昨年の4月に高校生になった人は、あっという間に1年が経ってしまった。
多くの学校では数学II、Bに差し掛かってきた頃だと思う。
そして4月からは文系・理系に分かれるところも多いだろう。

理系に進む人はなんといっても数学の出来不出来が大きく受験に影響する。
物理や化学に比べると、そもそも受験範囲が広く、そのために覚えなくてはならないことが多い教科である数学は、早めにできるようになっておいたほうが圧倒的に有利だ。

高2の段階で物理や化学が得意だとしても、そのリードはわりと簡単に詰められてしまう。
特に物理はそれほど覚えることがなく、ベクトルや三角関数などの数学的なベースがあればかなり短期間に(3ヶ月もあれば)マスターできてしまう。
この時期は学校の授業になんとかついていける程度でも十分すぎるほどで、時間が限られている高校生ならば数学や英語など得点化に時間のかかる教科にエネルギーを注ぐほうが効率が良い。

進学を考えている高校2年生であれば、最低でも1日3時間、出来れば4時間程度は勉強時間を確保しすべきだ。もちろん多いに越したことは無いが、寝不足になって次の日の授業が疎かになっては意味が無いので、集中して勉強できる最大限の時間が勉強時間ということになる。
この時間の中で学校の宿題や復習(場合によっては予習も)、苦手克服の自習をしなければならないのだから、例えば3時間であればそれほど多い時間でも無いことがわかる。学校の先生は他の教科のことや本人の実力お構いなしに宿題を出してくるので、下手をすると宿題を終えるだけで一日が終わってしまう。
しかし、宿題を終えるだけで一日の勉強を終わりにしていては永遠に成績は上がらないと断言しよう。いままでと同じことを続けているだけでは、いまの状態が続くだけなのだから。

そこで、このタイミングでこの先の予定を立てて、苦手科目の克服をしよう。
多くの高校(公立の進学校とか)では高2の冬くらいまでにII、Bが、高3の夏から秋くらいで全範囲が終わりになるようなスケジュールになっているとおもわれるので、まずは今年いっぱいで数学II、Bまでを克服するようなスケジュールを立てるのが現実的だ。今年いっぱいというと実は後10ヶ月しか無い。10ヶ月で遅れを取り戻し、かつリードするための勉強を始めよう。

数学に関して言えば、学校の宿題やほかの教科との兼ね合いも考えると、自分で計画を立てて独自に進める勉強に使える時間はせいぜい1時間くらいだろう。なので、この1時間を最大限に活かす計画をたてる必要がある。土日に遊びたいのを我慢して少し多めの時間(3時間ほど)を取っても1ヶ月でせいぜい40時間程度だ。

まず10ヶ月でI、A、II、Bを完了するには、1冊あたり2.5ヶ月ということになる。時間数にして100時間ほど、基チャート数Iの例題数は140、数Aは122、数IIは最も多くて215、数Bは数列とベクトルまでの範囲で115ある。これをうまく分配していきたい。

一つのパターンとしては
・数学Iで2ヶ月
・数学Aで2ヶ月
・数学IIで3ヶ月
・数学Bで2ヶ月
・全範囲の振り返りで1ヶ月
というものが考えられる。

数学I
高校数学のすべての基礎が入っている。ただ、因数分解の基本的なものだとか、単なる一次不等式の計算など、わざわざ復習しなくてもよいものが結構あるはず。例えば例題1から7、9、18、19、20、26、27あたりは解答を読めば十分だろう。後半でも例題80や81、130などはわざわざ解く必要が無い。ある程度自信がある問題を除けば、100題前後といったところだろうから、思ったほど大変ではない。問題を見て、解法が明らかにわかるものは飛ばし、おぼろげにわかるものは答えを見ずに解いてみて確認、解ければ次へ進み、解けなければ黄色のふせんを付けて次に進む。問題を見て解法が思いつかなかったものには赤のふせんをつけてなぜこのような解法になるのか考えながら写す。意味がわからなかったときは深入りせず、赤いふせんに×印をつけ、とりあえずわかる部分だけを理解して写す。こうして1周が終わったら、2周目からはふせんが付いているものだけを解く。2周目で解けた問題はふせんを外し、それ以外は1周目と同じルールで残していけば、周回数を増やすに従ってふせんは減り、どの問題も見慣れた問題になる。この方法のポイントは「苦手なもの、できるようになっていないものを何度も繰り返し、できているものにはいちいち時間を費やさない」というところにあるので、すでにできる問題については忘れていないかの確認程度に留めることが大切。時間は有限なのだから、すでに得点化されている「できる問題」よりも、得点化されていない「できない問題」に集中する。ここまでを4月までに。

数学A
学習指導要領上は、数学Aの4分野から3分野を履修することが想定されているが、どれも受験に必要な項目であり、今の段階では図形の性質の「作図」と「空間図形」を除いた全範囲を身に付けることにする。1単元削るのであれば図形の性質になるとおもわれるが、この分野には内分、外分や三角形の五心(外心、内心、重心、垂心、傍心)など数IIや数Bの理解を助ける考えが詰まっているので、高2に差し掛かった時期であれば知識をストックしておくほうがよい。(ただ、図形の性質の知識がなくても数IIや数Bのベクトルは履修できるように工夫されている)ここまでを6月までに。

数学II
ボリュームが多いという意味でひとつの山である。ただ、数Iの拡張的な分野が多く、また新しい概念が出てくる分野(対数関数や微分・積分)は難易度は相対的に低い。新しい記号やルールが出てくるので難しいことをやっているように見えるが、単なる公式の当てはめだったり、新しい記号を使った2次関数の問題(三角関数の例題120や、指数関数の例題142、対数関数の例題154など置き換え後はただの2次関数の最大・最小)だったりで、数Iの復習にもなる。
図形と方程式以降はx軸とy軸を使ったグラフを書きながら進めていく。グラフを面倒がって書かない人がいるが、ある程度正確なグラフを短時間に描くことができる能力は入試では必須といっていいので、グラフが必要な問題はグラフの概形は描くようにして問題にあたる。(フリーハンドで)
高校数学の代表のようによく言葉にされる「微分」が出てくるが、数IIでの微分は実態としては数Iの2次関数の延長としての3次関数といったところだ。やってることは図示して、最大最小を求めて、定数の値を決める程度で、むしろ数Iの2次関数のほうが難しいくらいだ。
ちょうど夏休みの時期から始まるので、一気に飛ばして学校でまだ習っていない範囲であっても進めていこう。9月まで。

数学B
数学I、A、II、Bまでの間では到達目標が最も高い分野だと思われる(あくまでも高校生の主観的に)。ただ、学ぶものは「ベクトル」と「数列」の2つしか無い。
ベクトルは図形を記号で表すスーパー記号問題だ。見慣れていないとベクトルを見ても図形をイメージすることができないが、ひたすらルールを覚えるものだと割りきって覚えていく。私たちは通常、三角形や円というものを線で囲まれた領域として形をイメージしているが、ベクトルというものを使うと文字で図形を表現できる。文字で表現できると文字式でいろいろと計算できるので、その際のルールがベクトルの単元で学ぶところになる。ベクトルの答案をよくみてみると、ひたすら「数と式」でやった文字の計算をしていることがわかる。図形を文字に結びつける、文字を図形に結びつけることを意識すればベクトルへの苦手意識は下がるだろう。
数列は得意不得意がはっきりする分野だ。数列ではほとんど公式が出てこない。等差数列、等比数列の一般項と和、シグマの記号くらいで、後半の漸化式のところでは公式らしきものがない。言い換えればこの単元はパターンを覚えるもので、漸化式の形に応じたパターン(特性方程式で式変形するもの、階差数列をとるもの、逆数をとるもの、都合のいい文字を掛けるもの)を適用できるようにするだけだ。最後の数学的帰納法も名前はなんだか大げさだが、やっていることはn=kとおいたものを条件式としてn=k+1を代入して出てきた式が成り立つことを証明するという「条件が等式または不等式だったときの等式または不等式の証明」問題であり、ほとんど式変形をどうするかという程度の問題だと思っていい。ベクトルで1ヶ月、数列で1ヶ月と分けても良いかも。11月まで。

12月は黄、赤ふせんの総復習。まずは赤色を最優先。黄色は読むだけでもいいだろう。この時点でできない問題は苦手な問題なのだから、これが本番の試験に出てしまったらアウトだ。受験までちょうど1年。冬休み返上で何とか潰して新しい年を迎えよう。