奈良県の御所市は神話のふるさととして有名ですが、

今年6月の御所市議会定例会で、

「神話教育」についての質問をされた市議会議員の方が

いらっしゃいますので、今日はその質疑の内容を

紹介します。



平成24年6月 御所市議会定例会 - 06月21日-09号

◆4番(杉本延博) 

それでは、次の質問に移ってまいります。
 市長は、所信表明の中で、誇りと自信をはぐくむ教育の

まちづくりを3つの市政基本方針の一つとして

掲げられています。

そして、御所市を愛し誇りを持つとの発言を

随所でされています。

教育長もまた同じようなことを発言されていたように

思います。

以前から、郷土の歴史、伝統、文化を知ることから

御所市を愛し誇りを持つ精神が確立されることだと

私は発言してまいりました。

全国各地の学校での郷土学習をいろいろ調べましたが、

郷土の偉人を取り上げているところがふえております。

代表的なところでは、

福井市では小学校副読本「橋本左内」、

滋賀県高島市では副読本「中江藤樹」、

山口県では「吉田松陰読本」と郷土の偉人を題材にし、

郷土愛、道徳心などをはぐくむ教育が

行われているようであります。
 もちろん我が市の学校でも特色を生かした

郷土学習が行われていることや

副読本「わたしたちの御所市」もさまざまな

郷土学習ができるようになっていることは、

よく承知いたしております。

御所おはなしの会が制作されました

「御所のむかしむかし」の中に、

白鳥の陵として日本武尊、橿原の宮跡、

ホンガラ宮の奇習として神武天皇が取り上げられ、

また、ふるさと運動実行委員会が制作した

「いにしえの御所を訪ねて」の中には、

ヤマトタケルのページがあり、

ご事績を現代語訳、わかりやすい物語調で

記されています。

ともに高く評価する本であります。

図書館に配置されていると聞きますし、

私自身、市内のある歯医者さんに配置されているのを

読んだ記憶があります。
 郷土学習の一環として、2つの本を通じて

学習が行われていることだと推測いたしますが、

この本を通して、神武天皇、日本武尊を学習していくのも

一つの方法かと思います。

先ほど申しましたが、

ことしは古事記編さん1300年であり、

記紀万葉プロジェクトが9年間開催されます。
 そこで、御所市にゆかりが深い神武天皇、

日本武尊読本を作成し、郷土愛学習、生涯学習、

市外向けの観光にと活用していけばよいのではと

提起したいのであります。

例えば神武天皇でしたら、橿原市と

広域観光の一環として共同制作する方法や、

日本武尊ならば、白鳥三市交流事業の一環として

羽曳野市、亀山市と共同制作する方法と

提案はしていけないものでしょうか。
 そこで質問いたします。
 神武天皇、日本武尊読本作成の検討は

できないものでしょうか、お答えください。

◎教育長(上田貞夫) 

郷土教育に、神武天皇、日本武尊読本の

作成についてということのご質問でございます。
 郷土学習について、小学校では

郷土を理解することをテーマに、

人々の暮らしを支え見守る各施設や

各種機関の役割を理解し、

また我が国及び郷土の発展に尽くした人々の

生きざまや歴史を理解することを通して、

郷土やそれらの人々への感謝の心とともに、

みずからもその一人として生きていくことを

理解させようとしています。
 議員ご提案の神話や地域にある伝承等は、

当時の人々の物の見方や考え方に触れることができ、

郷土を知る一つの教材であると考えます。

既に「御所のむかしむかし」や

「いにしえの御所を訪ねて」など

御所の伝承、民話、わらべ歌等が

掲載された冊子もあり、

郷土の学習に活用されております。

また、昨年度、みんなの事業で採択されました

絵本制作の民話作品なども現在制作中でありますが、

郷土学習の教材として活用していけるのでは

ないかなと思っております。

今のところ現在ある読本を利用して

進めていきたいと考えております。

◆4番(杉本延博) 

では、教育分野について、移ってまいりたいと思います。
 神話の伝承、物の見方、考え方、

郷土の歴史の重要性を教育長から

答弁いただきましたけれども、

現在、郷土学習で冊子を使って教育を

行われていると答弁をいただきました。

現在、教育長はどのようなところまで

把握されていますか。

◎教育長(上田貞夫) 

神話とかいうものについては、

教科の中では教えておりません。

教科以外の分野で教えておりますので、

きちっとした把握はやっておりません。

◆4番(杉本延博) 

各学校長から報告は上がってきていますよね。

どうですか。

上がっていないですか、この郷土学習につきまして。

空き缶拾いですとか、民俗的な祭りを勉強するですとか、

地域の探検をするとか、さまざまありますけれども、

どの程度確認されていますか。

全くされていないんですか。

◎教育長(上田貞夫) 

個別にはありますけれども、そういう形で

まとまって報告というのはとっておりません。

◆4番(杉本延博) 

じゃ、まとまった報告はない、

個別には受けているということですけれども、

個別的に主にどういう報告を受けていますか。

◎教育長(上田貞夫) 

先ほどおっしゃいました地域の学習として、

空き缶拾い、あるいは水辺の楽校ということで、

地域の川に入って魚を観察したりとか、

学校によれば氷室のところもありますし、

あるいは地域で作物を栽培したりとか、

そういうふうな形で個別に入ってきております。

◆4番(杉本延博) 

さまざまなジャンルにわたってやっているということは

大変評価しております。

本当にこの郷土史といいますと、

すべてにおきまして、歴史、伝統、文化というのが

どの分野にも重なっているわけであります。

私が常々訴えているのは、偉人ですかね、

足跡を残した人物にもっとスポットを当てても

いいんじゃないかなと思っているわけなんです。

先ほどから出ました2つの冊子です。

この中にちゃんと橿原の宮、ホンガラの奇習、

そして日本武尊が取り上げられているんです。

こういったことを朝の10分の授業で取り上げるとか、

そんなんできませんか。どうですか。

◎教育長(上田貞夫) 

私、議員おっしゃるように、郷土を知り、

そして郷土の偉人を知り、

郷土に誇りを持つということは

本当に大事なことだと思っております。

ですが、ただそれを一つのことだけに

すべての時間を割くわけにはまいりません。

いろんな授業の中で、日本武尊が出てくる場合もあれば、

高天原が出てくる場合もあれば、

いろんな場合があるわけです。

ですから、こちらのほうから具体的に

何々を使用しなさいという形では

学校には指示しておりません。

こういうふうな教材があるということは言っておりますが。

◆4番(杉本延博) 

僕が小学生のときは、副読本で、

ちょっと名前は忘れました、御所まちですとか、

大神宮さんというのを習った記憶があります。

本当にこの地域の伝承、物語、

こういうのを現在行われていますか。

それは把握できていないんですね。

先生に任すという答弁やと思うんですけれども、

こういうこともスポットを当てていただきたいなと

僕は切に思っているわけであります。
 先ほどから古事記、記紀万葉のことを

訴えておりますけれども、教育長の地元、

田原本町がございますね。

これは7代孝霊天皇の第三皇子

吉備津彦の生まれました黒田庵戸宮が

あるところでございます。

田原本町も一生懸命教育分野で

取り組んでいるところがあるんですけれども、

教育長はそれを知っていますか。

◎教育長(上田貞夫) 

黒田のお宮さんのところの伝説について

田原本町が取り組んでおることは知っております。

御所には、田原本に負けないくらい、

あるいはそれ以上のすごい伝承、

文化財がたくさんあります。

ですから、市長が申しておりますように、

御所を誇りに思う子供をつくるには、

そういうふうなところをしっかり勉強する

必要があるわけです。

ということで、先ほど申しました高天原であるとか、

そういうようなところをどうやって子供に

取り込んでいくか。

神話も教科の指導じゃなしに、

それ以外のところでどうやって子供が

誇りに思うような気持ちを持っていくかというものを

今現在何とかいい方法がないか思案中であります。

◆4番(杉本延博) 

ちょっと僕の言葉足らずやったんかもしれませんが、

質問の趣旨が違いました。

現在、田原本町、教育長の地元で

取り組みが行われています。

これは新聞とかでも紹介されました。

これを教育長は認識されていますか。

それをちょっと聞いていたんです。

◎教育長(上田貞夫) 

存じております。

◆4番(杉本延博) 

では、おっしゃってください。何をしていますか。

◎教育長(上田貞夫) 

冊子というんですが、パンフレット等も印刷して、

庁内の各所に置いているようでございます。

◆4番(杉本延博) 

冊子というのはこれのことかなと思うんですね。

ちょっと僕も田原本町に見学に行かせてもらいました。

古事記ってどんなものと、大変難しい、

かたいイメージがあると思うんですけれども、

よく読みましたら、本当におおらかで

楽しい自由な気風があるんですね。

その中でも4つの有名なところを取り上げて、

天岩戸、黄泉の国の話、因幡の白兎、

ヤマタノオロチと取り上げて、

特にヤマタノオロチはゲーム世代を意識してか、

ドラゴンクエストも入れて本当にわかりやすく

説明しているんです。
 その下に、ちょっと注目したいんですけれども、

古事記に特化した絵本を紹介すると同時に、

絵本を読みたい方は図書館にお問い合わせくださいと

書いてあるんです。

本当にこれは児童にも役に立つと思うんです。

僕らも小さいときに、うそをついたら閻魔大王さんに

舌抜かれるでとか、

さまざまなそういう昔話を通して、

伝承と同時に道徳というのを習ってきたんですね。

そういうのが今なくなってきたんじゃないかなと、

核家族化が進んで。そういうのもあるんですけれども、

御所市として現在こういう絵本は

配置というのはされていますか、この関係の。
 それに続きまして、先週の土曜日の

奈良新聞に紹介されていました。

これに関連するかなと思うんですけれども、

田原本町の町立図書館で

「郷土の歴史に親しんで」という

古事記関係を集めた特設コーナーを設けております。

現在、御所市はこんなのございませんよね。

どうですか。

◎教育長(上田貞夫) 

先ほどおっしゃいました「御所のむかしむかし」とか

「いにしえの御所を訪ねて」は図書館に

置いておりますが、そういうふうなコーナーは

設けておりません。

◆4番(杉本延博) 

今後、規模の大きい小さいは問いませんけれども、

何かそういう特設コーナーを設けていただくことは

検討できますか。

◎教育長(上田貞夫) 

子供にはそういうことをいろいろ

教えていきたいんですが、

特設コーナーを設けるについては

もう少し思案したいと。

それだけの材料はあることはあるんですけれども、

置くものがあるかどうかということも含めて、

検討していきたいと思います。

◆4番(杉本延博) 

検討のほうお願いします。
 また、偉人教育になるんですけれども、

4月21日の産経新聞に「松阪の一夜」という

賀茂真淵と本居宣長の初めての出会いを描いた

文章が紹介された記事があるんですけれども、

これが浜松市の県居小学校で読本化されています。

この読本というのは、歴史と郷土偉人を通して道徳心、

公共心を学ぶということなんですけれども、

これはどうやら戦前からある教科書で、

現在も使われているということでございます。

そしてまた、最近では、浜松市民、一市民が

漫画を通して賀茂真淵先生を知るということも

やっております。

本当に郷土偉人教育と盛んにやっております。
 また、先ほど壇上から申しましたように、

吉田松陰読本というのもございます。

これも私ちょっときょう持っているんですけれども、

小学校の朝の時間で吉田松陰の士規七則ですとか、

さまざまな文章を低学年から高学年へと

発育段階に応じて教えていると。

そして、感想文を書かせているというのがあります。

僕も萩には2回ほど行ったんですけれども、

本当に気持ちよくあいさつしていただいて、

フレンドリーに接してくれた生徒さんというのを

覚えています。

もちろん我が御所市でも、

あいさつ実践運動されています。

大正中学とかさまざまなところに行ったときに、

気持ちよくあいさつしてくれるというのは

本当にいいなと思いました。
 あいさつから道徳というのは始まると

思うんですけれども、

僕は先ほどから申していますように、

神武天皇、日本武尊というのは、

日本の建国を築いてきた英雄でありますけれども、

こういったことは現行の教科書では教えられません。

僕らのときも教えられませんでした。

これは前の議会にも発言したと思うんですけれども、

やはり御所市にも関係しております。

そうした中で、こんなに日本の歴史、伝統、文化の

発祥の地なんだということで、

さまざまな民俗、風習、産業、それぞれ歴史があります。

こういうのを扱っていますけれども、

こういう人物にも光を当てて、

教科書で教えられないならば、

せめて郷土史で「むかしむかしの御所」とかを使って

光を当てていっていただきたいというのは、

僕は切に希望すると同時に、

先生方に期待したいなと思います。
 最終的には先生方の裁量になると思うんですけれども、

例えば読本の作成が難しかったら、

先ほど申しました「むかしむかし御所」とか、

ああいうところのページを割いてでも

コピーして読本化するということはできませんか。

◎教育長(上田貞夫) 

コピーして読本化するということは考えておりません。

先ほど申しましたように、今ある現在の読本を利用して、

そのページを開いてやっていただくというふうに

考えております。

◆4番(杉本延博) 

じゃ、もう現場の先生方に期待したいと思います。
 本当に市長もそうです。

御所を愛し、誇り、自身を持つまちをつくりたい、

教育のまちをつくりたいとおっしゃっております。

これは市長の3つの基本方針の一つであります。

その教育分野のトップであるのが

教育長であるわけですね。

この市長の思いというのをやっぱり

教育界のトップとして御所市の教育に

反映していただきたいと思います。
 そうした中で、私が思いますに、

去年、中学の歴史教科書の採択がありました。

たしか日文でしたね、採択が。

これには神武天皇、日本武尊は、

僕は載っていなかったと思うんです。

本当に今、日本の歴史、伝統、文化の見

直しが大きく始まっております。

6月には石原東京都知事が、

今の憲法は無効である。

また、河村たかし名古屋市長は、

南京大虐殺はなかった。

そしてまた、大阪市の橋下市長も近

現代史の正しい客観的な見直しを

始めると言うております。

本当にまた自由社、育鵬社の教科書の採択率も

伸びました。

本当に今この日本が歴史、伝統、文化、

正しい物の見方を取り戻したい。

戦後教えられてきた偏向、自虐主観、

これを克服したいというのが

もう流れになってきております。

私も社会人になっていろいろ読みまして、

180度違うことにカルチャーショックを受けました。

本当に日本人に誇りを持つ。祖国を愛する。

これは郷土を愛する、誇りを持つことにも

つながると思いますので、

教育長には市長の2期目の4年間、

しっかりと補佐していただいて、

御所市に誇りを持つ教育の実践を

していただきたいと思います。

以上をもちまして、質問を終わります。



杉本延博さんというのは若い議員さんだそうですが、

なかなか立派な質問をされていますね。

これからの活躍に期待したいです。