ラフォルジュルネ東京終わりました。
今回このブログを共同で運営している相方によるリサイタルレビューをアップします。
マスレーエフの演奏を演奏会の会場で聴くのは、実に9年ぶりのことでした。
幸運なことに、私は最前列、それも演奏者の真正面という最高の席に座ることができました。
LFJ(ラ・フォル・ジュルネ)の会場は、ややデッドな音響環境ではありましたが、彼の奏でる音はその空間全体を共鳴させるほどの力強さと響きを持っていました。
プログラムはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第3番から始まり、ラフマニノフの「エレジー」、前奏曲第3-2番、そしてショパンの遺作ノクターンを経て、「英雄ポロネーズ」で締めくくられました。
彼の演奏はソロでありながら、まるでオーケストラや協奏曲、あるいは室内楽のような多彩な表情を見せ、各作品に驚くほど自然に寄り添っていました。
特に心を打たれたのは、冒頭のベートーヴェンのソナタ第3番です。
この曲はピアノ学習者にとって取り組む機会の多い作品ですが、個人的には以前あまり印象に残らない曲だと感じていました。
しかし、マスレーエフの手にかかると、その楽曲の中にまるでオーケストラのパートが存在するかのようで、各フレーズが異なる楽器の声として立ち現れ、一瞬たりとも退屈させない色彩と立体感に満ちた演奏となっていました。
アンコールでは、ゲオルギー・スヴィリドフの「タイム・フォワード」より一曲が披露されました。
初めて耳にする作品でしたが、マスレーエフはその楽曲の魅力を余すところなく引き出し、会場を熱狂させる素晴らしい時間を作り出してくれました。

