化粧室の祥子様をはばかって顰めた声で会話する。
「いや 見事な女性ですね。ご紹介くださって感謝しますよ。僕の好みにぴったりだ。」
「恐れいります。でも、どうかこれ以上は・・・。」
「彼女の意志なら構わないでしょう。」
彼に祥子様を奪われてしまっては元も子もない。
が、長谷川様は絶好の獲物を手中にした猛獣のような自信に溢れた声で、きっぱりと言い放った。
仕方ない・・予想できたことだ。
「これは、支配人への紹介料です。取っておいてください。」
差し出した私の手に長谷川様の手から落とされたのは、祥子様のパンティだった。
あわてて・・・腰のポケットにしまう。
あぁ 早く祥子様の愛液を味わいたい。今夜・・・存分に。
ひくっ・・・吐出したばかりなのにまた反応してしまう。

「そろそろお戻りでしょう。私はラウンジに先に戻っております。飲み物などはそのままで、ライブが終わるまでにお戻りください。」
空になったデキャンタを手に、私は茶室を離れた。


お二人がラウンジに戻られたのは最後の曲 Fly me to the Moon が2/3ほど過ぎたサックスソロの時だった。
祥子様はまるで何もなかったかのように、さりげなくお席に戻り隣のお連れ様に少しだけお話をされていたようだった。

<真夏の夜のジャズライブ>は無事終了した。
長谷川様たちは別の店で飲み直すといいながら、先に帰ってゆかれた。

「お忘れ物です。お客様」
お帰りになる祥子様に会計をされているフロントでGジャンをお渡しした。
私を見て、はっと頬を朱に染める祥子様。
それだけで・・わたしは満足だ。また来月もそのお姿を見たい。
「来月もお待ちしております。」
深々と頭を下げ、祥子様をお見送りした。
今夜はまだ終わらない・・・わたしは腰ポケットの中で祥子様のパンティを握りしめた。