とある夏の日。その日は博多からの「ひかり8号」8Aに乗務中でした。


前日の東京出発前から、東海から関東に台風が近づいているという予報でした。「ひかり23号」2023Aについては問題ないものの、8Aは影響出るかも、の条件で出発していました。


博多出発時はごく普通の夏の日だったんですが、新大阪到着前の車掌さんの車内放送で早くも


東京到着遅れ


の予告が。実は博多出発前に台風は静岡に上陸していて、関東も暴風域に入り、すでに徐行の規制が入っているとか。


新大阪到着時でも、ホームの案内放送でもしきりに運転見合わせ予告を流していました。それでもいいなら乗っていいよってな具合。


車内販売は、乗務員さんと一緒で


列車と運命を共にする関係


なので、途中で降りるわけには行きません。とりあえず新大阪は定時出発。


次の名古屋も定時だったんですが、この辺りから徐々に雨が降り出し風も強くなってきた感じ。そしてついにその時が。


東京〜小田原間で風速が規制値を超えたため、この区間で運転見合わせ。列車を随時停車させます。


来ました。とりあえず行けるところまで運転して、後は駅間だろうがなんだろうがなるべく詰めて停車させます。


とは言っても、橋や高架の上のような吹きっ晒しの場所は危険が危ないので、できる限り駅(通過線も含む)や駅間なら堀割部分(小高い土地を削った場所)を狙って停まるように。


そして8Aもその堀割部分で停車。停電にはなっていないので、照明や空調は生きていますから安心。


車内販売も続けていたんですが、段々在庫が尽きてきたので営業を中止。当然食堂車も中止ですので、チーム全員で食堂車に集まって一服しながらおしゃべり。


食堂車のあの大きな窓に打ち付ける雨や風を見ながら、「いつになったら再開するんだろうねえ」なんて呑気に。車掌さんは適宜現状を放送しながら、今しばらくお待ちください、を繰り返し。


幸いだったのは、この台風は東海から関東を直撃した割には勢力もそこまで強くなかったのと、そこそこの足の速さがあったので、足止めもあまり長くなかったことです。


食堂車での「ダベリング」が楽しかったので詳しくは覚えてないんですが、確か2〜3時間程度の遅れで着いたような気がします。「あ、特急料金払い戻しになった」っていうのは覚えているので。


子供の頃、母の故郷である長野からの帰りに、やはり台風の影響で、埼玉と東京の境を流れる『荒川』が増水して運転見合わせを経験したことがあったんですが、それ以来の足止めでした。


もちろんそういう状況でしたので、確かこの時は東京で車両折り返し&車販引き継ぎはなく、乗ってきたV編成は大井の車庫に回送になったと思います。