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マツミンのブログ

元気で愉快な社長さんに逢う会・セレブParty・合コンParty・・おもしろ交流会・お笑いLIVE情報など

おもしろい話題を書いていきます。


元よしもと・ホリプロ芸人 松稔の芸能裏話12芸人用語・隠語

 

弟子に付くようになって、覚えなければならないのが芸人用語。

今回はその芸人用語を書いて見たいと思います。

 

●おはようございます:朝でなくても挨拶の時に使います。

 

●お疲れ様でした:仕事が終わった後に使います。

 

●お先に勉強させて頂きます:舞台に上がる前に先輩や師匠に挨拶する。

 

●前説:テレビ番組が始まる前に説明や盛り上げをする。

 

●中説:テレビ番組でセットチェンジの間お客様を退屈させないように 盛り上げる。

 

●後説:テレビ番組の終了後、放送日などの説明。

 

●上席:1日~10日の舞台

 

●中席:11日~20日の舞台

 

●下席:21日~月末の舞台(今は1週間単位に変わった)

 

●お茶子さん:楽屋でお世話してくれる女性の方(着物の着付が出来ないといけない)芸人より古い人が多いので、結構恐いし厳しい。

 

●先生:師匠の師匠を先生と言う


●内弟子:師匠の家に住み込んで、家の事から師匠の事すべてをやらなくて はいけない。

紳助が内弟子だった。彼の師匠は洋之介・喜多代師匠で大御所 なので、紳助は子供のように可愛がってくれたそうです。

落語家は殆ど内弟子で、師匠の日常から芸を覚えるそうです。

 

●通い弟子:自宅から通っている弟子。僕は通い弟子だった。

漫才の弟子は 通いが殆どで、修行期間は3年間

●兄弟子(アニデシ):同じ師匠の先輩 ●弟弟子(オトウトデシ):同じ師匠の後輩

 

●兄さん:年齢に関係なく、一日でも早く入った男の先輩

 

●姉さん:年齢に関係なく、一日でも早く入った女の先輩

 

●上手(カミテ):舞台に向かって右側。普通の舞台の場合、芸人と云う者は 一般の人より身分が下なので、遜って下手から出るのに吉本の花月は上手か ら出る。
 

 

●下手(シモテ):舞台に向かって左側(NGKは下手から出る)

 

●緞帳(ドンチョウ):舞台の大幕

 

●板付き:暗転の間に舞台に居る事

 

●初日:舞台の最初の日

 

●中日(ナカビ):舞台期間の真中の日。吉本の場合10日間なので、5日目に お茶子さんや舞台、照明、スタッフの人にお礼のお金を渡す。

 

●楽日(ラクビ):舞台の最後の日

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元よしもと・ホリプロ芸人 松稔の芸能裏話11一杯のオジヤ

 

京都花月の出番の時、1回目の舞台が終わってから、H師匠が『二日 酔いやから、向かいの食堂で、オジヤを注文してくれ』と云われて、オジヤを注文しに行ったが、おばちゃんが『うちにそんなもん無い』って云われ た。

 

どうしようと思い、師匠に「オジヤは無いそうです」『あほか!無かったら作って貰え』

仕方なく又お店に行って「すみませんが、オジヤ作って貰えませんか」

 

『忙しい時にややこしいもん云わんといて』「うちの師匠が 二日酔いで、どうしてもオジヤが食べたいと云うことなのでお願いします」

 

『師匠の二日酔いなんか知らんがな』「そこをなんとかお願いします」

『しゃないな、そやけど他の人が終わってからやで』「あ、はい 有難うございます」

 

やっとの思いで、オジヤを作って貰えるようになった。 念願のオジヤが出来て、お金を払おうと値段を聞いたら『メニューに無いからな、600円にしとこか』「えっ600円」師匠から貰ったお金は 500円しかなかった。

 

「すみませんが500円しかないんですが」『何云うてんの、無茶ばっかり云ったんやから、これ位貰らわんと』

 

おばちゃんの云ってるのが正しいのだが、師匠にも云われへんし困っていたら『しゃない 500円でええわ、その代わりもう二度と云わんといて』「はい、すみま せん。」喜んでオジヤを持って外に出た。

 

そこは公園で、子供が野球をしていた。

勘の良い方は、判るだろうと思いますが、熱いおじやを持っている僕を目掛けてボールが飛んできた。

 

見事にオジヤの器にあたった。

スローモーションのようにゆっくり落ちて、木端微塵に割れた。

 

あっ! 全身の血の気が引いた。「これで弟子も終わった」と思った。

せっかく無理を云って作って貰ったオジヤ、そして器まで割ってしまった。

 

師匠にもおばちゃんにも何て云ったら良いか、人間は窮地に追い込まれたら面白い行動を するものだ。

 

無駄と判ってるのに、必死にオジヤを集めた。ちょっとでも元に戻そうとした。

 

暫く放心状態がつづいたが、やっと我に返っておばちゃんに謝りにいった。

「すみません・・・」器の割れたのを見たおばちゃんは、すべてを察してくれた。

 

『何をしてんの』言い訳をする気力もなく、突っ立っていた。

『オジヤ持って行かな怒られるんやろ』

「でも、お金ないから」『判ってるわ、それぐらい』おばちゃんは、又おじやを作ってくれた。

 

お店を出る時「お金どうしましょ・・・」と聞いたら『出世払いでええわ、今度こそボールに気付や』この時ほど嬉しい事はなかった。

 

もしおばちゃんがもう一回 おじやを作ってくれなかったら、多分辞めていたと思う。

 

やっとの思いで、オジヤを師匠に持って行った。

すでに一時間近く経っていた。

 

「師匠オジヤです」『お前、オジヤ一杯に何時間掛かってんねん』

何も言い訳出来ず『もういらん外で食ってくる』

 

あぁそれやったら、最初から外で食べに行ってくれたら、こんな苦労しなくても良かったのに。

 

結局オジヤは僕が食べる事になった。そのオジヤは一生忘れられない!!

涙の味がトッピングされて いた。

 

必ず出世して、お金を返そうと心に決めた。

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元よしもと・ホリプロ芸人 松稔の芸能裏話10カウス・ボタン師匠の弟子とコンビを組む

 

弟子生活もやっと落ち着き始めた頃、カウス・ボタンのボタン師匠の弟子で、

坂本のぼる君から『僕とコンビ組まへん』と誘われた。

 

原と云う相方が辞めて、これからどうしようかと悩んでいたので、嬉しかった。

真っ暗なトンネルの向こうから、一筋の明かりが見えたようだった。

 

坂本君は背が高く、スマートでオシャレな感じだった。

これはコンビとして行けると思い有無を云わずOKした。

 

それからは弟子生活をしながら、暇を見つけてはネタの勉強をした。

最初は坂本君がネタを書いて、それをする事にした。

 

コンビ名も坂本君が考えた、トムとジェリーにした。

 

坂本君が大きいのでネコ、僕は小さいのでねずみ、アニメから取った名前だが、可愛いし二人の雰囲気にぴったりだった。

 

その名前で良いか、師匠にお伺いを立てたら『あほか、そんなしょうもない名前アカン、大体芸名と云うのは師匠が付けるもんじゃ、勝手な事するな』と一喝された。

 

トムとジェリーは幻の芸名になってしまった。

 

そして師匠に付けて貰った芸名は、坂本のぼるの本を取って坂のぼる、僕は松下信幸の松だけ残して、のぼる君に合わせて‘る’の付く名前と云う事で松みのる、二人合わせてのぼる・みのると云うコテコテの芸名になってしまった。

 

それでも芸名が付くと嬉しいもので、一日でも早く舞台に立ちたいと思うようになった。合間を見つけては、二人で稽古をした。

 

彼が先輩なので、彼の云うこと聞いて必死になってネタ合わせをした。

稽古場が無いので、梅田花月のロビーでそれも支配人の近くで稽古した。

 

それは僕らの事を覚えて貰うため、大きな声で目立つようにしていた。

その甲斐有って、前説と云う仕事を貰った。

 

前説と云うのは、テレビ中継の入っている時セットや打ち合わせの間を、お客様に番組の説明や拍手・笑いの稽古など、本番が始まるまで繋ぐ仕事なのです。

 

短い時で5~10分これ位だったら持つが、長い時は30分位になる。

こんな時は持ちネタをやるのだが、あと何分やれば良いか見当も付かないので、落ちが来るまでに終わらせたりして、条件は最悪である。

 

その上盛り上がらなければ、次から仕事が無くなる。

 

これで貰うギャラは1回500円。税金引かれて450円になる。

何度か前説をやったり、仕事の都合でタレントが遅れた時は代わりに舞台に立つ

ようになったが、思うように受けなかった。

 

受けなくなるとお互いに、相手の責任にしてしまう、そしてケンカになる。

 

普段は仲が良かったのに、ネタの事でケンカするようになって、本当に仲が悪くなってしまい、コンビ解散!!

 

わずか3ヶ月のコンビだった。

コンビを解散すれば、又昔のように仲良く付き合えるようになった。

 

親・兄弟・夫婦・でもケンカするに、赤の他人がコンビと云うだけで四六時中一緒にいたらケンカにならない方がおかしい。

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元よしもと・ホリプロ芸人 松稔の芸能裏話9二人目の相方O君のまだまだ有る失敗談Ⅱ

 

*エピソード⑨灰皿事件 
 

いつも怒られているO君、今日も朝から失敗したらしく、正座して謝っていた。

 

師匠が『なんじゃその眼、反省してんのか』

「はい、心に痛く刺さってます」『何がじゃ』「師匠の言葉が」『俺の言葉は魚の小骨か』「うまい事言いますね」『やかましいわ』と云うが速いかガラスの灰皿が、O君の腹に食い込んだ。

 

その瞬間「グエッ」と異様な声が聞こえた。

 

僕だったら痛いふりをするのだが、彼は辛抱していた。

 

その上、何を思ったか、その灰皿をH師匠に返しにいった。

 

アホちゃうかそんな事したら、又投げられるのに。

 

H師匠は、O君が向かって来たので少しひるんだ。

 

『な、何や師匠に歯向かう気か』「いえタバコ吸うときいるでしょ」

 

O君が元に戻った時、師匠が『今そんな事してる場合とちゃうやろ』と云いながら、O君めがけてガラスの灰皿を投げつけた。

 

又腹に食い込んだ。

 

*エピソード⑩ドライヤー事件


舞台の前、師匠が『髪セットしてくれ』って云われて、ドライヤーでセットをしている時、よそ見しながらセットしていたので、熱風を師匠の頭に直接かけた。

 

『熱い~!何すんねん』その声でびっくりしたO君はドライヤーを、師匠の頭に落とした。

 

直接頭にドライヤーを落としたから、髪の毛がこげてしまった。

 

それでも、師匠は我慢しながら『ちゃんとせえ』「すみません」O君はあまり気にもしない性格なので、何事も無かったかのようにドライヤーをかけていた。

 

これ以上失敗しなければいいがと思っていたが、その願いは叶わなかった。

 

「師匠、頭薄くなってきましたね」と師匠が一番気にしている事をいとも

簡単に云ってしまった。

 

回りはシーンと氷ついた。

 

その後「お前はクビじゃ、俺の視界に入るな出て行け」と云われた。

 

内の弟子のしきたりで、失敗したら丸坊主か自宅謹慎で休まされる。

 

O君は夏休み・冬休み・春休みはもちろん秋休みまで取っている。

 

本人は一生懸命なので憎めない、ただ師匠と馬が合わなかった。

 

人間サンドバックと云われる位、毎日殴られない日や怒られない日はなかった。

 

O君が入ってからよけいな仕事は増えるし、僕までとばっちりが来るようになった。

 

まだまだ有りますが、思い出したら書きます。

 

この時、こんな奴とコンビ組むなんて思わなかった。

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元よしもと・ホリプロ芸人 松稔の芸能裏話8二人目の相方O君のまだまだ有る失敗談

 

*エピソード⑥師匠との食事 


師匠と食事をする時、師匠より高い物はダメ、 これは暗黙の常識になっている。

 

H師匠がきつねうどんを頼んだ時、僕は素うどん(かけうどん)を頼んだ、落合君はよりによって一番高いカツ丼を 頼んだ。

 

その瞬間『お前は帰れ!』って云われ、その店を追い出された。

しかし、落合君は何故、店から追い出されたか判っていなかった。

 

後で説明したら「足らなかった分だったら自分で出すのに」とまだ判ってなかった。

 

師匠と食事する時は、本当に気を使う。

師匠より後から食べて先に食べ終わらないといけない。

その間師匠のお茶が無くなっていれば、お茶を入れたり、 水を貰いに行ったり、様子を伺いながら食事をするので、味なんか全然わからへん。

 

一番困るのは師匠が素うどんを頼んだ時、何を頼めばいいのか、素うどんより安い物なんかないから、うどんだけかダシだけか悩んだ。

 

さすがにその時は同じ素うどんを頼んだ。

 

*エピソード⑦舞台衣装とり違い事件 


師匠の着替えを手伝っている時、H師匠のスーツとG師匠スーツをとり違えて、反対の服を着せたしまった。

 

一人で二人の師匠の着替えを手伝うのは、結構難しいもので、最初H師匠 にカッターシャツを渡し、次ぎG師匠にカッターシャツを渡す。

 

順番で行くとH師匠にネクタイを渡すのだが、G師匠が手を出すと順番が狂い平川師匠のネクタイを渡してしまう事がある。

 

僕の場合は、間違ってもネクタイぐらいだが、O君は服やズボンも完全に間違ったのだ。

 

H師匠は服の袖が長くて手が見えない、G師匠はカッターシャツが服から出ているし、 ズボンは靴下が丸見えになるくらい短かった。

 

着替える時間が無かったので、 そのまま舞台に出た。
お客さんはギャグだと思い出た瞬間笑いが起こった。

 

舞台から帰ってきた師匠は『服で笑いは取りた無いわボケ』と云って殴られ ていた。

 

*エピソード⑧靴磨き事件


姫路で健康ランドの営業の時、師匠の靴が汚れているから磨いてとい云ったら、磨く道具を忘れたらしく、トイレで磨いて来ると云って出て行った。

 

30分経っても帰って来なかった。師匠の出番が近づいてきたので、近くのトイレに探しに行ったが居なかった。

 

困り果てて、どうしようもなく師匠は靴下で舞台に上がる事になった。

 

しばらくしてO君は帰ってきた、「どこへ行ってたんや」『この階にトイレットペーパ無かったから下のトイレで磨いていました』

 

「あほか、いつまで磨いとんねん。師匠靴無しで舞台に出てるんやぞ」と云ったら、何を思ったかあわてて舞台に出て『師匠靴磨けました』と持って行った。

 

あまりの突然で 師匠もびっくりしていたけど、お客さんは大爆笑した。

 

でもネタが終わって 帰ってから師匠が大爆発した。

O君は一生懸命で真面目だが、一つの事しか考えられず周囲が見えない人間だった。
でも憎めない、普段が面白い大ボケで弟子仲間には好かれていました。

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元よしもと・ホリプロ芸人 松稔の芸能裏話7新弟子のY君が入ってきた

 

一人で弟子の仕事もある程度こなせるようになって来た頃、弟弟子が入って来た。

 

これでやっと、楽になると思って喜んでいた。

 

歳は僕より一つ上の23歳、でも38歳位に見えるおっさん。

 

真四角の顔・低い声・どんくさい動き・出身は三重県・サラリーマンをやっていて性格も固いし要領も悪い。

 

こいつのお陰で平穏だった、弟子生活もいっぺんに壊された。

 

失敗の多い弟子ワーストワンだった。いまでは良い思い出になった。

 

*エピソード①ラーメンの器事件

 

師匠が食べたラーメンの器を片付ける時、一つの器に残り汁を集めて、その汁の溜まっている器の上に空の器を重ねた。

 

ラーメンの汁が噴水のように溢れた、運悪く座布団の上でやったのでボトボトになった。

 

まるでドリフのコントのようだった。

 

*エピソード②人生幸朗師匠踏みつけ事件

 

楽屋で人生師匠が寝ていた、着物 を頭からスッポリ被っていたので、落合君は着物があるだけと思い、その 着物を踏ん付けた。

 

踏んだ所はちょうど人生師匠の顔だった、その瞬間師匠 はグエーと悲鳴を上げた。

 

着物を踏む事自体ダメなのに顔を踏むなんて恐ろしい奴だ。

 

*エピソード③テナーサックス、ハンガー事件

厚生年金会館でのイベントで、H師匠が服をどこかに掛けとけと云ったが、あいにくハンガーが無かった。

 

困ったY君はあちこち掛けるものを探した。

そこにG師匠のテナーサッ クスが立て掛けてあった。

 

それを見て何を血迷ったのかテナーサックスに 服を掛けてしまった。天然ボケな奴だ。

 

*エピソード④ビックスドロップ事件

 

師匠は完璧主義なので一つでも出来ない事が有ると怒る。

 

西宮市民会館のイベントに行くタクシーの中で『ビックス有るか』「あっ忘れました」『あほ!とって来い』と云われ高速道路で下ろされた。

 

要領の悪いY君は梅田花月まで取りに帰って、市民会館に戻ってきた。

 

しかし、師匠の出番は終わって帰った後だった。

 

梅田花月まで取りに帰らなくても近所で買ってくればいいのに、本当にどんくさい奴だ。

 

*エピソード⑤タクシー居眠り事件

 

弟子と云うのは絶対眠ってはいけない、それなのに落合君は電車とかタクシーに乗るとすぐ寝る。

 

タクシーでイベントに行く時、師匠は後部座席で真中に僕が座り、Y君は道案内をする為に助手席に座る。

 

動き始めて暫くすると首が運転手の方に、徐々に傾いて行くのが分かる。

 

師匠に見つからなかったらいいがと、冷や々してたら案の定、運転手さんにもたれ掛かり、運転手さんから『邪魔なんですけど』と言われた。

 

寝ていた師匠も起きて「お前はもうええ帰れ!」と又、高速道路で下ろされた。

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元よしもと・ホリプロ芸人 松稔の芸能裏話6島田紳助との出会い

 

島田洋之介・今喜多代師匠の弟子で、島田紳助と云う元暴走族の奴がいると、桂小枝から聞いていた。

 

紳助と初めて会ったのが京都花月で、さすが元暴走族やなぁと云う感じだった。

髪はリーゼントで剃りは入ってるし、いかつい顔に釣り上がった眼そして、しゃくれた顎、決して男前ではなかった。

 

どちらかと云うとシャクレタ顎でブサイクな顔やった。

オーバーオールに白のタートルネックセーター、厚底のスニーカー、弟子としては動きにくい靴を履いていた。

 

弟子生活も長いのか、弟子仲間では上の方だった。

とっつきにくく、恐かったからこっちから喋らなかった。

 

彼の方から『Wヤング師匠の弟子なんや』「ハイそうです」『あそこはきついやろ』「はい、いやいいえ」『そんな気使わんでええよ、同じ弟子やねんから』

 

最初恐かったけど、喋り出したらいい奴で、顔に似合わずロマンチストで色々考えていた。

 

どうしたら売れるか、売れる為に今なにをすべきか作戦を練っていた。

25才までに有名になって、30才になったら漫才やめて、40才なったら

自分のやりたい事をすると、事細かく将来設計をしていた。

 

彼の偉いのは、その通り実現させている事だ。

B&Bの洋七兄さんの弟弟子になる彼は、洋七兄さんに憧れていて、コンビを組むような話をしていた。

 

紳助はリーダータイプ、洋七兄さんもリーダータイプ、これでは自分を生かすのは無理と考えて、当時なんば花月で進行(舞台裏のスタッフ)をしていた松本竜介に話を持ち掛け、さんまさんの口添えもあってコンビを結成した。

 

紳助は年寄りを笑わすのはベテランの芸人さんに任して、僕らは若い人、

同世代の人を笑わせたいと会社に訴えていた。

 

その考えは同感で結構話が合った。

でも当時会社の考えは年寄りを笑わされへんもんが若い者を笑わせる訳がないと、訳の分からん事を云っていた。

 

しかし僕らの信念が通じたのか、当時新人マネージャーの田中さん(京大出身)が力になってくれた。

 

花月以外で初めてのライブを阪急ファイブオレンジルームで開催した。

200人位の客席でテレビにも出てない若手二組が、チラシを刷って自ら配りライブを実現させた。

 

思った通り客の反応は早く、爆笑につづく爆笑!思惑どうり良く受けた。

 

ダウンタウンやナイティナインなど、若手が活躍出来るようになったのは紳助のお陰だと云っても過言ではない。

 

お客さんが若い時は200%くらい力を出し切るが、年寄りや紳助を受け入れないような人の前では、10%くらいしか力を出さず思い切り手を抜いてりして、無駄な事をしない性格だった。

 

NHKの新人演芸コンテストで優勝じゃなくて敢闘賞だった時は、表彰式で貰った花束を舞台の上で投げつけていた。

 

その行為自体はいけない事だと思うが、一番受けていたのは紳助竜介だったので気持ちは凄く分かった。

 

後年はバラ珍で涙を流していたが、昔は客が野次でも飛ばそうものなら小道具の刀を持って追い掛け回していた。年取ると性格も丸くなるものだ。

 

とにかく紳助の功績で今の若い人にお笑いの流れを作ったように思う。

 

昔のお笑いタレントはスーツに蝶ネクタイと云うお揃いが基本だった、なのに紳竜は

つなぎの服でリーゼント、パンチパーマと云う出で立ちで先輩達から異端児扱いされていた。

 

しかしもっと昔の漫才は着物に三味線や太鼓で歌を中心にやっていた。

それを着物からタキシードにして、シャベリだけで勝負したエンタツ・アチャコ先生、やっぱり異端児扱いされた。

 

スターになる人は初め異端児扱いされるものだ。


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先の見えないトンネル・・・

 

僕の場合二人分の物を持っているからカバンとポケットはいつも満杯。

 

H師匠のタバコはマルボロ、G師匠はショートホープ、H師は先にお金をくれるから買置きが出来る。

 

G師匠はいつも後払い、金の無い僕に先に買える訳がないのにタバコを持って無かったら、『お前はH師匠の事ばかりやって、俺の事は何も出来んのか』とよく怒られた。

 

先にお金さえ貰っておけばいつでも持っていられるのに・・・でも一切言い分けは出来なかった。

 

それはこの世界、師匠の言葉は絶対!赤の物も師匠が黒と云えば黒になるんです。

 

最初はこの矛盾に腹が立ったが、今思えば相手の言葉にすぐ反撃すれば喧嘩になるが、よく考えれば腹の虫も収まる。一旦自分の心に収めてからゆっくり考えると云う事を学んだ。

 

当時55kgあった体重もわずか一ヶ月で45kgになった。

これは食べられなかったからじゃなく、僕の場合家から通っていたから食べる事に困ってはいない、精神的に圧迫されると人間は痩せられるものだなと思った。

 

たかの友梨もびっくりする位やせた。しょうもないダイエットするなら弟子入りすれば必ず痩せられます。

 

それは肉体的にも精神的にもきつい、師匠は弟子の事を人間と思っていない、奴隷か虫けらのようにしか扱ってくれない。

 

これも今思えばハングリー精神、根性を養う試練だったのかもしれません。

どの師匠も同じ経験をして、有名になっているのだから仕方ない。

 

当時はいじめとしか思えなかった。

一人で二人の師匠の荷物、スーツ、営業になるとギターにテナーサックスを持って行かなければならない。

 

肩から僕の荷物、片手にスーツにギターもう片手にテナーサックス、全部で10kg位を持って走り回る。

 

電車に乗る時はその荷物を持ってそれも師匠より先に行って切符を買う(師匠の荷物は地べた置けないので大変だった)。

 

改札を通る時は切符を口に加えて通る。

その上、師匠の席まで確保しなくてはいけない。

 

電車に乗っても師匠は寝るが、弟子は一切寝てはいけない。

もし寝たりしたらドツかれる。

でも一時間以上の電車移動はどうしても眠たくなる。

 

師匠二人が寝たらその後、寝ようかなと思う・・・

師匠は意地悪のように交代で寝る。まるで僕を監視しているようだ。

 

目的の駅に着けばタクシー乗り場まで一目散に走りタクシーを確保する。

僕は前に座り師匠は後ろに座る。

 

初めての仕事先でも場所を把握して、運転手に教える為だ。

 

地理をよく知っている人だといいが『すみません分からないのですが』と云われた大変!

 

目的地に時間内に行けなかったらすべて僕のせいになる。

 

そんな時「なんで知らんねん、お前プロやろそれ位知っとけ」と心の中で思いっきりツッこんでいた。

 

弟子やってると表だって云えない事が多いから、心の中では色んな事にツッコむようになって、良いツッコミの勉強になった。

 

芸の事やネタの事は一切教えてくれない、芸は盗むものとよく云われた。

 

その通りで漫才やコントは伝承芸じゃないので、自分に合う芸風を見つける事が一番大事だなと思った。

 

そして弟子をやって良かった事は、困った時に対処の仕方など最悪の状態からに追い込まれているので、怖いものは無くなった。

 

そして耐えると云う事を覚えた。その上吉本の芸人さんの舞台を生で、それも只で見れたのが一番の財産になっている。

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元よしもと・ホリプロ芸人 松稔の芸能裏話4相方原ひろし自殺未遂と突然の別れ

 

師匠が僕らを残して行ったから、相手は師匠が逃げたと思い怒りだした。

 

『こんな車乗られへん新車に代えてくれ』って、前がちょっと凹んだだけやのに

「それは出来ません」『じゃ師匠に謝りに来させ』って師匠にその事を 云ったら

『お前らがやった事やからわしら一切関係ない』と云われた。

 

相手と師匠の板ばさみになった原は責任を感じて『アルバイトして弁償する』と云って、

その日以来弟子を辞めてしまった。

 

唯一の話相手で将来一緒に有名 になって金儲けしようなぁって云ってた相方の夢も僅か1ヶ月で終わった。

 

たった一人になった僕の気持ちは捨てられた子犬のような感じだった。

 

たった一人でどう したら良いか分からなくなった、ただ今やめたら負け犬になる、

とりあえず 先の事は考えず今日一日頑張ろう。

 

一人でどうにか慣れてきた時だった。

 

突然悲劇が僕を襲ったそれは原ひろしの自殺のニュースだった。

原因は師匠を 乗せて有馬温泉に行く途中で起した事故だった。

相手の要求が凄くて、 いくらバイトしてもお金返せなくなって、突然失踪してしまった。

 

原のお父さんから電話があり『ひろしが金を持って家出した』との事、心配していたが まさかと思った。

 

師匠が一言謝ってくれれば、相手もここまで無茶をいわ なかったと思う。

師匠が謝りに来るまで修理はしない、その間代車は借りた ままで、借金は増えるいっぽう。

 

相談する相手もなく、途方の暮れて自殺を 決意したそうだ。

原は足摺岬に行って飛び降りたが、木に引っ掛かって助かった。

 

次の日旅館でタイムスイッチによる感電死を試みたが、時間前に眼が覚めた為断念。

最後に京都の第二タワーサイドホテルの7階から飛び降り2階に落ちた。

 

しかしその日2階が工事の為、砂利が満載されておりそれがクッションになり、 一命は取り止めた。

 

一時は下半身不随になると云われていたが、その心配も 無く元気に暮しているそうだ、

人間には寿命と云うのが有って、いくら死 のうと思っても死ねないものだ。

 

でも本当に良かった。 原がやめてから一人で二人の師匠に付くようになった。

 

N師匠(人は Gと呼んでいた)は元銀行員で頭が良く、神経質な人でした。

相方のH師匠はボケ役で、テレビや舞台では面白く優しい感じに見えたが、 弟子にはその優しい顔は見せなかった。

 

どちらかと云えば怖いし、舞台と 全然ちがっていた。普段は眼が鋭く、その眼で睨まれたら蛇に睨まれた蛙のように固まってしまう位の威圧があった。

 

H師匠がリーダーで、G 師匠はH師匠の云うことに100%聞いて仲の良いコンビだった。

普通どこのコンビも200%仲が悪い、舞台以外はすべて別行動をする。

 

しかし内の師匠は二人で花札したり、ネタ合わせやったりして1回目と 2回目の間は殆ど一緒にいた。

 

原がやめたので、一人で二人の師匠の世話を しなくてはいけない、

仕事の量は二倍になったのに貰える小遣いは一人分の 500円だけ、それも十日づつ交代に貰う。H師匠は必ず初日に貰えれるんですが・・・

 

G師匠はよく忘れる。多分わざとだと思う、どちらかと云えば ケチな師匠だった。

弟子はいつも師匠のそばにいて、おしぼり・タバコ・ ライター・喉飴など

必要なものをすぐ出せるようにしておかなければいけない。

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元よしもと・ホリプロ芸人 松稔の芸能裏話3最初の相方 原ひろしと壮絶な弟子修行

(3)最初の相方 原ひろしと壮絶な弟子修行
原ひろしと云うのは中学時代から頭は良く、学年でも10番以内に入る 秀才だった。
でも家庭事情がちょっと複雑だったので、高校時代から 愚だした。それと云うのも父親が再婚し、義母と上手く行かなかった。

その上自分のやりたい事が出来なく、父親の後継ぎ新聞配達店をやらされていた。
中学の頃同じクラスでありながら、あまり話しをしなかった。
それは、原は頭が良い文学系、僕は頭が悪いスポーツ系まさしく水と油だった。

そんな原の英語テストのエピソード、『今度のテストで100点取る』と公約した。
しかし一問だけ分からず90点だった。だけど原は全部消しゴムで消してあえて0点 にした。

なんと勿体ないことするやっちゃ、僕なんか必死にやっても10点の時 だったのに・・・どちらかと云えば嫌な奴だった。

そんな原と高校卒業後、ふと町で会った『何やってんの』って云うから、 僕は「デザイナーの卵」『ええなぁ俺なんか新聞配達』「そんな事ないよ デザイナー云うたら格好いいけど、毎日々版下貼りばっかりで何もおもろない」

『なんかええ事ないかなぁ』と二人共やる気のない頃、原が『吉本に行こか』「吉本って僕らお笑い出来へんで」『今からやったらええやんか』「そやけど お笑いなんか人前でせなあかんねやろ」『当たり前や』

「そらあかんわ、 学校の頃から手も上げた事ない暗い性格やのに」『そうか』「それに僕は デザイナーになって、将来情報誌かミニコミ誌を創りたいからやってんねんで、 親が聞いたら泣くわ」

『あほやな情報誌出すんやったらお金要るねんで、お前お金持ってるか』「ない」『そやろ有名になったら何でも出来んねんで』「そうか」『有名になるには吉本しかない』

そんなええかげんな 軽い気持ちで吉本興業に行くことになった。 つらい弟子修行も二人だからやって行けた。

ちょっと慣れてきたある日、有馬温泉の営業(大阪では余興と云う)に4人で 行く事になった。

師匠の車と云うのがダイハツフェローマックス軽の360cc この車で大の男4人が有馬温泉行くのは至難の業、自転車でレインボーブリ ッジを渡るようなもの、そこで僕の持っていたカリーナ1600ccで行く事にした。

その時思った「儲けているんやったら、もっとええ車乗れよ」って、ライバル西川きよし師匠はベンツ。

ある日きよし師匠のベンツと師匠のフェ ローマックスが出会った。 きよし師匠はオートマチックで窓を開けた。

師匠は必死に手動で窓を 開けて挨拶をしていた。弟子としては一寸恥ずかしかった。 
話は戻って往きは原が運転する事になった。

両師匠は免許がなく無茶な事を云う、師匠の云う事は絶対で逆らえない。
黄色ラインに入ってる時、急に『左に入れ』っと云われた、「あの黄色のラインに入ってる時は右も左も行けないんですけど」

『師匠の云う事が 聞けんのか』「いいえ」『入れ!』到底無理だと分かっていたが、云う事を聞いた原はどうなっても良いと思い左にハンドルを切った。

その瞬間ドドーン、急に入ったから後ろからオカマされた。

『あほ何ちゅう運転すんねん』師匠に怒られ、相手の車も『黄色の線から 出て来る奴あるか』と怒鳴られ僕らはパニック!

師匠は『仕事があるから 先に行く、お前らと一緒にいたら殺される。
あとの処理は任すお前らが やったんやからな』っと云いながらタクシーで行ってしまった。

そこからが悲劇の始まり・・・次回につづく

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