ヒトラー愛用の口髭用のブラシから、ヒトラーユーゲントの制服など、「モノ」を切り口に語られています。プロパガンダという点でも「デザイン」の力は非常に重要ですから、なかなか興味を惹かれたのですが、いかんせん本を断捨離中

パラパラめくって興味を惹かれたのがタイトルの、
エヴァ・ブラウンが持っていた口紅入れ。
イタリア製の銀細工で、女性らしい花のエングレービングが施されているもの。
エヴァ・ブラウンについてはドキュメンタリーや本で取り上げられる事もありますが、一応wikiから。
「エヴァ・アンナ・パウラ・ブラウン(ドイツ語: Eva Anna Paula Braun[注 1], 1912年2月6日 - 1945年4月30日)は、ナチス・ドイツ(ドイツ国)総統アドルフ・ヒトラーの愛人だった女性。13年間その関係は公表されず、1945年4月29日に結婚し正式な妻となったが、その翌日ヒトラーと共に地下壕にて自殺した。」
残された映像で見る限り、まさにヒトラーが理想としたであろう、金髪碧眼に健康的な肢体を持つ、屈託のない若い女性。更に言えば、自分を疑う事なく尊敬をもって崇めてくれる世間体知らずの女性。
映像では木に登ったり、体操をしたりと今を、そしてこれからの人生を存分に謳歌していくのだろうと想像させる若々しさに溢れた女性が捉えられています。
実際、始めの頃は彼女にしてもシンプルにヒトラーに対する憧れや、1国のリーダーから寵愛を受けるという晴れがましさを楽しんでいただろうと思います。
しかし、ヒトラー自身は妻帯する気もなければ、彼女の存在を公にする気もない。
更には彼女に対して、あくまでも「屈託のない若さに溢れる健康的な女性」という彼と彼の思想における理想を見出していたのであって、おそらくはエヴァ・ブラウン自身を深く知ろうとはしていなかったのかもしれない、という事がこの「エヴァ・ブラウンの口紅入れ」のページには書かれています。
エヴァは総統の恋人というポジションで、贅沢な暮らしを享受します。
が、彼女がどれだけ様々なファッションに身を包んでも、美しく化粧を施してもそれを賞賛してはもらえない。
大人の女性として、美しいものを楽しみ、その価値を認めてもらうというごく当たり前の価値観を持った普通の女性だったのだと思います。
それが普通の女性では手に入れられないようなドレスやアクセサリーを身につけても、賞賛もなければ喜んでももらえないなんて。
そのエピソードを読みながら、「口紅入れ」の写真を見ると、とても物悲しい気持ちになりました。
ヒトラーが彼女を愛してはいなかったのか?
真実はわかりません。
ですが、彼女そのものを愛していたかというと違うのではないのかと。
パブロ・ピカソの死後、莫大な遺産を巡って遺族や愛人が争うのですが、彼もまた「理想の女性」(ヒトラーと少し好みが似ている、と私は思います)を次々と恋人にしていきます。
彼の理想で無くなる日が来るたびに。
そんな業の深い人間に出会ってしまうと、もしかしたら人は抗えないのかもしれません。
文章巧者で視点も素晴らしく、ゲッペルスに関する資料としても価値のある本だと思いますが、筆者の世代(故人です)のせいもあってか、「女はろくな事を考えない」くらいの事をうっかりすると読み飛ばしそうな流麗な言葉で書いていたり

後半、ゲッペルスにお腹いっぱいになって珍しく挫折いたしました。

