クリスマス/ホリデーシーズンがやって来た。


当地では、正月はさほど重要視されず、やはりクリスマスが一年でいちばん、人もお金も動くイベントだ。



ところが、なのだ。


11月に、咳がとんでもなく醜いインフルエンザに罹ったということもあるだろうけれど、全く自分の中で、クリスマスに対する例年のワクワク感が湧いてこなかった。



配偶者と俺は、夜寝る前にリビングルームで各々ストレッチやメディテーションをすることが日課になっている。

愛娘はすでに寝入っている時間帯なので、二人だけでじっくりと話す、一日の中での唯一の時間帯でもある。


先日、ふと俺が


「なんでか分からないんだけど、今年のホリデーシーズンは、気分が Festive mood じゃないんだよね〜」


と漏らしたところ、


隣でヨガマットを敷いてストレッチしていた配偶者が、赤ちゃんがハイハイするように急いで俺のそばに来て


「ゑっ?あなたもそう思う!?私も今年は全然そんな気にならなくって。いつもは、私が一年でいちばん好きな時期なのに。。。」


その時は、二人して


「なんでだろうね〜。家族して順番に風邪になっていたからかなあ」


という結論に至った。



愛娘はというと、彼女は相変わらず、学校や家で、クリスマスやそれに関わるイベントをワクワクしながら楽しんでいた。


ただ、今年は一つ、これまでとは違う大きな変化が彼女にあった。



秋の最中だっただろうか、ある日突然、9歳の愛娘が母親(配偶者)に


「ねえねえ、サンタクロースってマミーなんでしょう?」


と訊いてきたという。



そして次の日、学校へ迎えに行ったときに


「Now I know you guys are the Santa Claus (もう私はダディーとマミーがサンタだって知っているからね)」


と俺に言ってきたのだ。


あまりに突然そんなことを言われたので、俺は


「ななななっ、だだだれがそんなこと言った??」


と訊き返したら、


「マミー。」


その日のうちに、夜配偶者と二人で話すタイミングがあったので


「〇〇にサンタはいないって言った?で、俺たちが実はサンタだって言ったの?」


「うん言った。(さらりと)」


「だって、”サンタはいないんでしょう?マミーたちがサンタなんでしょう?”って訊かれたら、”サンタはいるよ。私たちはサンタじゃないよ”って、嘘はつけないでしょう?(またまたさらりと)」


配偶者はスピリチュアルなことにはオープンではあるけど、理想主義の俺とは違って現実的なところがあるのだ。


いままでも「良い子にしていないとサンタはプレゼントくれないよ」と、世の中の親が何の気なく使う文句に対しても


「良い子にしていようが、悪い態度だろうが、サンタはそんな区別なしに、子供たちにはプレゼントをくれないとおかしいよね」


という至極まともな意見を主張していた。



子どもたちにとっては『クリスマスといえばサンタクロース』というロマンを大切にしている俺にとっては、何の相談も俺になく愛娘に『サンタは実在しませんでした宣言 in 2023 』をやってのけた配偶者に若干苛ついた俺は


「まあ、たしかに嘘はつけないけど、逆に『サンタクロースはいない』っていうことも証明できるわけじゃないよね?もしかしたら本当にいるかもしれないし。」


と言った。


これは決して俺の屁理屈じゃなくて、世界各地でこれだけサンタの存在が知られているということは、イメージ通りではないにしても、モデルとなっている存在は実在する(実在した)のではないか、と考えるのだ。

そう、龍や妖精と同じように。


だから『サンタクロースはいない』とは、俺は言い切れないのだ。



と、まあそういう経緯がありながらも、我が家ではゴミ収集所で置き去りにされていた、鉢に入った針葉樹を救出してきて、それに飾り付けをしてクリスマスツリーに(笑)。友人知人からもらったクリスマスカードをその周りに飾って、この家で迎える初めてのクリスマスの準備は淡々としてきていた。



そして、ここで話は冒頭に戻ってくる。


愛娘は歳の割には落ち着きがあり、自分でピアスを開けると決めたり、親や友人に対して、感心させられるほどの気配りを見せたりもする。


でも、いまでも夜ベッドに入るときには、俺か配偶者が布団を掛けてあげないと安心して眠りにつけない(面倒だけど、そこが可愛かったりもするのだ)。


昨晩、いつものように配偶者とベッドに向かい、そこで親子ミーティング(風呂に入っていた俺抜きで)が行われたようだ。


テーマは『なんで今年のホリデーシーズンはいまいち Festive mood にならないのか』だったそうだ。


そして、二人が一致した結論は


『 ”サンタクロースはいない” と信じてしまったこと


もう、これしか理由が見つからない、というのだ。



とっても興味深くはないですか!?!?


そのことを、配偶者がお風呂に入る前に聞いていた俺は、愛娘のベッドルームを覗きに行ったときにまだ起きていたので


「マミーから聞いたよ。クリスチャンの人たちだって、ジーザスを見たことも、ジーザスと話したこともないけれど、信仰しているよね。だから、自分が見たことがないから、とか、周りが「いない」と言っているからって、サンタでもエンジェルでも「いない」って決めつけてしまうのは正しいことじゃないかもね」


と、二人でそれを納得し合ったのだ。


また、親子ミーティングのときに、我が家の新しいルールが一つできたそうで、それは


Never say I don't believe in Santa Claus (サンタクロースを信じないって二度と言わないこと)


ワクワクドキドキを失くしてしまった大人に、サンタからのプレゼントがないのは、もしかしたらそういうことなのかもしれないね。




関係ないことだけど、当地の名門州立大学の総長は、昨年まで日系カナダ/アメリカ人の「サンタ・オノ」さん(現在はミシガン大学の総長)だったんですよ。

当然、当地でもかなり珍しい名前です。




我が家のツリー(笑)小さなビンの中には愛娘が書いた「Never say i don't believe in Santa Claus」のメモが


古いアパートの玄関

もう20年近く、カナダに家族がいない我が家のメンバーを毎年クリスマスディナーに招待してくれる友人家族。本当にありがたいですね。