3級審判への道
サッカーの試合をする上で必要な資格は、身近なところでいうと審判員の資格となります。
審判は4~1級という区分があり、各カテゴリーや大会に応じて、主審や副審を務めることができます。多くの方が持っている4級審判はスポ少をお手伝いする方を中心に所持している方が多いことと思います。また、地区協会が主催する大会であれば主審も担当することができます。今回、私が取得した3級は、活動範囲が大きくなり、県協会主催の大会で主審、東北協会主催では副審を務めることができます。
私が3級審判を目指すきっかけとなったのは、自治体やシニアリーグに関わる上で、プレイヤーとしては斜陽となってきたことと、副審メインから主審の機会が増えてきたこと、サッカーを通じて地域に恩返しをし、サッカーに少しでも長く携わりたいという気持ちからのチャレンジでした。
2019年度から3級審判は、地区レフェリーアカデミーを受講し、座学、実技、筆記、体力テストの合格を経て、更に昇級講習会(4時間)を受講して正式昇級となります。
レフェリーアカデミーは、開講から約半年を要して、座学と実技に関することを学びます。特に実技は3~5試合程度、実際のゲームの主審や副審、第4審を行い、特に主審の技術について合格点(評価8.0以上)をインストラクターからもらわなければなりません。
50歳を目前にした自分の体験記を載せますので、3級を目指す方の参考になればと思います。なお、各都道府県協会によっては、取得方法が違いますので、ご了承願いたいと思います。
○座学講習
特に難しいことはないですが、ここは4級審判の更新講習会と同じで、ルール改正などを主に学びます。私のときは、2019/20の大幅なルール改正時でありましたので、特にDOGSOやSPAになる反則について、動画を見て受講者で討論を行い、インストラクターが解説するといった流れで進みました。座学講習は6時間で、1回につき3時間×2回で開催されました。日時は、土日の午後や夜間といった、比較的受講しやすい時間帯での開催でした。
○実技
地区で開催された、2種、3種の試合を主審、副審、第4審を担当し、実技見極めが行われました。他の地区は、1種の試合を担当するのですが、私の所属する石巻地区は震災の影響で1種登録しているチームはあるものの、リーグが行われていないためです。
最初は、2種のサマーフェスティバルの主審を担当しました。ここで、インストラクターは個々の技量を確認するところから始まります。最初の試合ではあまり多くを指摘されませんが、2試合目あたりから自分の弱点や間違いなどを指摘されます。特に私は、レフェリーエリアでの走力についての指摘を受けました。2試合目は3種の地区新人大会のレフェリーでした。担当インストラクターの代わりに2級インストラクターによる見極めでした。「ファウルのジャッジは取れているが、走力に課題がある。特に、ボール及び争点から10ヤード(9.15m)位を常に取るように。」との指摘でした。3試合目は3種のリーグ戦でしたが、審判中にハムストリングスが肉離れするというアクシデント(泣)。当然、ダッシュすることはできず、不本意のままこの日は終了。さらにインストラクターからは、「肉離れするというのは事前準備ができていない証拠。」とダメ出しを喰らう始末で散々でした。そこから1か月を経過し、3種のカップ戦主審。ゲーム中、常に走っていたものの、ケガの治り具合を気にしながらのせいか、走っている姿がインストラクターにはランニングしている姿にしか見えなかったようで、「ダッシュが全く足りない!ランニングしているんじゃないよ!」とハーフタイム時に皆の前でインストラクターから怒鳴られる始末。後半は改善しましたが、正直、このときが一番気持ち切れそうになりました。
この時点で見極め合格者がちらほら出てきており、正直、気持ちも焦っていました。何とか年内中に見極め合格(実技合格)をもらいたい焦りの気持ちと弱点を改善しなければという気持ちが交錯していました。次の見極め試験の日程も決まっていましたが、義父が亡くなり参加できず、ここから約1か月空くことになりました。この間、知り合いの別のインストラクターからも助言をいただきました。「3級は走力が全て。ジャッジが多少間違っていても、ジャッジは経験を積めば改善できるので、常にボールや争点から9.15mに位置取りして、走ってください。」と助言をいただきました。今までの自分は、的確なジャッジばかり気に取られすぎていた感が否めませんでした。
この空いた期間は、緩急をつけたランニングと、ダッシュの初速に必要な筋トレを続けました。あと、高校選手権のレフェリングがとても参考になりました。今までテレビでJリーグや代表戦を観ても、レフェリーがそんなに走っていない感じ(私観的に)?でしたが、選手権では、攻守の切り替え時などには、相手ペナルティーエリアまでレフェリー皆、ダッシュしていたのです。(当たり前か)
そして、先日、最後の見極め実技の3種のリーグ戦の主審を迎えました。とにかく全力で走ることだけを念頭において、キックオフのホイッスルを吹きました。
3種いえどもクラブチームのリーグ戦、攻守の切り替えが中体連より早いです。とにかくレフェリーエリアを全力で走りました。全力で走ると当たり前ですが、おのずとファウルも見えてくるものです。もしかすると、今まで、走っていないことにより見落としていたファウルも多少なりともあったかもしれません(笑)
多少の間違い(オフサイドに関与していたが、ボールがゴールラインを割り、ゴールキックの判定で良いところを、副審がフラッグ上げていたため、オフサイドと判定)はあったものの、自分としてはやり切った感(走り切った感)で無事、試合終了のホイッスル。(正直、選手よりも走った感じでした)
インストラクターからは、今までとは違い、走れるようになったと評価をいただきました。結果は、1週間後位に伝えますとのことでした。
試合後、着替えをしていたら、10年以上前から審判の際に履いていたコパムンディアルのソールが割れ、デジタルウオッチのラバーバンドが切れかかっていました。これは不吉な予感ではなく、良い意味で昇級したら新しいものに買い替えなさいという吉報としてのポジティブシンキング(笑)
最終実技から1週間後、インストラクターから合格の連絡がありました。ここで初めて、昇級講習会申し込みパスワードが伝えられ、無事にJFAキックオフから申し込みが完了。あとは、昇級者講習会(4時間)を受ければ、晴れて2020年4月から3級審判員となります。
○筆記試験
実技合格はしていなくても、みなし合格として筆記試験を受験しました。(本来は、実技合格者が進むのですが、実技見極めが間に合わないときなどは受験させてもらえます)
事前にアカデミーが用意してくれた問題から出題されましたが、競技規則をよく読み、特に直接FKとなるファウルの要件と(5要件+7要件)及び警告の8要件、反スポ行為についてはマスターしておいた方が無難です。また、競技規則にもない事項(試合前の審判がすべきこと:大会規定の確認)も出題されましたので、アカデミー参加者は配布された問題は全てお覚えていた方が良いと思います。試験時間は1時間ですが、30分もかからないで全問解けました。ちなみに80点以上合格でしたが、私は100点満点でした。
○体力試験
筆記試験と同日に開催されます。75mを25秒以内で走り、30秒のインターバル(ゴールラインまで歩いてペナルティーエリアのラインまで戻る)を入れて24本行いました。75mというのは、双方のペナルティーエリアの間の距離位です。私は大体、75mを17秒で走っていましたが、体力的にはそんなにきついものではありませんでした。以前は、クーパー走といって、12分間で2000m以上を走り切るテストだったらしく、これが結構きつく、脱落する方も多かったみたいです。
○レフェリーアカデミーで学んだこと
このレフェリーアカデミーでは、今まで自分が行ってきたレフェリングを正しく矯正することもできました。例えば、主審の際の状況によるアドバンテージの取り方や副審の際、フラッグを常に持つ手(左手)など、疑問に思ったところをインストラクターに聞ける環境があり、その都度、疑問を解消していくといった側面もありました。
○これから3級を目指す方へ
最近の3級取得者の中には、全くサッカー経験の無い若い方が取得する例が増えているそうです。
私の学生時代とは違って、サッカーはメジャースポーツになっており、メディアやインターネット配信、SNSの発達・普及によって、いつでもサッカーが観れる環境が整い、観る側の目が肥えてきたところに起因しているのではないでしょうか。
このレフェリーアカデミーで学んだものは、3級は走力に尽きるものと実感しました。走力=正しい位置でのレフェリング(対角線審判方)に繋がりジャッジに大きく影響する。
走力とは、選手以上に走れる準備が必要だと思います。極端に言えばレフェリーエリアをダッシュ何本も走れる体力をつけておくことが大事です。私は走力を指摘されていましたので、トレーニングでただランニングするのではなく、合間に電柱と電柱の間を目安にダッシュも取り入れてトレーニングしました。また、試合の予測、特に攻守が入れ替わりそうなタイミングを読むのも大事だと思います。(サッカー経験者であれば、大丈夫だと思います)ダッシュの初速を早めるには、筋トレも取り入れるのも良いでしょう。(個人的には、スクワットを取り入れていました。)
正しい位置とは、決して、ボール、プレイヤー、審判が串刺しにならないで、全てが見える位置取りで副審との対角線審判方やプレーに比較的近いところを見れるといった、競技規則に書いていることそのままを実践できるところだと思います。
体力に少し自信が無くても大丈夫です。サッカー経験者であれば、私みたく年齢高くとも取得はできます。特に今回はトレーニングすることにより、この年齢になっても心肺機能が確実に上がることを実感できました。
日頃、スポ少やローカル大会の審判を行っていて、少し物足りなさや上を目指したい方は、是非、3級審判へチャレンジしてみてはいかがでしょうか。