私の尊敬する人の一人の大前研一さんhttp://www.attackers-school.com/beginners/index.html が最近新しい本を出し、その内容が斬新で納得のいくおもしろいものであったので紹介します。


出版:講談社

タイトル:ロウアーミドルの衝撃

著作:大前研一


今の日本の現状を作った政治の流れを「提供者の論理」と呼び、これから目指していかなければならない日本の方針を「生活者大国」と呼び、分かりやすく、かつ、将来性のある日本のあり方を描かれています。


少子高齢化になった将来の社会と、日本人の所得別に、日本のマーケットを分析して、どういった戦略が今後日本で好まれるか、また、「生活の質をあげてコストを下げる」ためには、どのような規制を撤廃すべきか、を具体的に書かれています。


また、日本人の多くは、特に政治に関しては自分で情報を分析して考えないで、常に他人に「おまかせ」していて、さらに期待もしていない。と書かれている点には共感しました。


本来公務員のリストラや政府の財政支出の無駄の削減等を第一に実行していくべきなのに、お題目だけかかげて、実質効果が薄い改革をすすめ、なのに負担はサラリーマン増税に任せるしかないなんていっている政府の税制委員会の方針は、読めば怒りが沸くと思います。


皆、「日本がまずいなんて、知ってるよ、でもしょうがないじゃん。」っていいますけど、対策うっとかないとやばいと思う人は是非読んでみてください。


私も、なにも、大前さん信者になりたいわけではないんですけどね。


でも、かなり生活者視点に立った提案をなされているので、読めばなるほどなぁと思うはずです。





その一例として、私は不動産業界に身をおいているので、日本の住宅輸入の問題に関して書いてみます。


日本は建築費が他国と比べて異様に高く、家の値段も、費用対効果考えると、借金背負って買うのがばかばかしくなるほど高いです。心の価値はお金では計れませんから、持ち家が悪いというわけではないのですが、でも高いのは事実なのです。また「持ち家」幻想がすでに昔の生活習慣から出てくるものだという事はすでに、何かでお聞きになっている方も多いと思います。


それも、じゃあなんで高いのかといわれれば、日本の建築基準法では、海外からの安価で丈夫な家を輸入できない事が、第一点。

(オーストリアでは2×4工法の丈夫な家で建築費が坪20万円ですむのに対して、今の建築基準法だと確認の手間暇がかかって同レベルの住宅建てたとしたら坪30万は余裕で超えます。)


もう一点は、硝子やタイルといった建材も、バスタブ、トイレといった住宅設備も2~3社の大手が独占状態で、安くていいものが供給されていない点にあります。

(今の皆さんが使っている住宅設備もほとんどどこかで聞いたことがある日本のメーカー産ばかりで、海外の安いものがないのが分かるでしょう。これもJWWAの認可がとれないと駄目という規制があるからです。この点も大前さんは指摘されていたので、やっぱりと思いました。というか、不動産業界って、体質が古いんで、こういう点に着目して皆、文句をほとんどいわず、家作って売価に乗せてうっちゃってるんです。)


さらに、大前さんの著作を読んでいて、なんてこったと思った事があります。


それが建築認可制度の圧倒的な違いです。


オーストラリアではCAD/CAMシステムhttp://cworks.jp/ を導入し、建築認可に二日しかかかりません。


日本だとhttp://www.kobe-toshi-seibi.or.jp/matisen/1jouhou/seidosyokai/tiiki/img/k02_01.jpg の図の時間かかります。


最低でも三ヶ月超。この間役所の人達がこれはあってる間違ってると「いちゃもん」と「じらし」をしているという構造になってるんです。


さらに耐震性偽装も見抜けなかったくらいだから役所の人って本当にいるの?という事にもなります。


確かに他国と比べて日本の土地や建物に関する法制はめんどくさい基準が多いのですが、IT化で一気に作業を単純化して、公務員減らして、効率UPすれば、その効果は、私達庶民に返ってくるというわけです。


その他色々な業種で働いている人も、「確かにこうしたほうがいいな」とか、「この考え方は使える」という発見は絶対あると思いますので紹介してみました。


読んでなるほどとしか言えない程度の経験と知識しかもっていない私なんですが、この本は他の方の公演(寺島 実朗先生)の内容にも、また一般のビジネス雑誌でも取り扱われているお話しとも被ると思うので、おすすめです。