日系ビジネスアソシエの最新刊で、少し面白い記事を見つけました。


タイトルの通り「なりわい」について、伊藤洋志さんの記事。


テーマは自力で仕事を作る、職の自給自足(何種類か並列して仕事を行う)を進めるちょっと変わった働き方が特集されていました。


伊藤さんは、自宅も兼ねて改装した古民家の土間をギャラリーとして貸し出す、モンゴルの都市を探索し、遊牧民生活を楽しむ「モンゴル武者修行ツアー」を企画する、和歌山、熊野でパン職人に作り方を習うツアーを企画する、農業雑誌やウェブサイトに原稿を書くなど並行して様々な仕事を行っています。


仕事を選ぶ基準は「自分がやって楽しいか否か」


大きなマーケットの中で競争して、勝ち残ることではなく、「月収3万円の仕事を10個作る。」という働き方を伊藤さんは進めていて、これは面白いなぁと感じました。


大正9年の国政調査では、日本の職業は35,000種類。総務省の日本標準職業分類によれば、日本の職種は2,000種類しかないそうです。


昔の日本は今よりはるかに多くの職業を営んでいたみたいです、むしろ今のほうが職の多様性は低下していると言うのが伊藤さんの主張です。


私は大正時代と今では労働生産性が圧倒的に今の方が大きいですから、昔は非効率的な分業でも成り立っていたのが、今は専業化し効率化してきているため、働き方の選択肢が少なくなってきているのはなるほどおっしゃる通りだと思いますし、これに対して今多様性を取り戻す時期として、仕事を自分で作り出すことが大事という事には共感が持てました。


また、サービスを提供する目線として、提供するモノそれ自体ではなく、作り手と関係性や、体験したり、時間を共有するサービスのニーズが高まると予想していて、自分が体験したいこと、提供できることを生業探しのヒントとしているというのも興味深かったです。


こんな不景気ですし、デフレで単純な価格競争が起こりすぎていて、本来付加価値に対して支払われるべき対価が支払われていないのが現状です。その差を埋める一歩として、こういった多様性を持った働き方が認められて、自分が楽しい、面白いといったものにニーズが集まるようになってきて、単純にモノを作って売るだけでなく、従来であれば「そこまで手間隙かけることになんの得があるの?」と思うようなサービスが付加価値として認められてくるようになり、結果消費が起こるようになってくると面白いのかなぁと思いました。