私の朝の散歩コースの一つは墓地です。墓地といっても広大な敷地があり、野原もあり、私の子供の頃の遊び場でもありました。
自転車に乗るのを覚えたのもここ。土筆を採り、バッタを追いかけ、空にはヒバリの鳴き声を聞きました。
その墓地の一角に古くて、あちこちが欠けている墓石が5基ほど並んでいるだけの無縁仏の墓がひっそりとあります。
毎朝、その前を通ると一人のご高齢の男性が墓を掃除し、花を活け、水を交換し、それらを一通り終えると、墓石に向かって手を合わせて去ってゆきます。
何も見返りを求めず、毎朝淡々とこの一連の作業を続ける。なんと素晴らしいことではありませんか。
その姿にいつも心の中で手を合わせています。