最近、キラキラネームをどこまで許すか法務省の部会で案がまとめられた事がニュースになっています。
それを聞いた人達は「行き過ぎた名前は子供が可哀想」といった感想を漏らしています。
ですが、この話の本質はそういう事ではないような。
この話は、戸籍に「読み」が無い事を知った法相が「デジタル化の際、読みで検索出来ないと不便だろう」と諮問し、官僚が戸籍に「読み」の追加を検討する部会を招集し、その一環で読み方をどこまで許すかを検討した結果、出て来た案が今ニュースになっているという流れです。
確かに、戸籍には「読み」がありません。
「読み」がないので、人の名前の文字は、ある意味、単なる記号もしくは図形という事になります。
記号もしくは図形ですから、どう読もうと自由だろう、とおかしな読み方をさせたがる親が現れる、という事で、戸籍法で読み方も規定しようとしているという訳です。
とは言え、住民票には名前の読み方がフリガナとして記載されており、名前に「読み」が無い訳ではありません。
戸籍側で規定を検討しているという事は、法改正で規定されれば、それが有効になるという事でしょう。
では、今の「読み」はどんな法的根拠に基づくのでしょうか?
ひょっとして、何の根拠も無く、慣習として使用しているだけなのでしょうか?
それについて、一切報道されていないのはかなり不思議な事のように思いますし、住民票サイドとの擦り合わせは要らないのか?とも思ってしまいます。
名前については、かなり前に子供に「悪魔」と付けようとした親がニュースになりました。
これは、「天使」という字なら「あくま」と読ませても許されるのか、という話でもありますから、戸籍側だけでなく名前に関する法律を所管する全ての部署でもっと前から議論すべき事だと思います。
また、戸籍に「読み」が無い(現住所もありません)と言っても、実際には附票で「読み」や現住所が戸籍と紐付けられており、「読み」で検索する事も可能です。
デジタル化についても、20年くらい前から戸籍システムの導入は始まっており、当然「読み」での検索も可能です。
ですから、法相の心配は無知であるが故の杞憂で、法相から諮問された際、官僚が上を踏まえて回答していれは部会招集には至らなかったように思います。
何より、戸籍に「読み」が追加されると、導入済み全ての戸籍システムで改修が必要になります。
・戸籍に紐付けられた附票に記載の「読み」で検索できる
・戸籍に登録された「読み」で検索できる、
上2つは、出来る事は何も変わらないので、民間であれば改修しないと思いますが、官公庁のシステムは全て法で定められた通りである必要があるため、改修は必須です。
現在の全国の自治体数は約1,700です。
データ項目1つと検索キー1つ追加にどれだけ掛かるのか分かりませんが、平均100万円としても、17億の無駄遣いになります。
1,000万なら170億です。国の補助が半額としても数十億にはなりそうです。
ひょっとすると、無駄かどうかは関係無く、兎に角予算を獲得し、使い切るのが仕事だと思っているのが官僚ですから、戸籍システムの実状を知りながら、敢えて法改正させ、システム改修補助の予算を獲ろうとしているのかも・・・