以前の記事 で書きました、不動産ファンドについて、勉強会を先輩が開いてくれたので、復習もかねて書いてみます。メモ



興味のない人は、ちょっと難しい事も書きますので、読み飛ばしてくださいませ。(。-人-。)



不動産ファンドとは、投資家から集めた資金を、不動産で運用するための仕組みを指します。ビル



AM(アセットマネージャー)という人達は、こうした不動産ファンドに集まってきたお金を使って不動産を運用し、投資家の利益の最大化を目的としています。



不動産ファンドの複雑なスキーム(仕組み)も、全てはこの目的のためのリスクヘッジだと捕らえれば理解はし易くなると思います。SPC(特別目的会社)なんてものも、このためのものでしかありえません。



日本の不動産特有の法律や、慣習に基づいて、不動産を管理・運用し、投資家の利益の最大化を目指すものですが、考え方自体は、アメリカからの輸入品です。



さて、それでは総論から、各論に入っていきたいと思います。



ファンドスキーム(投資家の利益最大のための、お金の運用の仕組み)には、いくつか基本的な仕組みを組み合わせてできていますので、それぞれの目的を、単純に「どういった投資家さんに対するリスクヘッジができるか」②「コスト削減が図れるのか」の二点に集約して説明します。



①信託の活用・・・簡単に上記の二つの視点から書きますと、①「信託財産として、信託銀行に預けるためには、ある一定の基準を、クリアしてなければいけませんので、信託されている物件はリーガル的に問題のない物件だと考えられます。」また、②「実物不動産をSPCが購入するよりも、実物不動産を信託して信託受益権を取得する方が、流通課税を軽減できます。」



そもそも、信託ってなんなのよヾ(。`Д´。)ノ



という方のために、簡単に書きますと、委託者(不動産オーナー)が不動産を受託者(信託銀行等)に預けて管理、運用して貰い、不動産からの収益を受ける権利(信託受益権)を交付してもらう事をいいます。



信託銀行に不動産を管理して貰うためには、信託銀行のめんどくさい法律的なチェックを受けて、合格しなければならないと考えてください。



逆に言えば、信託されていることが①で述べたように、デューデリジェンス(不動産の価値評価)されていて、法律的にも問題ないですよという事を、実績のある信託銀行が示してくれている事にもなりますので、投資家さんは、違法な物件のリスクを回避できることになります。



また、②で述べた流通課税ってそもそもなんなのよヾ(。`Д´。)ノ



という方のために、簡単に書きますと、そもそも不動産の流通=不動産の所有権を移動する事と考えてください。この際に、登録免許税や、不動産取得税、印紙税などが土地、建物にかかります。これらのものを、流通課税と一般に呼んでいます。



信託した場合、取得税はなしでいいし、登録免許税も普通に売買するより全然安いと考えていただければ結構です。



これに対して、信託する際の特有のコストは信託銀行への報酬ですが、極論すれば流通課税のコスト削減効果が信託報酬よりも大きければ、信託の方が投資家さんにとってお得なのです。



以上が、信託の活用目的の主なものですが、イメージとしては、信託銀行のチェックを受けているから、法律的にまともに運用、管理されている物件なんだなと周りから評価され、税金も安くてすむ。だから、めんどくさいけど、信託銀行に預けるのだと思ってくれればOKです。



②匿名組合(商法535条)・・・これもあまり耳慣れない言葉だと思いますけど、目的からいえば、①というよりも、②「法人に対する法人課税と投資家への配当に対する二重課税を回避できる」ので使う仕組みです。



匿名組合?二重課税って・・・゚・゚*・(゚O゚(☆○=(`◇´*)o



という方のために、簡単に書きますと、匿名組合も投資家さんから出資を受けて、そのお金を使って事業を営む営業者の人が、投資家さんに利益を分配する仕組みです。



匿名組合は、法人ではないので、法人税がかからないのです!



また、この場合の営業者(不動産資金の運用先の会社)がする配当も損金として考えられますので、不動産資金を運用する会社にもお得といえるのです。



これが、利用の最大目的。



③有限責任中間法人・・・有限会社ではないのですよ。これの利用目的は、②ではなくて①「倒産隔離」です。つまり言ってしまえば、資金の拠出者と会社を倒産させる権利を持つ議決権者を分離できる仕組みです。投資家のいずれかの人が勝手に、運用している会社をやめたと言い出したら、他の投資家さんにとっては死活問題にもなりかねません。それを回避するための仕組みです。



お金払っている割合の多い人(株主など)が、通常は会社をやーめたーといえる権利を持つんですけど、中間法人では、お金をだしていない全然別の第三者しか、その権利がないよといえるのです。



この特徴を活かして、議決権者である社員にスポンサーとまったく利害関係がない第三者の公認会計士等を就任させることによって、中間法人自体を資金拠出者と、分離した組織にできます。



その上で実際の不動産の管理・運用を行う合同会社(SPC)の100%親会社にこの有限責任中間法人をすれば、SPCの倒産隔離をはかれることになります。



SPCって・・・:゙;`;:゙;`;・o(ロ≦〃)



という方のために、簡単に書きますと、不動産の運用など特別の目的のために設立された会社の事をさします。特に多いのは、合同会社です。



以上の三点が、資金を不動産運用のために集めて、投資家の利益最大化を目指すためによくもちいられる仕組みの解説です。



それぞれの細かいからみ方などに興味をもたれた方はぜひ、書店で本でも手にとって見てみてください。



さて以上の三点をうまく活用して、資金を不動産で運用し投資家さんに利益を分配するための仕組みをTK-GKとよくいいます。TK=匿名組合、GK=合同会社(SPC)を言います。



図がないと説明しずらいので、TK-GKのスキーム(仕組み)については、書店で見てください。m(_ _ )m



また、こういった複雑怪奇な仕組みをいくつか組み合わせて、不動産を運用するのもいいけど、どうせなら国から整理された仕組みを提供しようかといって考え出された仕組みが、特定目的会社=TMKといわれるスキームです。



これの特徴は、資産流動化法といった国の法律に基づくものだという事が大きいです。



匿名組合を組成しなくても、二重課税は回避できますし、登録免許税や不動産取得税も軽減できますし、国の信用力がつきますので、外国人投資家からお金を集めやすいですと、メリットは大きい反面、デメリットはいたって単純。



めんどくさいヾ(▼ヘ▼;)



の一言でイメージはご理解いただけるかと思います。財務局へ「資産流動化計画を作成する義務」や「四半期毎に国に報告義務」もあり、めんどくさいのです。



昔、こうした税金面のメリットをなんとか受けられないかと考えて、イギリスのケイマン島に会社作ってそっちで運用しようと考えたそうですが、英語でやりとりかつ報告でめんどくさくて頓挫したそうです。



ケイマンSPCってそれなりに有名みたいです。



話がそれましたが、総論さえ抑えられれば後は図を見てもらいながら特長抑えていけば、理解はできなくはないかなと。



実際運用しているAM(アセットマネージャー)の方達は、膨大な利害関係者の調整をしながら、お金の流れも注意深く見守らなければならず、まさしく手に汗をにぎる仕事だと言えます。



本当に不動産のプロでないとできない仕事だなあと。



話がそれたついでにもうひとつ、AMの仕事の内容のひとつに、ドキュメンテーションと呼ばれる作業もあります。



契約書類の作成をさし、関係者間の利害調整のためにルールを決めておく必要があること、不動産以外のリスクが極力排除されるようあらかじめ運用のルールを決めておく必要があることなどから、その量は膨大になります。



ひとつのスキームに30~40の契約書を作るそうです。



また、契約書以外にも、会計、税務、法律などもわかっていないと問題ですし、不動産固有のリスクについても理解していないと運用できません。



お金の流れも把握しておく必要があり、この流れをウォーターフォールといいます。



長々書きましたけど、実際運用するとなるとうんざりしてきそうです。



だから帰りがみんな遅いのかとも思ったり。



でもAMの報酬ってすごくいいので、人がそろえばそれなりに帰れるし、給料もよくなるそうですけどね。