「その場をうまく喋ればいいというものではない。


時にはその先の生活を見据えて喋らないといけないこともある。」




以前僕が所属していた事務所の師匠から言われた言葉です。


この言葉だけだと「何のこっちゃ?」かもしれませんね。




師匠が司会に入ったある会場でのことです。




新郎は3度目の結婚で子供さんが一人(女の子。小学校5~6年生かな)


新婦は初婚。




パーティー前にその子と少し話をした師匠は


「今日はこの子が鍵になる」


と思ったそうで。




ウェディングケーキにナイフを入れ


新郎新婦でシェアリング


ここまでは通常通り。




しかし、師匠はその女の子を呼んで


新郎(つまりお父さん)にシェアリングをしてもらいました。


進行にない事だったので、プランナーの子はアタフタ・・・




その後、その女の子はブーケプルズでも強運を発揮。


新婦の友人を抑えて(?)見事ブーケをゲット。




パーティー終了後、プランナーの女の子から


「あそこは触れるべきだったんでしょうかねぇ?」


と言われた師匠。


そこでこう答えたそうです。




「入場シーンや乾杯のシーンで、その子はちょっとさびしそうな表情に見えた。


これから将来ずっと一緒に生活をしていくわけだし、


ましてや、これから反抗期に入ろうかという年齢の女の子はすごくデリケート。


ここで新婦と女の子の間に壁を作りたくなかった。


で、参加をしてもらった」んだそうです。




「さすがに新婦にシェアリングしてもらうっていうのは恥ずかしいだろうからね。


で、お父さんに、そして逆に食べさせたのよ。」




実はその時の会場に僕は音響で入っていたのですが、


師匠の会場の雰囲気作りは本当にすごい。


女の子も参加しやすい状況だったのではないかなと思います。




あと、こうも言ってました。




「会社関係とか友人関係の方をイジって楽しませるのは比較的簡単だと思う。


デリケートな所に触れないようにするのも、注意していれば何てことはない。


パーティー会場だけで完結させるのであれば。」




「でも新郎新婦とその女の子には、これからがスタートなんだし、


これから生活をしていく上で、何かしらの接点を作って


壁を取り払ってやりたいと思った。


後、子供もそうだけどデリケートなのは新婦も一緒なんだから


もちろん新婦ともよく話をしておかないといけないけどね。」




司会者(特にビギナー)は、目先の技術・目の前の進行に気を取られがちです。


もちろんそれも重要ですが。




「司会者とはどうあるべきか」について考えさせられたヒトコマでした。




いや、でも本当に師匠の気配り力には恐れ入ります。


普段、な~んにも見ていないようなのに(笑)。




いろんな人の思い


それを感じ取れる司会者になりたいと思います。