昨日のブログの内容に答えてくれる本がたまたまあったため、速攻で読んでみました。


つっこみどころが多かったですが、面白かったです。


日本は破産しない!~騙されるな!「国債暴落で国家破産!」はトンデモ話だ!/上念 司
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最近良く聞く国家破産論者のロジックは、


「日本の債務残高は900兆円を超え、世界最大の借金大国になってしまった。あまりに額が大きくなると、市場では日本が借金を返せないのではないかと疑心暗鬼になる。もう国債の引き受けは限界だ。あるとき一部の投資家が日本の国債を売り浴びせると、他の投資家も雪崩を打って日本国債を投げ売りし、国債の買い手がいなくなってしまう。税収が落ち込んでいる現在、借金返済のために新たに借金をしているような状態だ。国債の買い手がいなくなると、このサイクルが断ち切られてたちまち日本は返済不能になってしまう。」


といったものです。ちなみにここでいう国家破産とは「国債のデフォルト(借金返済不能)」だと仮定します。


経済は、必ずどこかで反転してよくなる、どこかで盛り返すというのが常識ですが、仮にこのロジックに対して反論するとしたら、皆さんはどう反論しますか?


「日本には金融資産が1400兆円あるから、それを預かっている銀行が国債を買い支えしている間は大丈夫なんじゃないか。」と私はなんとなーーーく思ってました( ゜∋゜)


あるいは、消費税あげたいための煽りなんじゃないのともちょっと思ってました。ε=(。・д・。)


著者の答えは別でした。


それが面白いと思ったので、記載してみます。


ポイントは、日本は「変動相場制 」の国ということです。


変動相場制度と聞いて、お金の発行が自由にできるとピンと来る人には国債が返済不可能にならないという理屈はわかるかと思います。要は無理な借金返済を迫られたら通貨を発行しまくればいいわけですから。


この変動相場制をより理解するための具体例として、固定相場制を採用していて国家破産になったケースを著者はあげております。


ギリシャやアルゼンチンは、固定相場制を採用していて国家破産に追い込まれました。


固定相場制が意味するところは、「誰かが1円銀行に持ち込んだら1ドルと交換すると約束する」ということです。


これは外国人が1円持ってきても同じ対応をしなければなりません。


そのため、固定相場制の国の通貨発行量の上限は、理論上中央銀行や政府が持っている相手方通貨建て資産の金額とイコールになります。


アルゼンチンの場合、一時ハイパーインフレに襲われたため、経済が失墜し海外からの信用もガタ落ちでしたが、この固定相場制を導入してからインフレ率が大幅に下がり、海外からの信頼の取り戻しに成功し、導入当初の90年代はうまくいって、海外の投資を呼び寄せることができたため、国内設備を建設して輸出主導で10%近い経済成長ができました。


しかし、固定レートの相手方のアメリカがITバブルで金融引き締めを図りました。通常金融引き締めは金利をあげるという形で実施されます。アメリカドルの金利が高くなるとアメリカドルを買おうとしてドルが高くなります。


固定相場制のもとではこれにつられて、アルゼンチンの発行通貨であるペソもあがりました。アルゼンチンは日本と同じ輸出主導の国でしたので、主な輸出先であるブラジルがドルに対しての固定相場制をやめてレアル安の政策をとった際に、経済的に大きく打撃を受けることとなりました。


アルゼンチンは外国から多額の投資を受け入れていました。すべての海外からの投資資金は一旦ペソに換金されたあとにアルゼンチンの国債や民間の株式や社債になっていました。アルゼンチンの輸出起業の業績が悪化すると、まず株式市場が暴落します。株が暴落しますと通常は債券がその受け皿となって国債や社債が売れます。


しかし、アルゼンチンの株価が暴落しすぎて、海外の投資家から固定相場を維持できないのではないかという疑念が湧いて出てしまいました。


そこで、疑心暗鬼になった投資家が、固定相場が維持されている間にアルゼンチンに有する手持ちの資産を処分して自国通貨に交換しようと市場に殺到しました。


アルゼンチンの場合国債を償還する際にもペソで償還しなければなりません。しかし、ペソは政府と中央銀行が持っているドル資産以上には発行できないため、税金等によって国内からかき集めてくるしかありません。
もし、新たに通貨を発行すれば手持ちのドル資産以上の通貨発行になってしまい固定相場制を維持できなくなってしまいます。しかし、ペソ高の影響で経済は停滞し税収もあがりません。


ハイパーインフレの時の強烈なトラウマがあったため、固定相場制を維持しながら債務の返済をし続けようとし、必死でペソをかき集めましたが、2001年11月14日に国庫が空になってしまい国債の償還ができなくなってしまいました。アルゼンチンは国債の債務不履行(=デフォルト)をおこしてしまったのです。


逆に日本は変動相場制のため海外からむちゃな借金返済を求められたとしても、通貨発行すれば済むというロジックですね。


まあ、そもそも海外の国債保有比率は6%程度なのですが。


大学時代に金融や経済は勉強したのですが、ぱっと出てこなくなっているのにはショックでした。


日本やばい!って思考停止してなんとなく不安覚えている人には、それ以外にも面白い話が色々のってますので、お薦めいたします。