あれから数日経った。
仁王くんからの接触は一切なく、仁王くんは部活を休むようになっていた。電話をしても着信を拒否され、クラスを訪ねても逃げられていた。
怒られると思っているのだろうか…
「柳生。最近、仁王はどうしたの?」
ついに幸村くんに尋ねられた。幸村くんは笑顔だが周りに纏っている空気が明らかに恐ろしいものだった。
「幸村くん…それが、私にもわからないんです」
「まったく…練習試合はしあさってなんだよ?」
「はい、百も承知です」
幸村くんに小言を言われ始める。そこに
「困ったな」
柳くんが会話に入ってくる。
「今度の練習試合はダブルスの強化が目的だから、ダブルス1がいなくては意味をなさない」
更に小言を言われる。
「だから、仁王と柳生には絶対参加してもらわないと…」
「はい」
「仁王と何かあった確率86%」
「何があったんだい?」
二人はとっくに気付いていたようだ。しかし、練習試合が近いから解決策を一緒に考える方向に至ったようだ。
「実は…「話さんでえーよ」
話そうとした私の声に久しく聞いていなかった声が重なる。とても聞きたかった声だ。
「仁王…くん?」
「仁王!今まで何をしてたんだい?」
「仁王…何があったんだ?」
三人に一気に問いかけられ、仁王くんは目を見開く。そして、いつもの落ち着いた顔になり、喉の奥でククッと笑った。
「まぁ、落ち着きんしゃい」
「仁王くん…」
私の頬を涙が伝っていく。耳が聞こえなくなって、目には仁王くんしか見えない。まるで、この世界には私と仁王くんしかいないみたいな気がした。
すると仁王くんがテニスコートのフェンスに登り始めた。当然、皆から注目を集める。
そして、そのまま仁王くんが
「柳生!好いとうよ!世界で一番!じゃけん、おまんに嫌われるんは嫌ぜよ!…悪かったけん、許してくれ!まだ、許してくれるんなら、今から飛び降りるけん、受け止めてくれ!」
と皆に聞こえるように叫ぶ。当然、丸井くんにも聞こえるように…
そして仁王くんが飛び降りる。私は考える間もなく、仁王くんを助けていた。
「柳生なら受け止めてくれると思っとったナリ」
私の腕の中で笑う。仁王くんの綺麗な銀髪が風に揺れる。私の頬を伝う涙が乾き始める。そして、私も笑顔になる。
「柳生!これはどういうことだろぃ?」
そこに丸井くんが入ってくる。
「おい!仁「真田はこっちにいようか」
「放さんかっ「落ち着け、弦一郎」
少し離れたところで3強が騒いでいる。仁王くんはそれがまるで聞こえないかのように真剣な顔になった。
「丸井くん…すみません!全て、仁王くんのペテンによるものだったんです」
すると二人は笑いだした。
「もう…!…無理…ははっ」
「ククッ、限界ぜよ」
笑いだした意味がわからない私は頭に?を浮かべていると、仁王くんが笑いを止めて話し出した。
「今までのこと全部嘘だったナリ。すまんぜよ」
「は?」
本当に意味がわからない。嘘?今までのこと全部?何を言ってるか分からない。
「つまり、仁王が俺に告白したことも、俺と柳生が付き合ったことも全部嘘だろぃ。俺も悪いことしたし、ごめんな」
わざわざ丸井くんが説明する。そこで私は仁王くんにペテンにかけられていたと確信する。
「ペテンですか…丸井くん、仁王くんの二人で…仁王くん、あなたにとって私は何なのですか?」
「…恋人ナリ」
「そうです。なら、ついてよい嘘と悪い嘘の判別くらいつきますよね?私は傷ついているんですよ」
なるべく、低い声で暗く言う。そうでもないと、仁王くんは本気にしないだろうから。
「すまんかった…もう二度とこんな嘘つかんぜよ…だけぇ、許してくれんかの?」
必死に訴える仁王くんがとても可愛くて抱きしめたくなった。しかし、練習に戻らないといけないのでそれは出来ない。
「さて、これにて遊びは終いです」
そう言って歩き出す。
「許してくれるんか?柳生?」
仁王くんが後を追ってくる。その後ろから丸井くんもやってくる。
「本当にいいのかよぃ?」
「いいんですよ。」
だって、仁王くんが私の愛を確かめるためにしたのならこれは
「些細なことです」
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これにて終いです←
82は初めてだったんですが、どうでしたか?におやぎゅとあまり変わんない感じでした(笑)
読んでくれてありがとうございましたm(_ _)m
リクエストなどお待ちしてます。