今日は家にいたので、『フランス文学と愛』を読んでました～。野崎歓先生著。

歴史の流れと共に文学作品から愛の変容を見ていく感じで、興味深く読めました✨

17世紀を出発点として、現代まで書かれています。

第一章～第六章まであって、以下のようなテーマでした。

（ブログで目次が作れるようになったみたいなので、さっそく使ってみました👇）

テーマに沿って、思った事や自分用のメモとして書きました🙇

①太陽王と恋の世紀

太陽王といえば「朕は国家なり」のルイ14世🌞👑

芸術をこよなく愛した王によってアートの国というイメージの基盤ができたともいえるし、恋多き王でもあったとのことなので、

恋愛がフランス文学にとって最重要の主題となったのは、そしてそれが確固とした文法体系をもつ近代的言語によって表現される基盤が築かれたのは、このルイ王朝下、十七世紀古典主義の文学においてだったのである。

ということで、17世紀の文学作品からスタート。

しかし、60代でこの脚線美はただ者ではない👠！

女性を崇拝する恋愛の形のひとつ、宮廷風恋愛。コルネイユ、ラシーヌ、モリエールという劇作家作品などが取り上げられていました。他にもラファイエット夫人『クレーヴの奥方』にもその姿、女性の理想？が描かれています。

城主の奥様、いわゆる既婚女性にイケメン貴公子が恋心を抱くってやつですかね～💕

そういえば、イギリスのシェイクスピアの劇はよく見られるけれど、ラシーヌなどフランスの劇はあまり見られる機会が無いので残念だな～なんて思います。見てみたい。

②快楽の自由思想

ルイ14世の時代が翳り始めオルレアン公の摂政時代になって以降、風紀がすごい乱れてきます。それにともなって文学も快楽に耽る好色が流行してくるみたいデス…🔞

『女哲学者テレーズ』という神父と修道女のポルノ……🙊とんでもない物語が紹介されていましたけれど、その作者があのディドロでした…。18世紀の有名な哲学者。

ダーントンによれば、十八世紀の本屋はポルノも『社会契約論』も「どちらも『哲学書』として同じ扱いをしていた」のである。（54）

だそうです。。

え😲！って感じですが、エロ本と学術書が同じジャンルとしてコーナーに並んでいる感じかしら。。。

『社会契約論』といえばルソーですが、その頃ルソーも乱れた風俗の流れにのり、孕ませては生まれてくる子どもを次から次へと孤児院へ送ります。生まれた子どもの誕生日すら覚えていません。

そんな父親失格のルソーですが、子どもの教育書でもある『エミール』を書いているので、当時の方たちの感覚はよく分からんです。

当時はそういうの（子を産んでは孤児院へ送る）が流行だったらしいですが…💧

ルソーは子を捨てたことを後悔しながら『エミール』を書いたんだと思いたい。

とにかく、他にもまだ知らない過激な変態快楽作品がありそうです。

③感情教育

革命の前と後で恋愛の考え方が変わってきます。

ここでは、モーパッサンの「往時」という短編が例にあがっていました。

結婚と恋愛はまったく関係のないものさ。結婚なんて一度しかしないものだけれど、恋は一生に二十回だってできる（78）

というのが革命前、18世紀を生きた女性の考え方で、19世紀後半を生きる女性は、

大恋愛、唯一の永遠なる恋（79）

といっています。

恋愛の末に結婚って感じで、恋愛結婚ができるようになってきたからかな？

それにしても「恋は一生に二十回」か～。貴族階級だとあくせく労働もしていないだろうし、楽しみといえば恋愛ばかりで他にあまりなかったのかな～とも思っちゃいます。

ちなみに、今は離婚もできるし、色々なスタイルがあるから「大恋愛」とか「唯一の～」ってのもあまりないんじゃないかな～って感じはします。自分もこれからの人生で「大恋愛」なんて考えられないし・・・皆さんはいかが？

時代によって考え方って変わっていくのがおもしろいですね～。

④結婚と愛

この章では、不幸な結婚について主に書かれていて、やっぱり幸せいっぱいな結婚生活より不幸に陥る結婚生活を読んでいる方がおもしろいしね…笑

あと、女性の立場もずっと弱かったし、結婚することによって毎日夫の帰りを待つだけの日々、自由がなくなってしまう感じもします。もし暴力があったとしても離婚ができない時代なので、女性にとっては服従という感じも否めません。

恋愛結婚と周囲のすすめなどによる結婚って、案外恋愛結婚じゃない方がうまくいくのかも。バルザックの『二人の若妻の手記』が紹介されていておもしろかったです。

現代は結婚しない人も増えているし、結婚という制度にとらわれずにパートナーがいる人もいます。でも、ある程度の年齢になると結婚する人の方が多いかなって（個人的には）感じます。今後はさらに多様に変わってくると思います。

⑤親子の愛

ラブレーの『ガルガンチュア』が紹介されていました。読んだことないけれど、少しだけ読むと、💩とか🚽系がバンバン出てくるので、けっこうなお下品描写もあります～。

テーマが「親子の愛」だけれど、うーむ……🤔　これは、かわいがっているんだろうけれど、子どもの全面肯定はアブナイ…これはとてつもない…🙄

一方で、虐待に関することにも触れられていました。フローベール『ボヴァリー夫人』のエンマが日常の不満から赤ちゃんに癇癪を起す場面、そして、ゾラ『居酒屋』の酒乱夫の虐待描写はつらい…。

親子の愛、個人的には母と息子の愛情が好きだけれど（アブナイ愛情ではなく…）、これに関してはあまり書かれていなかったような。

あ、バルザックの『ゴリオ爺さん』が悲しいです…😢😢

⑥解放と現在

ここからは現代です～。

男性優位の時代が続き、これまでは必然的に愛について描く作家は男性が多かったけれど、かなり変わってきました。むしろ「女たちによる愛の略奪」と書かれています。

「アムール」はいまや女性作家たちによって掌握され、支配され、逆に男性作家たちにとってはこの言葉がもはやあまり重要性をもたなくなったのである。（226）

サガンの小説とかでは、「女も自由に、気ままに恋にふける権利があるということ、そしてその権利を当然のものとして行使すべきであるということ（228）」が主張されています。

サガンとは対極の作風であるデュラス、他にもボーヴォワール、や「オートフィクション」の流れを牽引するアニー・エルノーなども様々な形で恋愛（パッション？）を描いています。

デュラス脚本の『ヒロシマ、わが愛』という映画が気になったので今度見てみようとも思いました！

Hiroshima Mon Amour (Region B) (Francais) (Import)

☆最後に～

ということで、様々な作文学品を通して愛の変容を辿っていきました！

こういうのを読むと積読が増えて困ったりもするけれど、数年前と比べると自分の中で内容を知っている作品がだいぶ増えていたので、たのしく読めました！

（本書に紹介されている作家は、ほぼ知っていたから、少しは知識がついてきたのかも…？？）

フランス文学と愛 (講談社現代新書)

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『フランス文学と愛』野崎歓