ご訪問ありがとうございます。

 ひさしぶりに車両の物理現象を考えるとして、感覚的なものではなく、より納得しやすい物理理論に則った理論を述べてみたいと思います。

前からほぼ出来上がっていたので今更な感じもしますが、先日この話をするきっかけがあり、せっかくなのでその話の精度(内容)を誤解無く伝える為に記事にすることにしました。

そして、この理論を解説するにあたり、今までとは少し違うアンダー・オーバーの考え方として述べていきたいと思います。
たぶん、今まで雑誌などでもこの理論で解説されたものは無いと思います。自分が無知なだけかも知れませんが・・・(汗 

ただあくまでも素人が考えたものですので、なるほど!と思うぐらいでお願いします。
※このことをさらに深く説明することはしませんので、納得できない方は間違っていると思って頂いて構いません。

 雑誌などの解説では、フリクションサークル(グリップサークル)を基にして説明されているものが多く見受けられますね。
ヨーモーメントに関して計算するとすれば、それは力の作用としては感覚的なものにしかなりません。これから説明するものは、フリクションサークルと同じような考え方になりますが、実際には異なり、物理現象として計算しやすくよりわかりやすいものになると思います。

 質量の重心に対してどのようにモーメント計算するのかでは、車体のヨー慣性モーメントを基にして4輪の摩擦計算が正しく行われ、それを正しく組み込めなければ感覚的なものになってしまいます。
これに関する論文などでも計算される要素でもあり、感覚的にはこのようなことはわかっているつもりでも、表現として使われてこなかったのが、摩擦の重心点という考え方です。


イメージ 1

  図1(左旋回時)

 図1では、摩擦の重心点は緑の枠を超えないとしています。wiiのバランスボードでは体の重心点を表示することができますね。そのとき両足に均等に力(重さ)が掛かれば両足の真ん中になり、片足立ちで安定すれば片足の上が重心点になるでしょう。ですが、両足で不安定に立っていても、両足より外側に重心点が出てしまうことはありません。そのことからもこの緑の外には出ることがないというのは感覚的にも理解して頂けると思います。

そして、単純に考えると車体の重心位置に対して摩擦重心とは、その点に外力として紐をつけて引っ張っている(摩擦力で加わる運動エネルギー)と考えるとわかりやすいと思えます。もちろん各輪の摩擦力としてコーナリング抵抗やリアの摩擦は回転しにくさでもあり、ヨーモーメントとして考えなくてはいけない成分は多くあります。ですが、単純に引っ張る方向のイメージを考えることができれば、今までよりも深い思考ができ、セッティングの方向性も定めやすいと思えます。

 今までのなぜ曲がらない?どうすれば曲がる?かは、各輪の成分を考慮し、車体の状態として車体慣性方向に対してどのように影響するのかで、摩擦重心位置を考え、そのベクトルから車にどのような力を与えるのかをイメージすれば何が悪いのかが見えやすくなるでしょう。このような考え方は以前からも荷重配分によるイメージとしていたものの、この摩擦重心点のベクトルと質量重心点のベクトルを相対的なものとする考え方は今までにないものだと思います。
そのことから、

イメージ 2

  図2(左旋回時)※過程→仮定

 図2では、ドリフト時のものと、(A)スライドしているもの(B)スライドしていないものとして比較しやすくしています。車体の慣性ベクトルは全て同じとしています。コーナーRも同じで旋回中とします。※旋回初期ではありません。ドリフト時のみアクセルオンでパワースライドしているとします。基本として各輪の力の成分は同じとします。※ドリフト時は摩擦力(荷重配分)が異なります。車体の慣性方向とフロントタイヤの角度はどれも同じです。
 このとき、摩擦重心点ベクトルの位置と角度に違いがあるのが分かるでしょうか?外輪に抵抗がある方が曲がりにくく、内輪に抵抗がある方が曲がりやすいですね。

但し、このことだけで挙動のすべてがわかるわけでは無く、シミュレーション計算とすれば考える方向性のキッカケとなるものですので、これだけで挙動基礎が解決するものではありません。あくまで要素とするものですので今回はここまでのことを述べてみることにしました。これだけですとまだ行き詰るところが出てくるでしょう。このことをもっと効率化・単純化し、もうひとつの考え方と組み合わせることにより完成するのですが、それが一番重要なことなのでその理論はもうしばらく温存したいと思います。

※図に誤りがある場合は記事を訂正することがあります。

以前から放置していたホームページは完全に削除しました。今までありがとうございました。