ビーズ法という重瞼術のこと

美容外科手術で、手術法の良い悪い、の判断基準として、非常に重要視されているのが「ダウンタイム」というやつです。そして今はダウンタイムが短いものほど良い手術とされる傾向があります。ダウンタイムが長いということだけで、まずい手術法ということになり、日陰の存在になっている手術法の典型が「ビーズ法」という重瞼術です。この手術法は重瞼術の分類では抜糸式縫合法ということになります。埋没法が抜糸をしない縫合法であるのに対して、抜糸式縫合法は一週間後に抜糸をするのです。

埋没法が普通は1点どめ、しっかりと留める場合でも3点どめくらいがせいぜいなのに対して、それをビーズ法にあてはめると、ビーズ法の場合は12点どめなのですから、それだけでもしっかりととめる方法だということが想像出来ると思います。現にこの方法だと、重瞼線が緩んだり消失したケースは埋没法に比べて極端に少なく、ほとんどありません。

また、ビーズ法で手術をした場合、解剖学的に見ると生まれつきの二重瞼の構造に替えることになるのです。そこが、無理矢理二重瞼のくびれを作る普通の埋没法とは違うところです。

ただし、普通の埋没法は細いナイロン糸で、上品に縫合するので、一見優しい手術法のように思えます。翌日からは普通にお化粧もできて会社にも学校にも行けるのですから、ありがたい手術法です。一躍超人気の手術法になり、多くの普通の学生、会社員、主婦にも美容外科が身近の存在になったのもうなずけることです。それで日本の美容外科医もにわかに忙しくなり、また数もどんどん増えることになり、今日に至っているのです。

ところで、ビーズ法はどうなったかというと、本当は理にかなった良い方法なのに埋没法に押されて全くの日陰の存在になってしまっていたのです。が、最近少しずつ復活の兆しが見えてきました。それは何度埋没法で手術をしても、すぐに重瞼線がとれてしまうような人で、しかしどうしても切開法ではしたくないという人にはビーズ法がうってつけであることを、ていねいに説明して手術を勧める先生がいるからです。それはビーズ法の元祖といって良い東京の白壁先生(サフォクリニック)と白壁OBの大阪の衣笠先生(きぬがさクリニック)そしてもうひとり、実は岐阜の私なのです。私も大阪で白壁先生の手術を拝見して覚え、岐阜でかなりの症例を積んでいたのです。

あるときビーズ法をもう一度復活させたいと思うと、彼らにいったら実は埋没法で緩んできたケースにビーズ法を勧めているということでした。それで私も勇気百倍というわけです。今は片方だけの重瞼術の場合は積極的にビーズ法を勧めることにしています。

 皆さんこんなことを考えてみてください。一見二枚目の優男(やさおとこ)だが頼りない男、それに対して粗野で無骨だけど頼りがいのある男、さて、あなたならどちらを選びますか?!ビーズ法って本当に捨てたものじゃないんですから。

入れ墨、行きはよいよい帰りは??

今、入れ墨はタトウ(tattooと、今風に呼ばれファッションとして軽い気持ちで入れる若者が多いようです。友達どおしで旅行などに行ったついでに,「みんなで入れれば怖くない」とばかりに入れてしまうことになるようです。ところが、いざそれを消す段になると、事態は全く違ってしまいます。確かに、「今はレーザーで消すことができるから」という甘い誘惑にのって,軽い気持ちで実行してしまう人が多いのですが、どうしてどうして実際に消すことは1回で簡単に済むことではないのです。そのことをよく覚えておいてください。

最近背中中に入れ墨を入れていて、5年目にどうしても消したいということで来院した患者さん(35歳)が、とても印象に残ったので、そのことを書きます。

彼は自分の人生のマンネリ化を嫌い、自分を何らかの形で高めたいという思いに駆られ入れ墨を入れることを決心したといいます。そして、背中中に龍の入れ墨を入れました。費用は10万円くらいであまり苦痛もなく入れた後も大したケアも必要なくすんだとのことです。

ところが、家族からは非難の嵐、大衆浴場にはいけない、など,不都合なことの方がいっぱい起こって来ました。そして、けっきょく手術にて入れ墨を消し去ることにして来院しました。

手術はもちろん全身麻酔(あまりに面積が大きいから)、入れ墨をはぎとった後に皮膚移植です。皮膚は太ももから取った皮膚を,メッシュ状に拡げて3倍の広さにして移植するという網状植皮術で行いました。術後も順調に経過して約3週間で一応入浴も出来るようになりました。しかし、それで完治というわけには行かないのが、この手術です。植皮した背中は術後から相当痛みがあり,皮膚を剥いだ太ももは痛み、かゆみが治まるのに3ヶ月はかかりました。費用も150万円かかりました(他院では200万円かかるかも知れません)。


ところで、レーザーで消せるのではないの?と思うでしょうが、その方法では1ヶ月に一度レーザー治療するとすれば約10回かかるとして、1回の治療費は30万円(何しろ背中全体ですから)かかるとすると、300万円はかかることになります。それよりも局所麻酔を背中中にする痛みのことを考えたらその苦痛に耐えることが出来ないで、きっと途中で挫折、断念すること必定です。

最後にこの患者さんに,聞いてみました、「入れ墨を入れるのと,消すのと比べると、消す方はどれくらい苦痛が大きかったと思いますか」そしたら彼は即座に言いました。「100倍です!!」「そう!!」と私も言うしかありませんでした。まさに「行きはよいよい帰りは地獄」です。

今話題の「のりぴー」も脚に入れ墨をしていましたが、清純派ではないというサインですかね。入れ墨は消したりすることをしないという確固たる思いでするべきです。私は何人もこの手の手術をしましたが、みなさんこういう苦痛を大なり、大なり味わっていたと思います。もっと狭い面積の入れ墨でもなかなか大変です。ほんのちょっとした出来心で入れるにはあまりに犠牲がおおきすぎることをおぼえておいてください。

みなさまこんにちは。市田です。

今日は朝から酷い雷雨でした。みなさまの地域では被害などありませんでしたでしょうか?



さて今日のブログでは、私どもいちだクリニックを全国的に知って頂けるもととなった「十八番」、脂肪注入術のお話を致しましょう。







ある日私の診察室に、老けて見える顔を若返らせたいという女性がやって来ました。女性の年齢は43歳でしたが、実際は50歳くらいに見えました。「人からよく老けて見えると言われるんです。若く見えるようになるにはどういう手術を受ければいいんでしょう?あまり大手術はしたくないんですけれど・・・」



このごろは、大手術はしたくないという患者さんも多くなりました。

「そうですね。あなたの顔が老けて見えるのは、分析すると、上眼瞼のくぼみ、下眼瞼の下方の肉付きが落ちてきたこと、頬そのものがこけていることが重なった結果ですね。それを改善するのに、メスを使わないで出来る方法があります。それは、脂肪注入術といって、自分の皮下脂肪を注射器で吸い出して、それを顔のくぼんだ部位に注射して、ふくらみをもたせるという方法です」

「そういう方法があるのなら、それでお願いします」



そして、脂肪注入術が行われました。

脂肪は下腹部の皮下脂肪を採取しました。それを目的の部位に細かく、細かく注入して、くぼみ部位を膨らませていくのです。

本当の結果が出るのには2,3ヶ月かかりましたが、彼女はふっくらとした顔になりました。

「うん、何だか若々しくなりましたね」

「そうなんです。脂肪の注射だけでこんなに若返るとは想像もつきませんでした。私の顔は、暗い顔だとか寂しげな顔に見えるって、みんなに言われていたんです」

「もう今は見違えますよ。明るい表情のお顔です。目の周りのふっくら感というのはそれくらい重要で、人相に大きく影響するんです」

「鏡を見るたびに、とっても気分がいいですわ」




脂肪注入術は、一見簡単な手術のように思えるのですが、実際には結構技術力を必要とする手術で、これを得意とする形成外科医は少ないのです。

ところが私はその脂肪注入術に20年も前から積極的に取り組み、また工夫を重ねながら経験をコツコツと積んできたのです。



 そこにもってきて、近年はインターネットの口コミ情報で人が全国に動く時代になってしまいました。そんな理由もあって、私のクリニックには北は北海道、東は東京、南は九州から沖縄まで、結構全国から患者さんが来て頂いています。ありがたいことだと思っています。それに答えられるだけの誠意と技術を持って,満足していだけるように頑張っていかなければと思っています。