今夜の宴席は離れと2階の2席だけだ。茶室は空いている。
長谷川様に茶室をご案内しようと、その時思いついた。
「ちょっとご挨拶にいくから、あと頼むぞ。」
サービスチーフに言いおいてフロントオフィスに立ち寄った。

茶室の鍵を手にする。
離れから回って茶室の鍵をあける。
エアコンを低くまわして昼間蒸していた室内を快適な温度にまで下げた。
明かりはつけなくてもいいだろう。
誰にも邪魔されずに祥子様の痴態を楽しむには絶好のロケーションだ。
これで1stセッションを終わりにします・・・沢田の声が聞こえる。
さぁ、長谷川様のところに・・・行こう。

シルバーのトレイを手に庭へ出る。池に掛かった橋を渡り築山を登りかけたところで祥子様の切ない喘ぎが・・・聞こえた。
もう長谷川様はあの方を籠絡して・・・あの肌を堪能しているんだ。
祥子様を組敷く他の男への激しい嫉妬の感情と、同時に祥子様の淫らな姿を見たいという欲望が私の身体を突き抜けた。それだけで、私の身体は反応し下着を濡らしてしまったのだ。
いけない、こんな昂った声で話しかけてはこれまでの計画がムダになる。
冷静にならなくては。
「おねがい許してください。もう・・・だめ。これ以上はだめ・・・。」今度ははっきりと祥子様の声が聞き取れる。
ラウンジでサービスの合間に聞く声とは明らかに違う。
普段でも深く丸く聞くものの心を掴んではなさない甘い声。
なのに男の手が加わると・・・こんなに抑えた声でも 匂い立つ様につややかで濡れた声になる。この声だけでも・・身体の芯に響く・・なんて声だ。