◆御坊市長選挙(和歌山県)
和歌山県の御坊市長選挙は22日投開票が行われました。
結果、現職の柏木 征夫氏が七選。
有権者数は19,862人。
投票者数は15,512人。
投票率は78.10%でした。
以下は今回の選挙の立候補者の顔ぶれです。
左から得票数,得票率,年齢,性別,現新,名前になっています。
9375 60.44 75 男 現 柏木 征夫(かしわぎ いくお) 当選
5886 37.94 51 男 新 二階 俊樹(にかい としき)
■評価の難しい選挙戦
このブログを書き始めてから一番評価の難しい選挙戦になったのが御坊市長選挙です。
22日に投開票が行われた選挙の中では注目度も断トツの№1。
ある面では御坊市民でなくとも、全国的に注目された選挙戦だったのではないでしょうか。
ではどうしてそんなに注目を集めたのか。
それは他ならぬ二階 俊樹氏が市長候補に名乗りを上げたからです。
二階氏は自由民主党の総務会長である二階 俊博(にかい としひろ)氏の長男。
”小粒”な議員が目立つようになってきた自民党の中にあって二階氏は”最後の大物”。
和歌山3区で「王国」を築き上げてきた二階氏でさえも、判断を誤ることはあります。
自身の息子である俊樹氏を擁立したのは失敗だったと私は思います。
■柏木氏にとっては「青天の霹靂」であったであろう俊樹氏の出馬
7回目の当選を果たした柏木氏は、現役市長では最多の7選目です。
初当選は1992年6月11日。
それから6期24年という年月を現職の市長として実績を積み上げてきました。
ただ柏木氏は過去6回の改選で、選挙戦を戦ったのは2回だけ。
残りの4回は無投票で当選と、これまでほぼ無風状態で選挙を戦ってきました。
それも過去6回は二階氏の後ろ盾があったからだと言われています。
それが自身の長男である俊樹氏が出馬するにあたり、急遽その後ろ盾が無くなります。
無くなったどころか”敵陣営”の応援にまわったのですから正に青天の霹靂。
柏木氏もさぞ驚かれたのではないでしょうか。
■名のある国会議員投入&創価学会票でも完敗の背景とは
思想は同じ「保守系」同士。
他の選挙戦は他陣営の批判等が結構あったりします。
ただ私が見た限りでは、両陣営同士が批判し合うような選挙戦では無かったように見えます。
俊樹氏の陣営だって別に柏木市政に大きな不満があったわけではないはずです。
強いて言えば年齢的に「75歳」という高齢がネックであって、
早い話しは党の超大物である俊博氏の長男、俊樹氏を何が何でも勝たせたいという一点。
だから有権者数が2万人規模の市長選では異例の、名のある国会議員を投入したのです。
普通の市長選であれば、ほぼ当選する様な万全のバックアップを俊樹氏は受けていました。
それでも蓋を開けてみれば柏木氏に3,489票差もつけられての『完敗』。
これだけ動員しての約3,500票差ですからはっきり言って大敗です。
やはり選挙戦前に出た週刊誌報道は本当だったのでしょうか。
→長男が傲慢な男だから後継者が火種になるラスボス「二階俊博」(週刊新潮 2016年3月24日号)
だから個人の政策云々よりも、
俊樹氏を当選”させるべきか””させないべきか”
が有権者の判断に委ねられた選挙戦だったのではないでしょうか。
その有権者の判断は「NO」でした。
おそらく日本共産党の支持者を筆頭とした”反保守系”の票も、今回は柏木氏に入っているでしょうね。
その証に柏木氏の得票数は、前回の選挙時より817票も伸びています。
それだけ有権者は柏木氏と俊樹氏なら、高齢でも柏木氏の方が良いと判断したのでは。
■後継者問題は大物議員の”アキレス腱”
何れにしても少なからず父・俊博氏の影響力が自民党内で落ちることが予想されます。
それでなくとも二階派内では度々派閥内で”問題”が発生しています。
今までは俊博氏自身の影響力で何とかなりました。
しかし今回の御坊市長選挙での俊樹氏擁立が、自身にも暗い影を落とすことになるかもしれません。
俊博氏ほどの政治家でも、やっぱり自身の後継者問題で苦労するんだな。
しかもひょっとしたら今夏の参院選にも何らかの影響が出てくるかもしれません。
色んな意味でターニングポイントになりそうな2016年の御坊市長選挙でした。