「俺なんか・私なんか頭悪いし、海外で働けるわけないよ。そもそも誰が雇ってくれんの?」

と、子供の頃から自虐的なことを言ったり思ってきていたとしたら、今回のブログ記事は、今までの考え方を少し変えるかもしれませんよ・・・

とりわけ英語圏の国へ行きたいとか、住みたいとか、留学したいとか考えている人たちというのは、「英語が好き」とか「英語が得意である」ということが、どうしても前提に来るのが日本人じゃないだろうか。

「えっ?他の国の人たちは違うの?」

と思われたとしたら

「うん、違うよ、結構ね」

と俺は答える。

俺が住むカナダは先進国のカテゴリーに入るし、難民や移民受け入れに寛容な国。
それとは相反して、発展途上国のカテゴリーに入る国の人たちや、自国の政治や宗教制度などに嫌気が差して、ここカナダを目指してくる人はとても多い。
実際に、俺が住む州だけで、この20年間で100万人の人口増加である。

なので、日本やその他の先進国から移住するのとは、そうではない国や地域から移住する人たちは、状況や環境が全く別物だと俺は感じている。
そして、「英語力向上」とか「自国に帰って英語を使った仕事をしたい」「外国人と友だちになりたい」とかいう、俺たちには慣れ親しんだ理由や目的も当然違ったものになる。

お隣のアメリカには不法な移民が多い、ということが度々取り上げられるけれど、カナダでも数は違えさえしても、同じようなことはある。

「どうにかしてでもカナダ(アメリカ)で生活していく」
「国にいる家族に送金しないといけない」

恵まれた国、日本やその他の先進国の人たちには到底理解できない境遇が、多くの人たちにある。


ここで、話を最初の方に戻そうかな。

これは俺の肌感覚で思うことで、経済誌や海外情勢に詳しいアナリストとかがどう言おうが構わない。そういう人たちは、実際にそこに住む人たちに混ざって暮らしているわけじゃないんだから。

ここブリティッシュコロンビア州からアメリカの西海岸も含めて、経済成長というか、建設ラッシュが著しい。
2026年にはサッカーのワールドカップも共同で開催されるしねえ。(メキシコも含め)

まあ、とにかくどこもかしこも人手不足なのである。

そして、一日中身体を使う仕事や、手先の器用さが求められる仕事、ストレートに書けば、教養のあるカナダ人がやりたがらないような仕事を移民がやっているケースは多い。

先に挙げた建設業なんかは特に顕著で、カナダなので面接は当然英語(もしくはフランス語)になるんだろうけれど、その席で

「あなたのTOEICスコアはどれくらいですかね?」
「英検は受けられましたか?」
「英語力を生かして、将来の夢は何ですか?」

というようなことを尋ねられることは、まず「ない」と俺は言い切る。

そういうことよりも、

「フォークリフトが操縦できます」
「これくらいのスピードで釘が打てます。バチンバチンってね!」
「足場を組むのは任せてもらってもいいです」
「地震国である日本の建設業で働いていました」

というようなことを伝えると

「明日から来てもらえますか? 時給はこれでスタート。◯時から◯時まで。
その他の条件はメールで詳しく送るので、英語ができる人に訳してもらってください。 OK?」

となる確率は非常に高い。加えて、こちらの肉体労働者の賃金は低くはない。一度経験を積めば、同業の転職も容易にできる。

あれっ?

日本で英語が得意でTOEICハイスコアだったり、外国人と接することが好きだったりする人たちよりも、自分のことを否定していたような人たちの方が”即戦力”として雇ってもらえる=生活していけるチャンスが多いではないか!

もちろん、努力なくして、現地で生活さえしていれば英語が話せるようになるわけではないので、その点は明確にお伝えしておきたい。

あくまでも、俺が言っているのは、俺が暮らす州や近郊の州で、今現在、外国人として雇用チャンスがあるのはどんな人たちか、というとだ。

俺自身のことを書くと、20代前半の頃、ガーデナーとして働いた経験がある。そのときには左官職人・溶接職人・電気職人・土木関係の人たちと現場でともに仕事したことがある。
俺たちは、明日も同じ現場に来るとしても、最低限の掃除をしてその日の仕事を終えた。
ところが、当地では、職人に仕事を頼んでも、散らかしたところは掃除せずにさっさと帰ってしまう。

以前、電気職人に仕事を頼んだときも、最初に

「壁に穴が開ける必要があれば開けるけど、その穴の修復はしませんよ。いいですね?」

というのが条件だった。
家のキッチンのタイルを張替えしたときも、自分の店の水道管を組み直したときも、それぞれ”プロの”職人たちは、信じられないような下手をこいてくれたものだ。

日本の職人さんたちの技術は世界トップレベル。これは言い切れる。
ただ、海外に出て自分の技術を活かそうとする人、更にそれを実行に移す人が少なすぎる・・・
そうしなくとも、不満を抱えながらなんとなく生活していけるのが日本というところなのだろう。

俺の私見では、そういう高い技術がありながら、学歴が低いとかいうだけで、冒頭の

「俺なんか、私なんか頭悪いし、海外で働けるわけないよ。そもそも誰が雇ってくれんの?」

に、なってしまうことが残念で仕方がないのだ。

会社のボスや、スーパーのマネージャーなどが英語をできれば、スタッフはほぼ英語を話せなくとも、それら上司と同じ言語でコミュニケーションが取れれば、十分に戦力として働いている人たちは沢山いる。

現に、俺がしばしば行くスーパーは中国人経営で、品出し・商品管理しているおじさんやおばさんに英語で話し掛けても全く通じない、ということがある。

そういう現実を見ていると、日本人には ”したたかさ” や ”ずる賢さ” というものが、外国人と比べると圧倒的に足りないなあ、と思う。
そういう俺も、20年以上経っても日本人気質はほとんどそのまんま(笑)


テストで使うような英単語を多く知らなくとも、そうだなあ・・例えば建設業であれば

プラスドライバーを Phillips (フィリップス)
マイナスドライバーを  Flathead (フラットヘッド)
六角レンチを  Allen key, Hex key (アレンキー、 ヘックスキー)
四角ヘッドのドライバーを  Robertson (ロバートソン)

というような、現場で使われている呼称を知っておいた方がよほど役立つよ。

学歴がなくたって、英語が得意でなくたって、外国人とのコミュニケーションが(今は)好きじゃなくたって、日本以外でもあなたが必要とされるところはあるよ〜、きっと。

でも、ここまで書いておいて、移住や仕事探しの手伝いをするほど俺はおせっかい好きではないので、興味がある人は、そういうことを専門としている人たちに相談してみませう。

最後に・・

これも日本人の気質で、自分のことを過小評価する傾向がある。

「自分の技術なんて大したことないしなあ・・」

なんて思っている人よ、カナダではそれが大分デキるレベルであることが多々ある、ということをお知らせしておきます。




北極からの寒気が襲来した12月下旬は寒くて参った!