わたしはハワイに来てから茶道を習い始めました。
裏千家のハワイ支部があり、ブレーカーズホテルにとても立派な茶室があるんです。

茶道では、夏は「風炉」といってお釜を畳の上に置きますが、冬になると「炉」に変わり、暖を保つためにお釜を畳のなかの暖炉に入れます。11月はちょうど炉に切り替わる時期で、先日「炉開き」というお茶会がありました。

ハワイ在住の日本人や日系人、純粋なアメリカ人など、いろんな生徒さんに出会え、お茶会ではお濃茶をいっしょにいただきました。
わたしの先生もその席でお半東をしており、英語と日本語の両方で道具などの説明をしていました。

最後に先生は、「こちらでおしまいにいたしますので、よろしければもう一度炉をご覧になって、お帰りくださいませ」とごあいさつ。
ただ先生は「お帰りください」という英語の表現に少し悩んでいらっしゃいました。
結局なんと言ったか覚えていないのですが、
「お帰りください」ってどういうフレーズが適切なんだろう...と私も疑問を残したまま茶席をあとにしました。

帰ってから主人に聞いてみました。
失礼な客に対して店主が怒って「帰ってください」と言うのではなく、
「帰っていいですよ」と相手に「帰る」という選択肢を与えるという意味で使いたいとき、
Head outというフレーズを使うことが多いようです。

Please head out whenever you like. (お好きな時間にお帰りください)

Head out には「出かける、向かう」という意味があり、head out to A で「A(場所)に向かう」となります。
かならずしも「帰る」という意味ではないのですが、前述の茶席のようなシチュエーションにおいては「head out」が婉曲的で好まれるようです。もちろんhead outの代わりに「leave」を使っても大丈夫です。

つい「帰る」だから「go home」を使いがちですが、「head out」に置き換えてみると、より丁寧でナチュラルに聞こえます。ぜひ使ってみてください。