「海猿」「尖閣」で受験者急増 

潜水士に憧れ海保学校入試

産経ニュース

 

人気映画「海猿」シリーズや、

国有化した尖閣諸島周辺のパトロール活動が

注目されていることなどから、

海上保安庁職員を目指す若者が急増している。

今年秋の海上保安学校の入学試験は

申込者数が前年の約2.5倍に膨れ上がった。

 

京都府舞鶴市に本校がある海保学校は、

主に高校卒業者が入学対象で、

試験は春と秋の2回実施。

受験申込者は過去2年、

春秋合わせて計約1万人だったが、

平成24年度は約1万6千人に増加。

秋試験に限ると、23年度の3064人から

7708人に急増した。


「映画の主人公、仙崎大輔君に憧れ、

『潜水士になりたい』と話す受験生が多い

映画などで認知度は確実に上がっている」

と採用担当者。

庁内には「憧れだけで入っても」という

冷めた声もあるが、

第3管区海上保安本部(横浜)の

三木基実本部長は

「仙崎君のような優秀な人に来てほしい」

と歓迎している。



実は、私の息子が防衛大学校を受験した頃も

「海猿」の影響で海保学校の人気が急上昇した。

息子が防衛大学校に入校したとき、

私の知り合いの息子さんは海保学校に入校した。

しかし、その息子さんは半年ももたず、

夏前に家に戻ってくると、まるで人が変わったように

人間不信に陥り、引きこもり生活になったという。

実際、海保OBの方に聴いた話によると、

海保学校に入ってから、辞めていく人間の数が

非常に多いという。

防衛大学校も入校してから辞めていく学生は多いし、

毎年のように任官拒否がニュースになる。

しかし、海保は防大の比ではないらしい。

海保OBの方は言う。

申込者が2.5倍に膨れ上がっても

実際には任官するときは定員割れするだろう、と。


例えば防衛大学校の卒業生の場合、

卒業後は陸上、海上、航空の

各幹部候補生学校に進むことになるが、

息子と同じ校友会の同期生は、

陸上に進んだものは全員、

幹部候補生学校を卒業して任官したが、

海上に進んだものは一人を除いて

残り全員が幹部候補生学校で辞めてしまった。


日本の国土は狭い。

国土面積は世界の国で60何番目だ。

しかし、海の面積を含めれば

世界で8番目の広さの国になる。

300以上の離島がある

世界有数の海洋国家なのだ。

その海洋国家・日本を守る

海上自衛隊、海保の厳しさは

想像を絶するものなのだ。

ゆとり教育で甘やかされて育った現代っ子が

憧れだけでやっていける世界なんかではない。

海保のOBの方も、

自分達の頃もたいてい厳しかったが、

今の子ども達にはとてもついていけないだろう

と、言われるのだ。


例えば、海上自衛隊で潜水艦で出動すれば、

また海保で巡視船で一旦出動すれば、

長期間、テレビとも携帯電話とも

無縁の生活に入る。

プライベートは寝るときのベッドの上だけなのだ。

子どもの頃からゲーム遊びをして

親から携帯電話を与えられて

ゆとり教育を受けて育った高校生が

憧れだけでそんな世界に入ったら、

「思っていたのと違う」と言って

簡単に辞めていくのだ。

2.5倍の申込者。

尖閣防衛に命をかける覚悟と志をもって

受験する高校生ならともかく、

映画『海猿』を観てあこがれて受験する高校生など

ほとんど残るとは思えない。