菜穂ちゃん


あなたが翔んで


もう8年も経ちました


母さん


相変わらずこの世で過ごしてるよ


近況報告なら


肺癌以来8年ぶりに


寝込みました


夏風邪だけどね


寄る年波には勝てません


有休もほとんど使い果たし


臥せってしまいました



後はただ


黙々と働いて


庭のお花に水をやり


夕飯にビールを1本呑んで


うたた寝しながらテレビ観て


かわりばえのしない毎日です



あなたが居れば


あなたとふたりなら


こんな暮らしも


どんなにか楽しいことか


ひとりぼっちは虚しいだけ


何をしても何を観ても


たいして楽しくはなれません



自分が手放した幸せが


どんなに価値があったものか


喪って初めて知る


よくあるお話しだよね



あの日の事は


鮮やかに思い出せます


あなたの


冷たい身体に


すがり付いて泣いた事


その後の


さまざまな手続きや


通夜や葬儀の段取り


もう二度と繰り返したくない


次は私でありたい、と


しみじみ思ってしまう



子どもを亡くした母親は


海をさ迷い空を渡り飛ぶ


そんな気持ちで生きていく


ただ


生かされていく


それはそれで仕方ないよね



来年は


あなたの法要を


いつもの神社で行います


それでもう


私のこの世の務めは終わり


あなたが逝ったあの年の夏は


こんなに暑くはなかったよね


これから地球はどうなるのかな


人間は暮らしていけるのかな


そんなこんなを思ってしまう


あなたはいいな


今の地球を知らなくて


こんな時代を見なくって


最後にちょっとイヤみです



今夜は夢で逢えますように


大切な菜穂


愛しい、大好きな菜穂


心から


愛を込めて