羽田新ルートの強行に具体的根拠なし!松原仁の国会質問で明らかに

飛行機需要の減少が続くなかで羽田空港都心低空飛行ルートの運用が続いています。

コロナウイルス感染症対策として屋内では換気が強く求められている中、住宅街にパチンコ店並みとされる激しい金属音と重低音が降り注ぎ、住民からは切実な苦痛の声が上がっています。

さらに驚くべきことは、こうした強烈な騒音を伴うルートを飛行機が飛ぶ必然性が特にないと国土交通省が認めていることです。

さまざま新聞やテレビ、週刊誌でも取り上げられた4月6日の決算委員会の議事録をご紹介します。

 

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武村主査代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松原仁君。

松原分科員 おはようございます。

 最初に、首都圏、羽田の低空飛行、着陸問題でありますが、コロナウイルスの流行による航空機需要の減少が極めて大きくなっている。

 羽田空港、成田空港における本年三月の航空機需要、昨年同月比、どの程度増減したか、お答えいただきたい。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりまして、旅客便を中心に世界的に大幅な減便、運休が生じており、我が国においても、本年三月は、前年同月と比べ、国際旅客便でございますけれども、羽田空港はマイナス四六%の月約千八百便、成田空港はマイナス四二%の月約四千便となっております。国内旅客便につきましては、羽田空港はマイナス一五%の月一万二千便、成田空港はプラス〇・五%の月二千百便の運航となっております。

松原 これは三月きりでありますが、週で見たとき、きょうのNHKか何かでも、一一%しか運航されていない、こういう状況でありました。今週というか、きょうの前の一週間の一つの区切りでどれぐらい減便になっているか、お伺いします。

和田 お答え申し上げます。

 週で見た場合、先週、三月二十九日から四月四日までの一週間でございますけれども、前年同期と比べまして、国際旅客便は、羽田空港はマイナス八一%、成田空港はマイナス八八%でございます。それから、国内旅客便につきましては、羽田空港はマイナス二〇%、成田空港はマイナス二〇%となっております。

松原 新型コロナウイルスの影響による減便が発生していて、現行経路での受入れも物理的に可能ではないかというふうに我々は考えておりますが、いかがですか。


和田 お答えを申し上げます。

 羽田空港の現時点での減便状況であれば、発着容量のみの観点からは、従来より使用されてきた飛行経路で受入れが可能となっております。

 一方で、新型コロナウイルスの影響が収束した後の速やかな増便の実現でありますとか、首都圏における騒音共有の観点等も踏まえ、新しい飛行経路も運用を続けたいと考えております。

松原 局長、質問にだけ答えてもらえばいいから。

 それでは、大臣にお伺いいたしますが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が延期となったこと、コロナウイルスの感染、そして、この非常なる減便を鑑みて、新飛行経路の運用開始時期について延期をするというのは合理的な判断としてあり得ると思っております。

 一度立ちどまって検討すべきと考えておりますが、このことに関しての担当者としてのお考えをお示しいただきたい。

赤羽国務大臣 もし、東京オリンピック・パラリンピックが延期ではなくて中止になるとか、いわゆる首都圏空港の需要が回復はもう永遠に見込めないということであるならば、この新飛行経路の問題というのは根本的に考え直さなければいけないのではないかとはもちろん思いますが、そうしたことではなくて、来年の夏には延期をされる。

 我々の思いとしては、観光政策というのは、今はこういう状況でありますが、おさまれば拡大をしていかなければいけない。そうなると、これまで長い期間、これは松原先生なんかもその中で参加をしていただいたと思うんですが、首都圏空港の強化の問題、また羽田空港の国際化も含めた問題というのはいろんな議論があって、そしてこれまで、やはりこれをこなしていくのは新経路の導入しかないということで、去年そうした決定がされたものだと承知をしております。

 その中で、さまざまな安全対策をとる中で、私、先日、実機飛行したパイロットの皆さんたちのお話を聞かせていただきながら、私の個人的なそのときの思いは、やはり夏場というのは、ちょっと私は専門家じゃないのであれなんですけれども、飛行機の構造上、想定より高度が高くなる、そうした場合に、おりてくるときにはやはり二段階の、三度に変えるスロットにしてほしいというようなことがあり、それは基本的には安全なんだけれども、そういう話がありましたので、率直に思って、やはり夏場の、そうした期間の実機というのはやれればよかったなというふうに私は思いました。

 そうした意味で、この夏、フルスロットではないということを、逆にこの期間を助走期間と考えて、そうしたデータを積み重ねる。騒音のことも、若干、異常値というか、高いところでも音が出ていたりとか、約二割ぐらい推定値より高いところが出ておりますので、そうしたこともデータとして蓄積しなければいけないという課題が残っていると思います。

 ですから、この実機飛行的なところというのは少しデータを蓄えなきゃいけないということでは、私はちょっと逆の意味で、今この期間に、フルスロットじゃないときにさせていただきたいなというふうに思って継続をしているわけでございます。

 ただ、もちろん、騒音の問題ですとか、経路の下の住民の皆さんに対してはさまざまな負担をかけるわけでありますので、そうしたことについてしっかりデータを分析しながら、騒音の問題が引き続き推定値より大きいようであればさらなる対策をとって、そうしたことも関係者の皆さんに丁寧な説明をさせていただきながら状況を見ていかなければいけないかな、こう思っております。

松原 極めて重要な、重大な発言があったと思っております。

 東京オリンピック・パラリンピックが延期であるという状況では運用はそのまま継続したいが、中止になった場合は違う……(赤羽国務大臣「いや、違いますよ」と呼ぶ)ということではない。ああ、そう。まあ、中止ではないということなので。

 私は、今の大臣の御発言も踏まえた上で航空局長に確認をしますが、新飛行経路の運用は物理的に延期できないのか。この理由を、航空局長、御説明お願いします。

和田 お答えを申し上げます。

 現在、新型コロナウイルスの影響による減便が発生しているところでございますけれども、この影響が一段落をすれば、反転攻勢を行い、訪日外国人旅行者のさらなる受入れ等のために速やかに羽田空港の復便が可能となるようにしておく必要がございます。

 また、羽田空港の騒音はこれまで主に千葉県側で負担をいただいておりましたけれども、新飛行経路の運用によりまして、首都圏全体での騒音共有が図られることになります。千葉県や関係二十五市町との確認書におきましても、十五時から十九時までのうち三時間程度においては、従来より使用されている飛行経路を運用しない旨、確認をしているところでございます。

 加えて、大臣からも御答弁ありましたけれども、減便によって余裕が生じている期間をフル運用に向けた助走期間と捉え、騒音対策や安全対策を改めて徹底してまいりたいと考えております。

 これらのことから、新飛行経路の運用を延期、中断することは考えてございません。

松原 航空局長は何としてもこれを堅持、実行しなきゃいけないという立場ですから、苦渋の答弁はそういうものだろうと思っておりますが。

 一つは、今、千葉県との確認によってこれは変更できないと。先ほど物理的には可能だというのは既に答弁でいただいている上で、千葉県との、千葉市ですね、関係二十五市町村との確認によってこれはできないというのは、公式なこういう議論で私自身は初めて聞いたところであります。

 また、その後に続いた、いわゆる減便の状況において試験飛行的な要素を踏まえてやろうということは、それ自体、従来の計画に無理があったということを逆に言えばみずから認めていることになるので、その点に関しては航空局の猛省を促したいわけでありますが。

 さて、千葉県及び関係二十五市町村との確認書において現行経路の使用をしない旨を決めたというふうなことは、これはいつですか、決まったのは。

和田 お答えを申し上げます。

 平成十七年九月の二日におきまして、羽田空港再拡張後の飛行ルート等に関する確認書の中で、騒音を低減し首都圏全体で騒音問題を共有するという理念の実現に向けて考えていくということになっております。

 また、令和元年十二月二十五日におきまして先ほど御答弁申し上げた確認書が締結をされておりまして、十五時から十九時のうち三時間程度は、東京湾から千葉県陸域への進入はしないことということを確認させていただいております。

松原 航空局長、簡潔に答弁いただきたいんですが、千葉との間の確認をするというこの事実は、東京の当該地域の自治体等には連絡はしてあるのか、そしてそのことは当該地域の住民は認識をしているのか。率直に、もう短い時間で結構です、答弁していただきたい。

和田 お答え申し上げます。

 新経路の運用に当たりまして、千葉側との話というのは、我々、いろいろなところで申し上げてきているところでございます。

松原 つまりは不十分なんですよ。この千葉との兼ね合いで、減便になっても航路を変えられないというのは、一つのこれは大きな、つまり千葉と東京との関係での議論になってくる。単純に、コロナウイルスで減便されたからこれを現行に戻しましょうという議論が単純議論としてできないということが、今局長の答弁で明らかになっているわけですから。

 このことを、きょうは質問時間が短いですから余り突っ込みませんが、本来は、品川、大田、渋谷、新宿、こういった新航路の人たちに、いや、皆さんいろいろとおっしゃっても、千葉ともこういう合意をしましたよということを言わないか、若しくは、そういう合意をするときに、そういう合意を千葉県としますよということを言うのが当たり前の話であって、それを言わないというのは極めて独善的と言わざるを得ないということは明確に申し上げておきたいと思います。まあ、答弁を求めても局長は苦渋の答弁しかしないでしょうから。

 この事実は、僕は、行政のあり方として、こういう千葉との確認が東京に対して影響を与えるときには、きちっとそのことは東京にも言って、双方で合意をとるということをするべきだと思うんですよ。

 するべきだと思いませんか。その一点だけ、時間がないから、答弁。

和田 御指摘の点につきましては、しっかりと情報の共有を図りたいと思います。

松原 次に、南風がこの四月のきょうまでの間、何回か吹きました。恐らくそのことに関してはさまざまなデータをそろえているんだと思いますが、これに関して、測定結果がきょうの夜かあした出てくるということなので、本来は質問しようと思いましたが、時間がないのでこれは飛ばします。

 ただ、私が申し上げたいことは、ここで出たさまざまなデータ、想定値よりも騒音がはるかに大きいとかいうデータがあった場合は、私は、それはきちっと見直すということをする、説明で抑えられる問題ではないということは明確に航空局長に言っておきたい。

 次に、地元の理解を得たということでありますが、地元の理解を得たとして、昨年八月七日の首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会というのがありましたが、この協議会というのは、その後、意思決定をすることが可能なものかどうか、局長、お伺いします。

和田 お答えを申し上げます。

 首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会でございますけれども、この設置趣旨でございますが、この協議会の開催に先立ちまして、首都圏空港の機能強化に関する技術的な選択肢がまとめられたところでございます。この選択肢をもとに、首都圏空港機能強化の具体化について、関係自治体や航空会社等の関係者で協議を行うというものでございます。これに従いまして、関係者と協議を進めてきたということでございます。

松原 メンバーの中に地元の声はどれぐらい反映される仕組みになっていますか。

和田 お答えを申し上げます。

 先生のお尋ねは特に東京都の関係だと思いますけれども、東京都の関係者としては、東京都の副知事、そして特別区長会会長がメンバーになってございます。

 そして、この具体化協議会に参加するに当たりまして、東京都それから各区等関係者で議論の上、この協議会に御参加をいただいているものと承知をしております。

松原 結論的にいけば、行政のトップでやっていると。

 現実に、この問題の、いわゆる騒音被害や落下物の危険性を直接受ける人間はそこに入っているのかということになってきたときに、入っているというふうに局長は断言できますか。

和田 お答えを申し上げます。

 東京都の副知事でありますとか特別区長会の会長さんが、それぞれの地域での議論を踏まえた上で総括的に御発言をいただいたものというふうに理解をしております。

松原 それぞれの地域の意見を踏まえたらどうかというふうな、これは局長としてはそれが精いっぱいの答弁でしょうが、現実に地域の理解を得たというのには定量的に考えてほど遠い状況だと私は思っております。

 そこで、お伺いしたいのは、住民投票条例というのが今地元でも議論されております。この住民投票条例によって住民の反対の意思が数値的に明確になった場合、定量的な地域住民の声とみなすかどうか、大臣、御答弁お願いします。

赤羽 大変申し上げにくいんですけれども、住民投票自体が行われるかどうか、まだ仮定の話というふうに承知していますので、そのことについて先走ってお答えするのはちょっと控えさせていただきたいと思います。

松原 わかりました。これができたときは真摯に向き合っていただきたいと思います。

 次に、三月二十八日に成田空港出発便において、エンジン上部のパネル、重さ約百グラムが脱落した。このことに関して、今、国土交通省はどんなふうな対応をしているのか、局長、お願いいたします。

和田 お答えを申し上げます。

 国土交通省といたしましては、事案発生後、速やかに原因者特定のための調査を実施し、全日空が運航する九一九便から脱落したものであることを特定をいたしました。

 これを受けまして、三点やっていることを御紹介申し上げます。

 まず、第一点は、全日空に対しまして、その発生当日に原因究明及び再発防止を指示をしており、現在、全日空の方で調査を行っているという点でございます。

 二点目は、この飛行機と同一型式機であり同一部品を装備した航空機を運航する日本の航空会社、外国の航空会社に対しまして、この取付け状況について緊急点検を指示をいたしました。

 それから、三点目でございますけれども、この飛行機の設計製造国でありますアメリカの連邦航空局に対しまして、この事案を報告するとともに、原因究明や再発防止の協力を要請しているところでございます。

松原 大事なことは、処分があるかないかであります。

 こういった落下物が出たときに、いや、人に当たらなかったから処分をしませんというのであっては、地域の不安感は増幅するだけであります。

 落下物総合パッケージの不備があろうとなかろうと、現実にこういった落下物があった場合、行政処分を行う必要があると思う。大臣、答弁をお願いします。

赤羽 この落下物問題というのは大変重大なインシデントにつながるということも鑑みれば、こうした落下物事案が発生した場合には、国土交通省として、落下物防止対策基準への遵守状況等をしっかり確認して、違反行為の重大性や悪質性を十分精査した上で、事業許可の取消しを含む不利益処分や行政指導を行うこととしております。

松原 さて、具体的なことを局長に聞きたいんですが、今大臣は、当然その処分があるということを言った。問題は、いかなるものがおっこったときに、例えば今回百グラム、これだったら処分にしないのかどうか。

 つまり、私は、人に当たろうが当たるまいが、落下物があったということは、我々の、日本の首都圏のこの下にたくさんの人が生活をしている、大きな恐怖を与える、その恐怖を与えるという心理的なメカニズム、そのことに対して、当然、原因究明も速やかに行い、同時に、それなりの処分があるという緊張感がなければ話は進まないというふうに思っています。

 局長、明確な答弁をお願いします。

和田 お答えを申し上げます。

 落下物事案に対しましては、個々の事案に応じて、その事案ごとに原因者に対して原因究明や再発防止を実施するということにしておるところでございます。

 それで、これまで、その意味では、落下物防止対策基準というものがございませんでしたので、これを昨年から施行してございます。そして、この基準の遵守状況を確認し、違反行為の重大性でありますとか悪質性などを精査した上で、どのような処分を行うのが適切なのか、指導を行うのが適切なのか検討して、適切に対応してまいりたいと考えております。

松原 それじゃ不十分なんですよ。私が申し上げているのは、人にラッキーにも当たらなかったからいいよ、同じものがおっこって人に当たったら大変なことになるよ、これでは地域住民の不安の連鎖を解消できないということを言っているわけであります。私は、当然、その理由を明確にする必要があるし、研究する必要があると。

 ただ、この問題に関して処分が行われないということは、これは言語道断だ。それは軽い処分から重い処分まであるでしょう。必ず処分を行うというのは当たり前だろうと思っています。

 益城町において、かつていろいろな落下物があった、ガラス等を割った。これは処分は行われていますか。そのことについての調査は終わりましたか。

和田 お答えを申し上げます。

 今委員から御指摘のあった事案につきましては、現在、重大インシデントとして運輸安全委員会が調査を行っているところでございます。この調査の結果を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、事案の重大性や悪質性などを精査した上で、不利益処分や指導について検討してまいりたいと考えております。

松原 処分というのは、今までこういったことでどういう処分があったんですか。

和田 お答え申し上げます。

 処分というのは航空法に基づく事業の停止とか事業許可の取消しといったものでございますけれども、このような航空法に基づく措置は実施をしていないところでございます。

松原 つまり、処分がないということは、処分がないんですよ。とんでもないわけであります。緊張感がないわけであります。

 私は、きょうは短い時間なので、本当はこれを深掘りしたらどんどんいっちゃうんですが、この程度でやめておきますけれども、極めて、それだけの厳しいハードルがあるよということを設置することは、最低限、国土交通省のこれは責任であるということを明確に申し上げておきたいと思います。