僕は留学に来てとてもよかったと思っています。

高校から今の国に来て、なんだかんだで当初の目標だった医学部に入れてしまいました。両親は実際に合格の手紙が来るまで信じてなかったようです(笑)

たしかにそれなりの努力はしました。ですが、それが自立的にできたのは留学したお陰かなと思っています。

僕の高校時代のホームステイは良い御宅だったんですが、基本的に放任で勉強や宿題云々でとやかく言いませんし生活もよほど悪く無い限り特に何も言われないようなところでした。

そんな周りに誰も見ていないような環境だったので、自分の事を決めるのは自分だって事が身にしみて分ったんだと思います。手を抜いて夢を諦めるのも、がんばって目標に到達するのも自分しだいだと。

それとやっぱり毎日顔を合わせる親の目って言うのは高校生には気になるもので、それが無いって事はやりたい放題とは言わないまでも行動の規制がずいぶん少なくなります。

当然好き放題やって自堕落な生活を送る留学生も多いです。個人的な感想では日本人だと7割くらいがそうでした。ですが、良い意味ですと家庭の価値観から外の事を経験しやすくなると思います。

僕は文化部系の家庭で育ったので今まであまりスポーツ系の事は興味がなかったのですが、こちらに来てから色々スポーツチームに入ったり格闘技やったりしました。他にもイタリア語をかじってみたりとか。こういった新しい事を試してみる気になるんです、留学に来ると。

新しい事を気軽に試して見る姿勢と自立精神が得られた留学はやっぱり来て正解でしたし、それを快く許可してくれた両親には非常に感謝しています。
「医学は科学ではない」、倫理の教授がそういいました。もちろん医学は科学に基づいていて、医者は科学的な知識に基づいて判断するわけですが患者と接する上で純粋に科学的ではいけないというのです。

科学の定義は「常に反復証明できるものである」らしい。これを元に考えてみると確かに医学は科学ではないでしょう。人間を対象にしている以上、感情や思想を無視できないのが一つの理由です。

感情や思想は個人の間で大きな差がありますし、個人の中でも差があります。前者の例えですと、ある人にとっては足を失う事よりも生きることが大事で別の人にとっては足を失うことが命を失うことに等しいかもしれません。後者の例えは、安楽死に賛成だった人が反対に変わることもあるでしょう。つまり個人間・個人内での反復証明が出来なくなります。この病気だから必ずこの治療法という様にはできないわけです。

客観的な科学に対して主観的な医学とでも言うのでしょうか。僕の学校では患者の側に立って考えるようによくいわれます。Patient centered approachというのですが、従来の科学的「お医者様」的なアプローチでは、説明が足りなかったり精神面でのケアが足りない事もあり信頼関係が築きにくいそうです。

色々興味深い話が多いので倫理の教授は好きなのですが、印象に残っているのはと「医者や医学生はロボットになりがちだが、ロボットではなくスーパーヒューマンになるべきである」と講義を閉めたことでした。ヒーロー好きとしてなるほどなーと(笑
ご存知の方も多いとは思いますが。感情的になって取り乱している人には、暖かくて甘い飲み物を飲ませると落ち着ますよね。その背景はといいますと、糖分と消化器官に物を入れるという行為が副交感神経を刺激する為だそうです。

交感神経・副交感神経(Sympathetic & parasympathetic nerves)は、無意識下で体内の調節をしてくれる神経、体温調節・心拍・血流・消化・瞳孔の大きさなんかに関係してくる神経です。筋肉を動かす神経や、感覚の神経と違いその働きを意識的にコントロールすることは出来ません。

この内の交感神経は、「森でくまさんに出会った時」に重要な役目があります。かの有名な歌にもあるように娘さんはすたこらさっさと逃げなければならないので、その為には心拍数を上げて、筋肉に血液を集中させて、必要の無い消化器官は止めるわけです。アドレナリンなんかがガンガン出てくるわけですね。

副交感神経はというと、主に逆の働きがあります。食休みが良い例えでしょうか。心拍数も落ち、血液が筋肉から消化吸収器官に集中し、心も落ち着いた状態ですね。つまり、副交感神経を刺激することによって高ぶった感情を鎮められると言う事になります。

泣きじゃくる子供に飴玉をあげると泣き止むのは、口が塞がるからだけではないって事でしょうか(笑)これからは少しずつこういったネタを書いていければと思っています。