久しぶりに上橋さん。
もともとたくさん次々に書く人ではないから、新刊を待って読むと、自ずと久しぶりになるわけだけれどね。
今年の3月にでていたのに、ちょっと見落としていたな。
鹿の王の続編とあるように、またまた「医」のお話です。
鹿の王の時にも書いたかもしれないけれど、これはまったくファンタジーでも児童文学でもないよ。
国や時代の設定がまったく架空のものでそれをファンタジー的だということはできるかもだけれど。
とっても難しい問題だよな。
医療とはなんぞや。
病気を治すとはなんぞや。
治った方がいいけれど、でも、人はいつかは死ぬわけで死ぬのは悪いことではない。当たり前のことだし、決して負けではない。
そこに穢れとか神とか魂とか・・・そういった言葉がまじりあってくると話はややこしくなる。
動物の身体を使って作った血清を身体にいれるなんて、穢れだ、神への冒涜、天国にはいけぬ・・・みたいなね、
じゃあ、治るかも知れない薬があるのに、目の前で苦しんでいる人を見殺しにするのか!
でも、これ言い出すと切りがない話で、どこまでならいいの?ってことよね。
臓器移植はいいとかいやだとか、延命治療だって点滴はいいけれど、胃瘻や人工呼吸器はいやだとか・・・
そういうことに答えを出すお話ではないから、すっきりなんてしないけれど、
「医」に真摯に立ち向かう人の真心を感じることはできたし、上橋さんの心根も感じることが出来たので満足感ありです。
鹿の王 水底の橋
1,760円
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