前回の話はこちらからどうぞ。
Thu. May 12, 20:23 (0054)
来た道を少し足早に歩いていく。道は先ほどとは反対に少しずつ広さを増していく。
ちょうどアインがリープに殴られた辺りで、ザックが声を上げた。
「あれは何でさぁ?」ザックが指差す方向に目を向けると、出口の方向に何かが落ちているようだった。
「あっ、あれは…?」アインが近づいてみると、それは外にいるはずのビィドの持っていたソードのようだった。
「これは剣のようですね」リープが確認するように、まじまじとソードを確認している。
「ダンナぁ、これはリープのものじゃないですかい?リープは外にいるはずですぜ。何でこんなとこにあるんでさぁ?」
「わからない。しかし、リープが何かの事情でここまで来たんだろう。それか…。」
ガサガサッ!!
物音が聞こえるのと同時に、目の前にビィドが現れた。しかしその首には太い腕が巻き付き、しっかりとビィドを捕らえていた。
「アイン…さ…ま。あ…ぶない…。こい…つは中毒…者のよう…です。外でヘル…パスさまが…」
「おもしれーよ…。人がこうやって弱っていくんだな…。ヒヤーッホー!!」
ミスティックマッシュルーム中毒者は垢抜けた声でこう言うと、さらに締め付けをきつくさせた。目はうつろで表情には力がない様子だが、首に巻かれた腕だけは、血管が浮かび上がるほどに力が入っていた。
「う…うっ…。い…息が…」ビィドは消え入りそうな声を上げた。
「ダンナぁ、このままじゃビィドが危ないでさぁ」ザックが大きな声を上げる。
「わかっている、でもどうしたらいいんだ!」アインはそう言いながら、最善の策が無いか、考えをめぐらせていた。
(何かないのか…、何かっ!!)
ビィドの首に巻きついた腕は、どんどんと締め上げる力を増し、ビィドの顔はみるみるうちに真っ青になっていった。
(彼らはミスティックマッシュルームに目がありません)
ビィドとの会話が一瞬頭によぎった瞬間、アインは大きな声をあげた。
「おいっ!これを見ろ!!ミスティックマッシュルームだ。こいつでも食らいやがれ!!」そう言い捨てると、袋からミスティックマッシュルーム取り出し、鋼鉄製の扉の方向へ投げ捨てた。
それを見た中毒者はビィドから手を離し、ミスティックマッシュルームの方向へ走り出した。腕から離れたビィドはバタンと床に倒れ落ちた。
「ザック、扉を閉めろ!!」
「はいでさぁ!!」
ドドドドーーッ。バタンッ。
扉を閉めるとすかさずザックは、扉の取っ手の部分にビィドのソードを差し入れ、扉が開かないようにした。
「ビィド、大丈夫かっ!!」アインが駆け寄り、ビィドを抱え上げる。
「ア…、アインさ…ま。よ…かっ…た。」そう言うと、ビィドは気を失ってしまった。
「とにかくここを出るぞ」アインはそう言うと、ビィドを抱えたまま出口に向かって走り始めた。
(ヘルパスは大丈夫だろうか…)
アインは胸の鼓動が強く、そして早くなっていることに気が付いた。
