片づけの現場で、私が大切にしているのは「違和感」です。
それはクライアントが口にした言葉や、何気ない行動、視線の動き、漂う空気感から立ち上がってくるもの。
本人がまだ気づいていない場合も多いのですが、問いを重ねることで「あれ? なんかおかしいのかも?」と心の奥に小さな芽が生まれるのです。
その芽こそが「違和感」。
そしてそれは、自分と向き合う最初の入口です。
✦問いかけてみましょう
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今の暮らしや働き方の中で、ふと「もやっと」する瞬間はどこにありますか?
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その違和感を、つい「みんながそう言っているから」と飲み込んでいませんか?
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もしその違和感を正面から受け止めたら、どんな暮らしの選択肢が見えてきそうですか?
違和感に触れることは、もどかしさや矛盾を直視することでもあり、時に苦しさを伴います。
だからこそ、多くの人が「辛い」と感じて、無意識に避けてしまうのです。
けれど本当は、その違和感こそが、自分の“本当”を知るための鍵。
ズレを知ることで、自分に合った選択へと修正していけるのです。
このプロセスを繰り返すうちに、人は自然と「自分の感覚」を取り戻し、自分の人生を自分で生きられるようになります。
私たちは矛盾や違和感を抱えながらも、世間の声や多数派の意見に押し流されがちです。
「みんながそう言うから、私の感じ方は間違っているのだろう」と。
けれど、本当にそれで違和感は消えるでしょうか?
そうではありません。
誰かの“正解”が自分を決めるのではなく、
自分の中にある違和感やもどかしさこそが、
「自分らしい暮らしの正解」に気づく最大のヒントなのです。
✦今日できる小さなアクション
ノートやスマホのメモに、 「今の生活でちょっと違和感を覚えることを1つだけ」 書き出してみてください。
それをすぐに解決する必要はありません。
ただ書き出すことで、その違和感があなたの中で“声”を持ち始めます。
片づけは、モノを減らすこと以上に、
矛盾や違和感を丁寧にすくい上げ、自分の“ほんとう”に触れるためのプロセスです。
あなたの心の奥で感じている小さな違和感を、どうか大切にしてください。
そこから始まる片づけは、暮らしを整えるだけでなく、自分自身を知る旅へとつながっていくからです。