秋浪影月は、武者震いをした。今年18歳になるものは皆、今日ついに、自分の職が決まるのだ。数時間後、俺は王に見られ、歓喜しているか、絶望しているか…

当たりは勇者、騎士長、軍師といったところか。人生勝ち組である。まあ、そんな職100年程出てないらしいけど。

はずれは、奴隷だ。奴隷だけにはなりたくない。どうせよくわからん土地に売り飛ばされて、よくわからんやつに一生働かされるにに決まってる。ただ、奴隷は犯罪歴のあるもの等がなりやすいらしいので、大丈夫だと思うが。噂では、王と数人の近しい人達で査定されるらしい。俺は、自分と源波の幸運を祈りながら身支度をした。

源波は、俺の昔からの旧友であり、親友だ。活発で、頼りがいのあるやつだ。

今日も待ち合わせをして査定を順番に受けるという約束をしていた。



ーー城内ーー

無事源波と会い、長蛇の列に加わる。そしてそこに、やって来た、彼女は。透き通るような白い肌に、綺麗な栗色の目。華奢な体に、長めの茶色の髪をポニーテールにしていた。あまりの美しさに、目を見開いて見てしまった。ちょっと見すぎたな、と思い隣を見ると、源波も同じ様子で気まずくなったが、同時に何故かほっとした。源波も俺も不安で特に喋らず待ってるうちに、遂に自分たちの番がやって来た。一人目は源波だ。何と言えば良いのかわからずに、俺は去り際にとりあえず「頑張れよ」と言った。

査定は別室で行われ、ドアで区切られているがドアはボロボロで、結構聞こえた。そして、ドア越しからでも、向こうの空気が変わったのを感じた。長い沈黙の後、王が決定的な事を言った。

「柴田源波殿、貴方は、勇者として貢献しなさい。」



ドア越しから拍手と歓声が響き渡るのが聞こえてきた。こんなに聴衆がいるとは思わなかった。そして遂に、自分の番がやってきた。「秋浪影月殿」

ドアを開けると、ホールの舞台になっていた。

緊張して、震えながら、中心にある台に立った。こんなに壮大な聴衆の眼に釘を刺されるのは困る、早く終わってくれ、と思っていたら、本当にすぐに知らされた。

「秋浪影月殿、貴方は、城掃除係として働きなさい。」



終わった。とりあえず奴隷ではないけど、城掃除係かよ。確かに掃除は得意だけど…人生オワタ\(^o^)/ってこんな感じなのか。まじかよおい。



しかし、掃除係がまだましだと気づくのは、もう少し後である。


唖然としながら舞台を去り、例の美少女ちゃんの番になった。去るドアを開けようとしたが、どうしても気になって、舞台裏で聞いてしまった。源波はいなかった。いると思っていたが、俺が掃除係だとわかって、気を使ってくれたのだろう、情けない。


舞台と聴衆の空気が変わったのが感じられた。美少女ちゃんの結果はやはり皆気になるのだろう。そして衝撃的な言葉が聞こえてくる。

「服を脱ぎなさい。」

聴衆からどよめきがあった。

少ししてから、震える声がした。凛とした綺麗な声だった。

「ここで…ですか?」

王の野太い声が聞こえる。

「そうだ、今すぐだ。」


逆らうとひどい職業にされるに決まってる。彼女は従うしかなかった。聴衆が息を飲む中、彼女が衣服を脱ぐ音が聞こえる。


しばらくして、また決定的なことが告げられる。

「片岡琴葉殿、貴方は性奴隷として働きなさい。」


俺は絶句した。こんなにも簡単に奴隷が決まるのか。段々と王に腹が立ち、この国が嫌いになってきた。そして、城内アナウンスではっとする。


「…さん、柴田源波さん、秋浪影月さんは、性奴隷の片岡琴葉の教育期間にお付き合いください。1日後に木林理穂さん、2日後に柴田源波さん、三日後に秋浪影月さんの家へ片岡琴葉が向かいます。繰り返します…」


よかった、木林理穂って人は知らないけど、とりあえず2日目と3日目は彼女は安全に過ごせるんだ。そう思って、俺は掃除訓練期間に入った。