数年前から、決勝レース中に燃料補給を伴うレース


(8耐・SUPER GT・スーパー耐久・Fニッポン etc.)


では、ピットレポート時に耐火スーツ着用が義務付けられました。




それまでは、っていうと、8耐のときなんかは僕は短パンでしたあせる




いつからか?僕はその時のことを鮮明に覚えています。




あれは忘れもしない2003年の鈴鹿8耐。


スタート時にオイルを撒いてしまったマシンがいて、


セブンスターホンダ・ヨシムラといった優勝候補のマシンが


まだ2周目(!)の1コーナーで続々と転倒!!




8耐初参戦だったGPライダー、ニッキー・ヘイデンは


セブンスターホンダでスタートライダーを担当。


転倒後、オフィシャルの方がニッキーの所に駆け寄り、


ニッキーは回収車(ドナドナと我々は呼んでいる)に


転倒したマシンを載せてしまいました。




回収車にマシンを載せる。イコール、リタイヤということになります。


再スタートするためには、ピットまでマシンを自力で押して戻さなければなりません。




2003年にHONDAワークスからGPデビューを飾ったニッキー。


前年までアメリカAMAで走っていたニッキーにとって


鈴鹿は春の世界GP以来、2度目(練習を除く)。


たぶん、日本も2度目。


駆けつけたオフィシャルさんとの言葉のコミュニケーションがうまくいかなかったのか?


ニッキー的には「言われるがままに」マシンを載せたのでしょう。








ホンダワークスとしては、8耐7連覇に向けて


前年までのキャビンに変わり、「セブン」スターをスポンサーに迎えた。




前年の8耐の覇者である天才・加藤大冶郎をその春のGPで亡くしてしまったHONDA。


「8耐優勝」への思いは例年にも増して強かったに違いない。




それだけにこの序盤のリタイヤ。


ホンダワークスのピットでの怒りは尋常ではなかったように見えた。








数周に渡ってセーフティカーが入り、コースの清掃作業が行われ、


そしてリスタート!




直後、ヘアピン立ち上がりでこれまた上位を期待されたチーム同士が


接触、転倒!


マシンの、そしてライダーのダメージはどうなのか?


修復に時間がかかるのか、それともすぐ治る程度のものなのか?


ファンの皆さんも知りたい所だと思います。




しかし、我々はそこでピットから一時退去しなければなりませんでした。


なぜか?


それは「耐火スーツを着ていなかったから。」




我々放送スタッフは、そりゃみんな怒りましたよ。


「何でそんな重要な情報が入ってこないんだよっ!?」って。




我々がどんなに怒ってもルールはルール。


準備が整うまでの間、1時間近くピットを離れなければなりませんでした。




2003年の8耐は本当にいろんなことがありました。


もう1台のセブンスターホンダも転倒を喫して後退。


そしてヨシムラも序盤の転倒でダメージを負ってしまいリタイヤ。


レースを引っ張っていたのはSUZUKI GSX-Rをライディングするプライベーター、


KENZの 北川圭一・藤原克昭組。




スタートから7時間。


既に2分近くの大差をつけていたKENZが最後のピットイン。


北川選手から藤原選手へライダー交代。


タイヤ交換・燃料補給も大きなタイムロスはない。




しかし!


セルは回るのにエンジンがかからない!!


押し掛けをしてもエンジンに火が入らない!!




最後のピットストップ作業でお役御免となるはずのKENZのピットが凍りつきました。




点火系のほんの100円ほどのパーツにトラブルが出たため、


北川選手・藤原選手は届きかけていた優勝を手にする事ができなかったのです。




そしてその年の8耐を制したのは


ホンダのサテライトチームである桜井ホンダ。


ワークスではない生見選手・鎌田選手が


ホンダの連勝を繋いだのでした。




大ちゃんの写真を持って表彰台に上がった二人の姿が


まだ焼きついています。




毎年色々な出来事がある鈴鹿8耐ですが、


やはり一番印象に残っているのは 2003年です。


今年は果たしてどんなドラマが待ち受けているのか?




あ、今度の8耐から、僕たちの着用する耐火スーツを


リニューアルしてくれるそうです。


今までのがあまりにも小さかったので、


これで少し楽になりそうですニコニコ