【episode x】

 

何度だって、僕らはめぐり合う――――

 

・・・

 

「ごめん、他に好きな人ができた。別れよう」

 

そう告げられたのはほんの数年前

 

私は今大学生。

 

...だけど、白馬さんという許嫁がいる。

自由に恋愛もできない。

 

とってつけたように付き合って別れた"和也"って人も

今では幸せそうだ。本当の彼女を作ったみたい。

 

まさかレンタル彼女とそのお客さんの恋が実るなんてーー

 

まるで漫画みたいな展開よね。

まぁ、私の人生もまるで漫画か何かの創作物のようだ。許嫁って何よ(笑)

 

そんな毒づく日常

 

夜には大雨...雷雨?なんて予報の今日も無事講義が終わり、帰路についていた。

 

・・・

 

「あれ?」

 

・・・

 

ふと、意識が遠のく

 

(この感じ、何回も味わったこと..が...ある..気が..s.r.....)

 

そのまますーっと、私の意識は闇の中へと吸い込まれていった・・

 

 

・・・

 

 

 

 

 

【太郎 side】

 

「今日雨だねー」

 

せっかくの休日も外は雨

 

いつも明るい麻美ちゃんも少し機嫌が悪そう。

 

「何か作ろうか?」

 

僕だって二人っきりな休日、楽しみたい。

 

「うーんと...」

 

まだベットの上でゴロゴロしている麻美ちゃんが何かを考えてる。

 

「あ!そうだ!太郎~ホットケーキが食べたい!」

 

「ok~♪」

 

こんな彼女の笑顔がたまらなく好きである。

 

・・・

 

 

 

 

 

【和也 side】

 

今日はちづると保育園デート...

 

なんて、お手伝いの日だ。

 

・・・

 

すっかり慣れたもので、ちづる曰く、

 

"子供と遊んでいる俺を見るのが好き"

 

とのこと。

 

もっとカッコイイ姿を見せたいところだが、ちづるが好きというならしょうがない。

 

・・・

 

 

 

 

【xxx side】

 

"この世界の秘密を知っているだろうか――――"

 

脳内に響くその声は、不気味なようでどこか安心できた。

 

「秘密?」

 

"すべてが点であり、点がすべてであり"

 

「なにそれ難しい」

 

"僕は君で、君は僕で"

 

「はいはい、わかったから結論を言いなさい、結論を」

 

・・・

 

"君はそうやって僕の話を聞いてくれない..."

 

"まぁいいか、さっそくだが、結論だ。君が神だ。"

 

「は!?」

 

食べようとしていたアンパンがカレーパンに変化したかような素っ頓狂な声で答える。バイキンマーもビックリだ。

彼女の名前は七海麻美。

 

"世界の創造主が君である。"

 

(うわこいつ何いってんの?)

 

「うーん、本当だったらなんか面白そうだけど~...」

 

(その前に、ここ、どこだ?)

 

「何か根拠は?だって私、自由がないし」

 

"本当かな?"

 

「説教だったら怒るよ?」

 

"ぴえん"

 

「ごめんごめん、それで?」

 

(まって、)

 

"それでだな~"

 

・・・

 

(まって、、、)

 

・・・

 

(まって――――!)

 

(ここはどこ?私、、、)

 

 

 

 

【太郎' side】

 

今日は休日。でも、外は雨...

 

僕は麻美ちゃんと一緒にクレープを作っていた。

 

カチャカチャ

 

「ねぇ太郎~生クリームまだ~?」

 

カチャカチャ

 

「もう少し~」

 

甘ったるい雰囲気の中、甘~いクリームをまぜまぜ。

 

お家デートも悪くない。

 

「・・・あれ?」

 

何か違和感を感じる自分。

 

「太郎どうしたの?」

 

すぐに察する麻美ちゃん

 

(本当はホットケーキを作っていなかったっけ・・・?)

 

 

 

 

【和也' side】

 

「はぁ~あれから水原とは疎遠になっちまったなぁ・・・」

 

夢はなし、お金もなし、彼女なし、

 

レンタル彼女に恋もお金も捧げちまったし・・・

 

「何をやっているんだか、俺の人生――――」

 

天井を見上げる。

 

確か、こんなはずじゃなかったんだけどなぁ

 

どこか"遠くの自分"は幸せそうである。

 

この世界の俺が空回りしているのなら、どこかの世界の俺はうまくやっているのだろうか?

 

≪世界ループ説≫、≪マルチバース≫なんてのも信じたくなるよ

 

・・・

 

 

 

【それぞれの物語】

 

皆が皆、理想のカップルを作れるのだろうか?

 

・・・

 

ルカは?スミは?

 

・・・

 

ウミは?

 

 

 

――――

 

 

 

ミニの正体とは?

 

 

 

――――

 


👽

 

 

 

【異世界の物語】

 

「よし、もう1年頑張ろっか🥰」

 

留年が決まったモブ君。

 

そして、担当の七海先生。

 

・・・

 

 

 

「たーんとおたべ♪」

 

木ノ下用務員と、いつの世界にも肺魚さん

 

・・・

 

 

 

 

【分岐の物語】

 

おかしいなぁ?なんか、恐ろしい夢を見ていたような...

 

私は、結局彼と別れさせられて、

 

・・・

 

"目の前で転ぶ子供"

 

――――!!

 

あれ?私、この後の展開知ってる!

 

手にはアイスクリーム

 

"白い"ワンピースにちょっとだけかかってしまった。

 

・・・

 

うーん、今朝は"黒い"ワンピースを着てきたような気もするけど、

 

 

 

そのまま予定通り、私たちは水族館へ向かった。

 

 

 

 

 

 

【世界の終わり】

 

物語はいつだって終焉を迎える。

 

あの話も、この話も

 

・・・

 

 

・・

 

 

 

 

「男の子だって、太郎に似てないといいね」

 

「ぴえん」

 

「冗談だよ~」

 

様々な分岐の中、結局は引き寄せあう二人だった。

 

そこには新しい命が宿っていた。

 

「ねぇ、覚えてる?」

 

「何~?」

 

「お互い意識した、きっかけ」

 

「きっかけ?」

 

「そう、きっかけ」

 

もうずっと前のことになるなぁ

 

お互い一人で居たような、でもまわりには人が居て、

 

・・・

 

「「そんな時、見つけたんだ」」

 

・・・

 

「「この人だって」」

 

end.