数学が苦手、または成績が上がらない生徒の多くに「素直」
という特徴があります。
えっ? 逆じゃないの?
素直な子の方が伸びますよね?
もちろん、こちらの言うことを受け入れてどんどん伸びる素直な子もたくさんいます。
そもそも我流ではなく、先生の指示通り進めることが一番の近道で、伸びる要素のはずだからです。
では素直な子が伸びないとはどう言うことなんでしょう。
それは、自身の頭を使わず鵜呑みにしてとりあえず進んでしまうと生徒の現象です。
言い方を変えれば、言われた通りに、ただ、ただ、ただ、ただ従うだけの授業。
そんなの生徒なんだから当たり前じゃないかと言われるかもしれませんが、これが原因で数学ができなくなる生徒がすごく多いんです。そして悪いことに一般的には良い生徒と認識されているので、原因が発見されにくいんです。
本人も言われた通りにやっているのどうしてテストで点が取れないのか不思議なはず。
もちろん全く点数が取れないわけではありません。
言われた通りノートを取り、問題集の問題を解き、解けなかった問題は繰り返し見直してテストに臨めば、基本問題は解けるはず。
見たことがある問題であれば思い出せる。
ただ、見たことがないような問題、ちょっとひねられた応用問題となるともうお手上げです。
あとで「これをこう変形すれば教科書の例題と同じでしょ」と言われてもどうやってそれを見つけるかがわからない。
そもそも同じ問題なの?と突っ込みたくなる。
基本問題を繰り返しやればいいと言うけれど、繰り返した問題はなんとか(これも結構繰り返してなんとか)できるけど、脳の容量だって限界があるんだからと愚痴も言いたくなる。
数学を得意にするのにいい子である必要はありません。
むしろ反発するくらいの方がいい場合が多いんです。
先生意味がわかりません。
どうしてそうなるんですか?
ルートの計算って必要ですか?
こんなこと口に出そうものなら、頭の悪い生徒認定、または授業の進行を邪魔する空気の読めない生徒認定でしょうか。
でも本当はその疑問を解消しながら教えてくれるのが先生であり、授業であるはず。
同じ説明でクラス全員がわかるのであれば苦労しません。
それなら有名な先生のビデオ授業を流していればいいはず。
でも、空気を読むいい子たちは、思っても決して口にはしません。
また自ら自分が数学のできない頭の悪い生徒だと言うことを表明したりはしません。
そう言った意味では賢い子たちなんです。
でもそれを口にしない代償に、その疑問に思うこと自体もできなくなっていきます。
いい子ちゃん症候群です。
本当はわかっていないのに、理解してるかのように黙々と授業を受け止め続ける生徒達。
もう何が理解できて、理解できていないかがわからない状態で日々が過ぎていきます。
だから私の授業では質問したり、「?」な表情をしてくれる生徒には言います。
「疑問に思えるってすごいねー」
持ち上げてるんじゃないんです。
やる気を出させたいとかじゃないんです。
本当にすごいと思うんです。
麻痺しちゃって、わかっているわかってないがわからなくなっている生徒が多い中で、「どうして」って思えるのって本当にすごいと思うんです。
我々数学講師は、言葉にならないそのちょっとした「?」を敏感にすくってあげることが一番の仕事なんじゃないかと思います。