1978年３月。

トロント。

大学３年生の春休み。

初めての海外旅行、現地に知り合いがいるわけでもない一人旅でしたが、何の不安もなかったのは夢見た（アイス）ホッケーを見られるという興奮と嬉しさのせいだったのでしょう。

夜のトロントに到着。

空港からリムジンバスで市内のホテルへ。

チェックインを終えて、部屋に入るなりさっそくテレビをつけました。

事前に調べてあったので、その晩は地元チームがフィラデルフィアのチームを迎えての試合があることを知っていました。

テレビがつくと、いきなりトロントのキャプテンが大写しになり、場内割れんばかりの大歓声。

残り試合時間10分というところで、その選手が得点したところでした。

それが決勝点となり、地元チームが３対２で勝利。

それまで写真と活字でしか知らなかった選手が動いている！

私にとっては試合の結果よりもそのことに大興奮でした。

日本を発つまでに、カナダ大使館やカナディアンパシフィック航空の事務所など、カナダ関係の場所へ手当たり次第行き、なんとかプロホッケーの切符が手に入らないかと相談しましたが「無理」「特に伝統のあるモントリオールやトロントでは不可能」「アマチュアの試合でも見たら？」と言われていました。

それでも「テレビで見られるだけでもいい」と思って出かけたので、最初の晩に早くもその目的を果たせたのでした。

１週間滞在したトロントでは、ちょっとした言葉の行き違いがあり、残念ながらプロの試合は見られませんでしたが、ホッケーの聖地の一つである競技場で将来のプロを目指す若者の試合を３試合見ました。

その３試合以外には何も考えていなかったのですが、前回の記事に書いたナイアガラの滝など、少しだけ観光をしたり、市内を歩いたりしました。

雪の中を歩いていると校庭でホッケーに興じる少年たち。

あるカフェでは二人の男性がかなり興奮して口論をしていました。

どうやらそれぞれが応援しているホッケーチームのどちらが強いかといったことを言い争っているようでした。

そんななんでもない風景が嬉しかった。

見るもの聞くもの、ホッケー、ホッケー、ホッケー。

「ホッケーの国に来たんだ！」という思いでいました。

トロント市庁舎（冒頭の写真も）

こちらは旧市庁舎

カサ・ロマ

ホテルの部屋にあったパンフレットで知り、地下鉄で行ったような気がします。

古い建物という以外はなんだかよく分かりませんでしたが、後から調べたところではお城ではなく豪邸で、1914年（大正3年）に完成したそうです。

南アフリカ戦争祈念碑

トロント（1978年）