てがまだ闇の中、男は三日ぶりのランニングに出た。



降り積もった前々日の雪が至るところに残り、

日中日陰になっている場所は凍っている。


滑るアスファルトに注意して時々歩きながら、いつもの約12キロのコースを辿る。



途中まではまずまずだった。


だが、4キロを過ぎた辺りから男は突然全身にひどいかゆみを感じ始めた。

我慢してしばらく走ったもののとても走れる状態ではなくなり、4.5キロ地点でやむ無くランニングを切り上げる。

そこからは徒歩で帰路につくことに。


しかし、かゆみに続いて寒気と吐き気にも襲われ始める。

進むごとに視界は狭まり、足はふらついていた。




やがて歩く事も困難になり、男は用水路沿いのガードレールに両手を掛けてしばらく休んだ。


何かに胸を押さえ付けられているような気分。


前夜、胃袋に入れたものはとっくに消化されていて何も出てこない。


辺りの景色はぼやけて歪み、ほとんど何も見えない。


自分が立っているのかどうかも分からない。


世界がぐるぐると回っている。



苦しい。





男はいのちの危機を感じた。





それでも、少しでも前に進もうと必死で足を動かす男。


少し歩いては休み、また少し歩いては休む。



そして三度目の休憩の時。


BGMにしていたMOTOHARU SANOの歌声が遥か遠くに聴こえ、

立って休んでいたはずの男は、冷たいアスファルトの上で仰向けになって寝ていた。


頭の上には被っていた帽子が落ちている。




どうやら休憩の途中で気を失って倒れたらしい。





車道とは用水路を隔てた歩行者専用の道の上。



どれくらいかは分からない。


倒れた時に何処かしら打ったはずだが痛みはない。

或いは、無意識の内に腰を降ろして横になったのだろうか…。


何か夢を見ていたようだけど内容は思い出せない。




何も思い出せない。




気絶なんて人生で初めてのこと。




男はゾッとした。



そしてゆっくりと立ち上がる。

周囲に人はいない。


イヤホンから流れるMOTOHARU SANOの歌声もまだ遠い。


深く息をついて、帽子を被り直してからまた歩き始める。

夜明けが近づいて辺りは少しだけ明るくなってきた。


視界ははっきりしている。

全身のかゆみも一先ずは治まった。

ただ、足の運びは不安定で吐き気もまだ少しある。

それに先程よりも強い寒気。


そして、唇にわずかな痺れ。


ランニングウエアの下はアンダーシャツ一枚。汗もそのまま。
寒気はそのせいもあるかも知れない。


帽子の上からフードを被り、足元を確認しながら最短コースを帰った。


そこは、男がかつて愛犬とよく歩いていた道。

今ではもう、滅多に通ることはない。







寒さに身体が固まる中30分ほど歩き、何とか家に辿り着く。

そこでようやく、音楽を確かに聞き取れるようになった。



バスタブにお湯を溜めている間、男はヒーターに当たりながらただ宙を見つめていた。

吐き気などは治まったが、かゆみがぶり返し肌は真っ赤に染まっている。


しばらくしてスポーツドリンクをふた口飲み、男は浴室に向かった。


温まることでかゆみが悪化する恐れはあったが、それよりもとにかく身体の汚れを落としたかったのだ。


そして風呂からあがり、残りのスポーツドリンクを飲み干す。





やがて全てが落ち着いた。




我が身に起きたことを整理し、走り出す直前と前日のことを思い返す。


それが何だったのか。

結論はすぐに出た。


医学の知識は皆無なため、確かではないかも知れない。

だが十中八九そうだろう。


思い当たる節はある。



脱水症状。


夏場なら十分すぎるほどに気を使っていること。


こんな季節こそ気を付けなければならない。


男は改めて思い知らされたのだった。








そして翌日。



男は水分とミネラルをしっかりと身体に取り込み、

無事いつものペースで12キロを走りきったという。













街灯もまばらな仄暗い静寂の中、

いのちの危機を感じながら男が考えたことそれは…、



家の中のヒトに見られると恥ずかしいモノの処分。



まるで夢の中の出来事のような奇妙なフェスタ。

男がそこから生還出来たのは、そのお陰かも知れない―。







これは遠い遠い昔の、

ここではない何処かのある冬の日の話。


―fin.



So Good Night
いつか君の胸に抱かれて

Good Night
どこか行きつく所もなく...











以上、冬こそ脱水症状に注意!という物語(たぶん)。




(Music By MOTO “Lion” SANO)

佐野元春
「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」
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(キャッチコピー)
しにかけたりもしたけれど、私はげんきです。






長々とお付き合いありがとうございました。


乾燥の季節はまだ続きます。

「男」のようにはならないにしても、 “かくれ脱水” には十分ご注意下さい。




















RUN TO LIVE.


こんな帽子を被ってランニング中に死ぬなんて

コメディにもなりゃしないね。


にくきゅうblk


静御前のまったり庵
♪みんな一緒に幸せになろうね♪







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