ども。
次男が教習所に通い始めました。
そんな彼から
先生に話しかけられる度に、先生の顔を見てしまうクセが抜けずに困ったとの報告を受けました。
人としては間違いないけど、
運転中やったらダメなヤツだよね、どうもこんばんは、マチルダです。
ちなみに次男、その後は前をしっかり見ながら運転しつつ先生と話すテクニックを手に入れた、と嬉しそうな顔で教えてくれました。
コロナウイルスで色々大変な事になってますね。
花粉症が大変な時期なのにマスクも買えないし。
私も先週末に買い物に出かけ、トイレットペーパーが全くない事に超びっくり。
トイレットペーパーは、ネットでデマが流れたせいで買い占めがあったらしい。
売り場の一部が閑散としていて、震災直後の事がふと頭によぎってしまい、不安感がより一層かき立てられる。
先々週末は給料日前で金欠だったし、買い置きなんかしてないわー。
お腹が弱い私にとっては死活問題…。
平日の昼間、暇を持て余す長男と次男にトイレットペーパーの調達を依頼するものの品切れで買えず…。
平日夕方、仕事終わりにドラッグストアへ立ち寄るも品切れで買えず…。
トイレットペーパーの在庫はたくさんあるってTwitterでも見たし、きっとそのうち落ち着くよね?!
( ・᷄ὢ・᷅ )
( ・᷄ὢ・᷅ )
…でもそのうちっていつよ?
不安におののく数日間。
家にある数ロールでケチりながらしのぐ。
今週末買えなかったらいよいよ困っちゃうな。
今日、不安な気持ちでホームセンターへ。
12ロール入りを1パック買えたよー!!
一家族1点限りだったけど、本当に助かった!
マスクは残念ながら売ってなかったけど、トイレットペーパーは棚にわずかながら並んでいる。
きっと来週にはトイレットペーパーの品薄状態は解消されるんだろうな。
小躍りしながら帰宅。
それと同時に私の母がやってきた。
廃品回収でもらったトイレットペーパー24ロールを届けてくれた。
びっくりしたけど、消耗品だから無駄にはならない。
バイトが終わった長男が帰宅。
今日は売ってたよ!と、
トイレットペーパーを18ロール入りを持って。
長男よ、トイレットペーパー買ってきてくれてありがとう。
一気に不安が吹き飛んだ。
わずか1週間でどうにかなるとは思わなかったよ。
私、デマに踊らされてバカみたい。
COOPに先週末に焦って注文したトイレットペーパー18ロール入り×2個が今度の木曜日に届いちゃう。
ホッとしたのか、お腹の調子が急降下中。
ども。
早いもんであっという間に2020年。
ミレニアムで沸いていた2000年の今日生まれた長男も、めでたく20歳に。
成人式に出席するためスーツを着て、慣れないネクタイに四苦八苦している長男。
スーツを着るのは大学の入学式と成人式の写真の前撮りの時、今日で3回目だ。
スマホでネクタイの結び方を調べてやってみるが、何度やってもうまく出来ず。
おいおいヘタクソだなぁ〜、ニヤニヤしながら私がネクタイを結ぶもうまくいかず。
2人であぁじゃないこうじゃない言いながらやっとこ結ぶ。
長男が
「(スーツの)ベストってズボンの中にしまうんだっけ?」
ととんでもない質問をしてきて次男と私は大爆笑。
オシャレに疎い、彼らしい。
長男が出掛けてしまう前に写真撮ろうと次男も誘って記念撮影する。
「アイツの方がでかいから、兄貴のメンツ台無しじゃねーか」
180cm越えの高身長に育った次男。
長男も176cmで決して小さくはないが、次男と並ぶとしょうがない。
2人で並んで写真撮影。
「おー、ちょっと肩組んでみてよ!」
2人は照れながら肩を組んで笑う。
私と長男の写真も次男に撮ってもらい、撮影会終了。
成人式に向かう長男を最寄り駅まで送り、次男もアルバイトに出掛け、家に私1人になった。
色んなことがあったけど、成人という区切りを迎え、長男が健やかに成長した事に感謝の気持ちでいっぱいだ。
感謝の気持ちと同様に、折に触れて考えるのは子育て中の母親として至らなかった事への反省だ。
もっと子供の気持ちに寄り添うべきだったとか、もっと良く話を聞いてあげるべきだったとか、今更どうにもならない事を振り返り、申し訳ない気持ちになる。
ひとり思いを巡らせていると、母がやって来た。
母と長男や次男の話に花を咲かせていると、長男が突然帰ってきた。
長男に会った母はアイドルが来たくらいの喜びようだ。
せっかくだからと長男と母で写真を撮ると母は用があるらしく帰っていった。
長男は同窓会まで時間があり、友達もみな1度帰宅すると言うので戻って来たそうだ。
15時頃の電車で出掛けるまでのんびりするらしい。
長男が家を出る時間になり、駅まで送って行く。
車の中で急に長男が
「20年間ありがとうございました。」
と突然言ってきた。
いやだわ、泣いちゃいそう。
私は泣くのをこらえて
「君が思いの外素直に育って良かったよぉ〜。」
思いの外、なんて余計なちゃちゃを入れてしまう。
「なんだよー、思いの外って!」
私が感動して照れてるのを察した長男がツッコミを入れる。
「いや、お母さん子育て中に余裕が無くて、もっとこうしてあげたらよかったとか、反省してるんだ…。お母さんはあんまりいいお母さんじゃなかったかもなって。」
「そんなこと、ないっすよ。」
「でもね、嬉しいよ。いい子に育って良かったよ。これから長い人生、良いこともそうでない事もたくさんあるだろうけど、きっと大丈夫。死ぬこと以外かすり傷って言うしさ、生きてりゃどうにかなる!頑張れ!」
大して気の利いたお祝いの言葉も言えないまま、駅到着。
「ありがとう」
笑顔で降りていく長男に楽しんでおいで、と手を振った。
ども。
長きに渡りブログを放置しとりました。
ちゃんと地球の片隅で生きとりましたよ、どうもみなさんこんばんは、マチルダです。
ジリジリと照りつける日差しで汗をかきつつ、買い物前に銀行へ。
休日だったので窓口はやっておらず、銀行内には5台ほどのATMが並んでいる。
1番端のATMには私の母と同じ位の年齢のご婦人がひとり、背中を少し丸めて黒いカバンの中から通帳を出しているようだ。
行内はエアコンがきいており、暑い外気に晒されて気だるかった体が一気にシャキッとするようだ。
カバンから通帳とカードを出し、引き出しをしようとすると、
「暑いわねぇ」
ご婦人が大きな声で言った。
独り言なのか?それとも私に向けて言ったのか?
いつものクセでついつい
「毎日暑いですね〜」
と返事をした。
ご婦人は
「でもこの中涼しいわよね〜。もう外に出るのイヤになっちゃうわよ〜!」
とラリーを続けてきた。
「そうですよね〜、わかります(笑)」
私も笑顔で返す。
「ねぇねぇ、今日って休みだけどさぁ、お金おろしたら手数料取られない?」
とご婦人が尋ねてきた。
「私の場合この口座から電気代とか諸々引き落とししてるからなのか、手数料取られないんです。口座でそういった引き落としとかありませんか?」
「あら〜💦私のはそういうのなんにもないのよね〜💦手数料かかっちゃうわよね~。平日に出直すわ。だいたい利息もろくに付かないのに手数料なんて絶対払いたくないわよねぇ!!」
私は下ろしたお金を財布に入れ、通帳とカードをカバンにしまった。
ご婦人の話に相槌をうちながら、ふと彼女を見た。
ベージュのサマーニットの下はノーブラだ。
ツールボタンがふたつ、しっかりと見えている。
私は目のやり場に困り、動揺した。
「私はもうちょっとここで涼もうかしら〜。でもあんまり冷えると関節が痛むのよね〜」
ご婦人は時間に余裕があるのか、まだまだ雑談がしたい様子だ。
私は不意打ちで人の裸体に近いものを見てしまった気恥しさと、屈託のない笑顔で話を続けるご婦人に少しの罪悪感を覚えつつ、
「あまり長く冷やしちゃダメですよ、では私はお先に失礼しますね。」
と、銀行を後にした。
ども。
約8年間、大切に育てていた観葉植物。
昨年の冬に葉が全て落ちてしまいました。
試行錯誤で伸びすぎた枝を切り、水と栄養を与え、YOUがいないと寂しいよ、と声を掛けて世話をする事数ヶ月。
今年に入り、小さな芽が出てきました。
先日芽から伸びた茎の先に柔らかくてつやつやとした新しい葉が出てきました。
苦境に立っている自分の身と重ね合わせてパキラの世話してきたので、何だかちょっと嬉しい気分。
私も君みたいに芽が出るといいけどな、みなさんこんにちは、マチルダです。
あれは昨年の夏。
夕食後に風呂場に向かおうとした時、妙な気配を感じて不意にキッチンの壁に目をやった。
キッチンの白い壁に黒いアイツがたたずんでいた。
ゴキブリがいる、と小さな声で長男に声を掛ける。
長男は苦悩に満ちた表情を浮かべた。
次男も心配している。
息子にGの見張りを頼み、急いで昨年話し合った通りの手配の準備だ。
魚捕り網を2個とゴキジェットプロ。
私と長男が網を持ち、次男は殺虫剤。
Gが大嫌いな私にはヤツの外見を見ただけでわかる。
やばいなコイツ、空も飛べるヤツじゃないか…。
気が狂いそうな勢いでパニックに陥った2015年の夏が思い起こされる。
しかし今年は違う。
ヤツの飛行開始前にこの網でとっ捕まえてやる。
いやいや、何なら飛んでるところをトンボ捕まえる要領で捕ってやってもいいぜ。
恐怖と闘争本能がせめぎ合う中、闘いの火蓋が切られた。
長男が及び腰で近づき、素早く網をかぶせたが、わずかな隙間から逃走し、また飛んだ。
案の定、我が家は大パニックだ。
叫び声と走り回る足音、家具や壁に誰かがぶつかるような音が響いた。
必死にヤツの行方を目で追ってはいたが、悲しいかな、人って怖かったり驚いちゃった時に目をつぶっちゃうのね。
またGを見失い、行方不明になった。
昨年同様に食器棚や冷蔵庫の後ろの隙間にゴキジェットをまくと、ヤツが焦ってこちらに飛んできた。
鶴翼の陣を取っていた私達は、気迫に満ちたGの飛行に恐れをなし、逃げ足がもつれて3人揃って倒れ込んでしまった。
痛みを感じる余裕がない。
マチルダ陣営は長期戦には耐えられない。
だって、我が家は壁の薄いおんぼろ賃貸の2階。
階下の方にこんな騒ぎを長々と聞かせるのは申し訳がない。
とにかく早くヤツを仕留めなければ!
体制を立て直し、いざ勝負‼︎
大将自ら弓(ゴキジェット)を手に取った。
弓矢が下手な大将は、弓をあちこちに打ちまくり、たまーに命中を繰り返し、ようやく敵を討ち取ることに成功した。
Gをゴミ箱に捨てるのは嫌なので、ホウキとちりとりでヤツを拾い、トイレに流す。
大将が床に撒き散らした殺虫剤をみんなで拭き取った。
あぁ、終わった。
私が風呂を済ませた後、リビングで3人今日の戦を振り返る。
まだまだだけど、少しずつうまく退治出来るようになってきたよね、しかし今回も怖かったね~、なんてビール片手に語る大将の足や腕はアザだらけだった。
ども。
2年前の夏。
あの夜、我が家は修羅場と化した。
夕方仕事から帰り、慌ただしく夕食の支度。
その日の出来事を3人でワイワイ話しながら餃子を食べていた。
玄関をノックする音。
出てみると、私の母が精米したお米を届けてくれた。
夕食時だったので、母はおしゃべりも程々に急いで帰って行った。
私と長男と次男は子供部屋の窓から母が車で帰る姿を手を振って見送った。
その時だった。
私の左目の視界の端っこ、息子2人の荷物が散乱しているフローリングに黒い何かが素早く横切ったように見えた。
あれ?そう思ったのと同時に、黒いあいつが焦った様子でフローリングをもう一度走り抜けた。
私の甲高い叫び声に加え、声変わりをした息子達2人の雄叫びが狭いアパートの一室に響き渡る。
デカい。
殺虫剤を慌てて持ち出し、噴射するタイミングを計れずにうろたえていると、ヤツは私達3人を更なる恐怖に陥れる。
飛んだのだ。
六畳の子供部屋を飛び回り、そして部屋干ししていた衣類に着地した。
長男と次男はどこからか突っ張り棒を持ち出し、へっぴり腰で構えている。
動き回るせいでうまく殺虫剤をかけられず、ヤツが飛行すれば我が家はパニック状態だ。
途中行方を見失った。
ヤツがまだどこかに潜んでいる状況に耐えられるはずもない。
突っ張り棒で長男と次男がビビりながらGが隠れてないかつついたりしながら探し、私は家具の隙間に殺虫剤をまき、ヤツが出てきてはパニックになる、を繰り返す事1時間。
ようやくホウキでヤツを押さえ込んだ。
押さえ込んだけど、ヤツはまだ死んでない。
接近戦だけは避けたかった。
ホウキを持つ手が恐怖でブルブル震える。
ホウキの隙間から殺虫剤を大量にまき、ようやく決着がついた。
長男が恐怖で呆然としている中、次男は殺虫剤を巻いた床の拭き掃除をし、私はヤツが止まった洗濯物をハンガーからはずしてもう一度洗濯し直した。
風呂を済ませてから、3人で今回の駆除について良かった点、悪かった点を話し合った。
数年前Gが出た時、誰が始末するかで醜い争いを繰り広げたが、今回は恐怖におののきながらもGを征伐する為に皆で力を合わせる事が出来た。
今度もしヤツが現れたら、使わなくなった魚捕り網を使って捕獲するチーム(2名)と、逃走経路を確認し、殺虫剤をまく司令塔兼スナイパー役(1名)で役割分担をして備える事を決定した。
…できたら、ヘッポコマチルダ機動隊が出動する事態が発生しない事を願わずにはいられなかった。
午前中だけでウンザリしてしまったサダヲの口撃から逃れるべく、サダヲのブースから離れた場所に立ち位置を移す。
午後は客足が多くなった。
会場に取引先のお客様がいらしたり、うちの営業マンも来た。知ってる人に会うとやはり緊張がほぐれてホッとする。
私はサダヲのアドバイスで納得したものは素直に取り入れ、少しずつお客様とのやり取りも慣れ始めた。
接客に慣れてきて安心したのも束の間、次第に足腰が辛くなってきた。
会場ではずっと立ちっぱなしだ。
上司はそんな私を気遣い
「おー、マチルダさん疲れただろう?お客さん来てない時はイスに座ってちょっと休んで。無理しちゃダメだぞー。」
と優しい一言。
ちょうど人の流れも途絶えたので好意に甘えてイスに座り、ふくらはぎをさする。
ふくらはぎはむくんでパンパンだし、履き慣れないパンプスのせいで足の指先や足の裏がジンジンして痛んだ。
イスに座ってホッとしたのも束の間、またサダヲがやって来た。
「アラアラッ!!ダメよォ〜座っちゃ〜!!お客さんいつ来るかわかんないわよ!?」
(;´・ω・)
常に監視(?)されている状況にウンザリしてくる。
…座る事も許されないのか。
苦笑いしながら立ち上がる。
その後もサダヲから離れて立つ私の元へわざわざやって来て話しかけられるわ、レクチャーしたイタすぎるサンプルの渡し方を実践しないことを注意されたり、あまりのしつこさに顔を見るのもイヤになってしまった。
上司はその様子を面白がり、
「マチルダさん、ずいぶんあのおじさんに気に入られたねぇ〜。」
と笑う。
「ああいう感じの人、どう接していいのかわからないから困っちゃうんですよ…」
サダヲの話題に苦笑いしか出ない。
上司は腕時計に目をやり、
「いよいよ終了まであと一時間ですよ!」
と言いながら、立ちっぱなしで疲れた足や腰をさする。
その時間には人も少なくなり、中にはもうディスプレイを片付け始めているところもあった。
「お客様も少なくなったし、足が辛いですよね。ほんの少し座りましょうよ。」
と上司3人に声を掛け、しばしみんなで談笑していた。
視界の左端にアイツが近づいてくるのが見えた。
もういいじゃん、放っておいてくれよ…。
「アラアラ〜。座ってちゃダメじゃない!!」
サダヲが会話に割って入る。
「さすがに1日立ちっぱなしは疲れましたし、もうほとんどお客様いらっしゃらないから…」
と、プチ抗議を試みる。
するとサダヲは話題を変え
「あ、ねぇねぇ〜、あの話みんなにした?」
と尋ねられる。
えぇ?何の話だろうか?
サダヲのマシンガントークに疲れた私は、途中から適当に相づちを打ってただけで話をほとんど聞いていなかった。
「ほら、〇〇駅にある美味しくて安いローストビーフ丼のお店の話よぉ!」
…あぁ、なんか息子さん連れて行きなさいって言ってたなぁ。
苦笑いしていると、サダヲは私の上司にその店の話を始めた。
その後もサダヲはうちの社のブースに張り付き、挙句座り込んでまでおしゃべりに夢中になってしまった。
するとお客様がいらっしゃった。
お客様の応対をしていると、何故かサダヲまで一緒になってうちの製品の紹介をしている。
…あなた、うちの社員じゃないじゃん。
最後の30分ほどの間に立て続けにお客様がいらっしゃり忙しくしていると、いつの間にかサダヲはいなくなっていた。
長い1日が無事終わり、上司と一緒に展示品を片付ける。
するとサダヲがまた来た。
「明日も(展示会)来るの?」
「明日は私じゃなくて、営業と製造部の者が来ますよ。」
するとサダヲは
「明日もいらっしゃいよぉ〜!!ねっ?ねっ?」
「明日来る2人はとてもひょうきんで楽しい方だから楽しみにして下さい。」
「アラ〜、また明日もあなたに会いたかったわぁ〜」
と、しょんぼりした様な表情を見せる。
社交辞令でも明日サダヲと会えなくて残念だとかお話したいとは言えなかった。
サダヲや周りのブースに出展している方々に挨拶をし、会場を後にした。
駅に向かう道中、上司が
「マチルダさん、相当あのおじさんに気に入られちゃったね〜。座り込んでまでおしゃべりに来ちゃう人、初めてだよ(笑)」
と笑っていた。
無事に1日を乗り越えた事とサダヲから解放された事に胸をなでおろし、日が暮れてビルの明かりが美しく灯る様を眺めながら帰路を急いだ。
電車に乗り、上司3人と待ち合わせ場所で合流し、会場に到着。
展示物の準備をし、いよいよ開場時間だ。
開場直後の客足は少なく、上司と雑談をして過ごしていたところに、やたら騒がしい中年男性がやって来た。
展示物を手に取り、オネエ言葉でけたたましく喋るその中年男性は、阿部サダヲに非常に似ている。
以下、彼の事はサダヲと呼ぶ。
キャラの濃さに尻込みしつつ、「こちら〇〇なんですよ。」と近づいて説明し始める。
「へぇ〜、そうなのぉ。でさ、これじゃないヤツ、ある?アラッ、無いの!?じゃあさ、コレってもらえちゃったりするのぉ〜?アラアラ〜うれし〜!!アリガト〜!!」
サダヲは親しげな感じで矢継ぎ早に喋る。
それに距離が近い。
すごく苦手なタイプだ。
サダヲは途中隣のブースのおじさんまで呼び寄せ、最初はうちの展示物の話題だったが次第に世間話に。
会話するうちに、サダヲはうちの会社の隣に出展している事がわかり、途中呼び寄せたおじさんはサダヲの同僚らしかった。
やかましいサダヲを追い返すべく、彼らの展示品について質問をする。
しばらくサダヲの商品の説明を受けていると、お客様がいらしたので自社のブースに戻った。
タイミングの悪い事に、上司は客先への電話応対やお手洗で不在、私しか居なかった。
私はお声がけした方が良いのか迷っているうちに、展示物をさらりと舐めるように見ただけで、お客様は行ってしまった。
接客は難しい…。
少しして上司が戻って来た。
上司はふらっとやって来て展示品を見ているお客様の間合いをうまく見計らい、商品の紹介をしている傍らで、私はうまく応対出来たり出来なかったりしていた。
気づかなかったが、サダヲは私の接客の様子を見ていたようだ。
お客様が途切れると度々私の元へやって来て、
「会社案内、どんどん配らなくっちゃダメよ!!そもそも展示会にヘタに社員使うのってダメなのよね〜。コンパニオンでも雇ってさぁ〜、時間内に会社案内を全部配ってねってお願いしちゃえば社員なんかよりもキチッとやんのよぉ〜キチッと〜!!ホラホラ〜、早く会社案内持って!!ハイ、配る!!」
「サンプル配る時はさぁ、『ハイ!!私の愛を受け取って♡』って言って渡すのぉ〜!!」
「口角上げて!!ホラ、スマイルよ〜、ス・マ・イ・ルゥ〜!!」
と、しつこいくらいにアドバイスしてくる。
お節介も行き過ぎると鬱陶しい。
ヒマができるとサダヲに捕まり、おしゃべり大好きな彼の世間話のおつきあいをするハメに。
めんどくさい事になってるが、今日1日の我慢。
上司の1人にお昼ご飯食べておいで、と渡された冷めた仕出し弁当を急いで食べ、いよいよ後半戦だ。
あと6時間、頑張らなければ。