昭和天皇の御在位60年奉祝運動を目前にした頃、

私の学生運動時代の先輩と同期の女性とが結婚した。

それが、親戚以外で結婚披露宴に招待された最初のことでしたが、

私は礼服の一着も持っていない貧乏人でした(笑)

結婚披露宴まで、2週間もないというのに、礼服を用意できず、

専門店に行ったら、イージーオーダーでも高額、

その上に仕上がりまで3週間とか言われてしまいました。

困り果てた私は、いつも仕事で行く、宅急便の取次ぎをしている

作業着屋のおばあちゃんに相談すると

「1週間もあったら、うちで作ってあげるで」と言われました。

大阪の阿倍野・西成界隈の作業着屋で礼服を頼むなんて

私くらいのものでしょう(笑)

当時の私なら、それくらいがお似合いだと思ったし、

値段もオーダーメイドの店に比べれば超破格の値段でした。


当時の私は身長170cm、体重58kg。

社会人になって一番痩せていた時期で、

作業着屋のおばあちゃんには、

「今一番痩せているから、実際より少し大きめにして」と頼みました。


それから約30年の歳月が流れ、

私は現在、体重74kg。

その礼服は小さくて着ることもできませんが、

下町の作業着屋で作ったとは思えないほど、

素晴らしい仕立てで、今でも傷み一つありません。


先月のことでしたが、息子から結婚披露宴に招待されたと

連絡がありました。

防衛大学校、陸上自衛隊幹部候補生学校の同期生です。

私は過去に、弟のように可愛がっていた

海上自衛官の後輩の結婚披露宴に行きましたが、

同僚の自衛官は全員、制服で出席していました。

だから、息子も制服で出席するものと思っていましたが、

その友人は本当に仲のよかった今までの友人だけを呼び、

自衛隊の同僚はあまり呼んでいないとのことで、

出来れば制服じゃない方がいいといわれたそうです。

それで、「礼服を買おうかと思っているんやけど・・・」と

相談を受けたのですが、その時に思い出したのが、

その私の礼服の事でした。

息子は私と身長はほとんど同じ。

しかも体脂肪率僅か7%という鍛えられた身体。

私ではもう着れなくなった礼服は、息子にはピッタリなのです(笑)


私の結婚披露宴デビューの礼服で、

息子も親子二代にわたってデビューすることになりました(笑)