斜斜斜斜斜 | 松嶋初音 公式ブログ『松嶋す。』 Powered by アメブロ

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私という人間はとにかくひねくれている。さらにはねじ曲がっている。

遠い昔、まだグラビアの需要がこんな私にもあった頃に「こいつは性格がねじ曲がっている。だから顔も曲がっている」ということを書き込まれたことがあった。確かに私の顔は曲がっている。写真で見るとなおさらそうだ。

その後しばらくしてブログに生後数ヶ月くらいの自分の写真を掲載したことがあった。すると、同じ人物かはわからないが「こいつは生まれた時から顔が曲がっているんだな」と書き込まれた。この世に生を授かってすぐに私は性格が歪んでしまったのである。なにがあったのだろうか。

そんなことを考えていて思い出したが、母親が「あんたは子供の頃可愛かったからみんなに抱っこされて育ったのよ。だから頭の形が綺麗なの」と言われて心底喜んだことがあった。寝かせられっぱなしだと絶壁になるという話も聞いたことがあったので私は愛情をたくさん受けて育ったのだな、と自分の後頭部を愛おしそうに撫でながらにやにやと気味悪く笑っていた。

だがそれも中学生の頃に初めて一人で行った美容室で担当したノリの良いお兄さんに「近年稀に見る絶壁っすねー!」と感動しながら言われたことで全て吹き飛んでしまった。母はなぜそんなどうしようもない割にダメージの大き目なすぐバレる嘘をついたのか教えてほしいし、あの美容師にはオブラートを覚えてほしい。

中学の頃といえば、好きな男子とたまたま偶然手洗い場で一緒になり、手洗い場の目の前にある鏡越しに目が合うという少女漫画でいえばバラが満開に咲くような出来事があった。放課後ということもあってか、夕日差し込む手洗い場の周囲に人はおらず、その瞬間そこには私と彼だけだった。私は思わず頬を染めたと思う。なぜかというと少女漫画ではたいがい頬を染めているからだ。私もいっぱしの女子として頬を染めねばなるまい。そして当然、その男子は意を決した様子で言うのだ。「お前鏡越しで見ると顔がピカソだよな」と。私はその瞬間、流れ星に願いをかけるよりも速く、そいつが同学年で一番最後に下の毛が生えますようにと願ったのである。これは願いというよりも呪いである。

そんなことがあって私は自分の顔がとてつもなく嫌いになり、さらには写真を撮られることが苦手になってしまった。この職業としては完全に終わっている。流行りの自我撮りに挑戦しようものなら角度は同じになってしまうし、第三者が撮影してもそれは同様だ。カメラマンがいろんな角度にチャレンジさせようとするが最終的にいつもの角度で落ち着く。レンズが歪んでいるんじゃない、時空が歪んでいるんじゃない、歪んでいるのは私のこの顔なのだ。

そんなことを思って暮らしていると、察しの良い人が骨格矯正の整体院を紹介してくれた。その人は顔が左右対称に近く、とても整っていて綺麗な顔をしていた。私もこうなれるのなら、と思って通いはじめたが、その整体院は施術中にパンツをぐいーっと引っ張るという稀有なスタイルだった。

こちらが気持ち良く施術を受けていて睡魔に襲われているのを良いことに先生はなんの躊躇もなく、私のパンツをぐいーっと思い切り引っ張りあげるのだ。パンツをぐいーっと引っ張られることで身体の歪みが取れるというなら文句はないが、通って半年ほど経った頃に「こいつの顔、作画ダリかよ」と少し知的なにおいを持ったディスりを受けたのでなんの未練もなく通うのをやめることができた。ピカソに続いてダリ。私の顔はどうやら1920年代のパリでは受けが良かったのではないかと考察してみる。

顔に対するディスりは面白いほどに受けた。そのおかげで私の性格は、前にも増してねじ曲がってしまった。

「かわいい」と言われれば素直に受け取ることもできず、言わせて申し訳ないと思うようになってしまったし、人の好意や言葉を信じられなくなってしまった。私は鏡をみても自分に目を合わせられなくなった。目を合わせると自分が私に向かって言うのだ「相変わらず歪んでんなー」と。

自分が自分の顔を評価していないということをアピールしたくてしょうがなかった。そうすればもう言われないと思ったからだ。だから可愛らしい髪型もやめて個性的な髪型にした。髪もどんどん切って男のようにした。化粧をすると自分の顔がどんどんオカマのようになる。だから化粧もしなくなった。

で、つらつらこんな掃き溜めのようなことを書いて、現在がどうかというと私は元気なのである。
短い髪も気に入っているし、化粧をしないことで昔よりはるかに綺麗になった肌も好きだ。
顔が曲がっていても良いのだ。これが私であってこんな私の顔をかわいいと噓いつわりなく言う人もいてその少数を私は大事にするべきなのである。嘘をつかなくて良いような状況でかわいいと言われれば天にも昇る心地で嬉しいし、何百回でも何万回でも言ってほしい。歪んでるは一生分聞いたので、あとは聞こえない。

というくだらない話。

おわり。

ましつま はねつ